治療抵抗性を獲得した食道癌への局所免疫を応用した革新的治療法の開発
Project/Area Number |
23K08157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中ノ子 智徳 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10828445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖 英次 九州大学, 医学研究院, 准教授 (70380392)
木村 和恵 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70631927)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 食道癌治療 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 局所免疫環境 / PD-L1 / SIRPα / CD8 / 進行食道癌 / 病勢増悪 |
Outline of Research at the Start |
癌は免疫逃避により治療抵抗性を獲得しており、免疫逃避機構の一つがPD-L1とPD-1の結合によるT細胞の不活性化にある。PD-L1の発現量により治療効果に差が見られているが局所免疫環境には他の免疫機構も関わっており免疫逃避のメカニズム解明は食道癌治療において非常に重要であり新規治療法開発に向けてその研究の進展が期待されている。本研究の目的は食道癌における局所免疫の解明と革新的治療法への応用を検討することである。具体的には(1)食道癌における局所免疫環境の解明(2)食道癌の治療抵抗性獲得における免疫逃避の分子機構の解明(3)局所免疫環境を応用した食道癌の革新的治療の開発について詳細な検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤は、食道癌に対する重要な治療薬となった。癌は免疫逃避により治療抵抗性を獲得しており、免疫逃避機構の一つがPD-L1とPD-1の結合によるT細胞の不活性化にある。PD-L1の発現量により治療効果に差が見られているが、局所免疫環境には他の免疫機構も関わっている。免疫逃避のメカニズム解明は食道癌治療において非常に重要であり、新規治療法開発に向けてその研究の進展が期待されている。 我々は免疫チェックポイント阻害剤の効果が症例ごとに差を生じる理由について、かねてより疑問を持っていた。免疫逃避機構がPD-L1発現状況のみに依存しているのではなく、腫瘍局所免疫環境におけるPD-L1以外の因子も免疫チェックポイント阻害剤の治療効果に影響している可能性を考えた。腫瘍局所免疫環境の違いから免疫からの腫瘍細胞の回避の機序について、免疫チェックポイント阻害剤を使用した症例の臨床検体を用いた研究を開始した。 以前我々はマクロファージなどの単核貪食細胞の貪食能を制御するSignal-Regulatory protein alpha (SIRPα)に着目し、食道扁平上皮癌におけるSIRPα発現が予後に及ぼす影響について検討し、SIRPα発現陽性症例では陰性症例に比べて予後不良であることを解明した(Koga N, et al. Cancer Sci, 2021)。まず初回治療として免疫チェックポイント阻害剤を術前に使用した症例において、局所免疫に関連するSIRPα、CD8、PD-L1、CD163と治療効果の関連について調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初回治療として免疫チェックポイント阻害剤を術前に使用した症例における初回治療前の生検標本を用いて、SIRPα、CD8、PD-L1、CD163の発現状況について調べた。現時点での研究対象症例は25例となった。SIRPαの抗体はclone D613Mを使用し、positive controlとして脾臓を用いた。評価方法は生検標本においてSIRPα陽性腫瘍浸潤炎症細胞(マクロファージ、単球)を腫瘍細胞+間質で3カ所計測した。合計の中央値をカットオフ値として、SIRPα高発現・低発現の2群に分類した。高発現は14例、低発現は11例で臨床病理学的背景に差はなかった。高発現例では完全奏功、部分奏功、病勢維持の合計数が8例で病勢増悪が5例だったが、低発現例では11例全例で病勢増悪となった。 一方で手術標本においてSIRPαとCD8、PD-L1、CD163発現の相関関係について調べた。手術標本での評価方法は、SIRPα陽性腫瘍浸潤炎症細胞(マクロファージ、単球)を腫瘍深部、40倍の拡大視野で3カ所計測し、合計の中央値をカットオフ値としてSIRPα高発現・低発現の2群に分類した。手術標本においてSIRPαはCD8、PD-L1、CD163発現と正の相関関係があり、SIRPα高発現群で予後良好であった。生検検体でもSIRPα高発現群において予後の改善を認め、CD163発現と正の相関関係を認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
初回治療前の食道癌に対する生検標本と手術標本において、SIRPαとCD8、PD-L1、CD163のheterogeneityについて調べる。また食道癌原発巣の腫瘍免疫環境と再発時の腫瘍免疫環境の違いについて調べ、術前治療としての免疫チェックポイント阻害剤奏功例における治療抵抗性獲得のメカニズムについて解明する。また免疫チェックポイント阻害剤での治療後、あるいは化学療法や化学放射線療法後の局所免疫環境は変化している可能性がある。術前治療後の局所免疫環境の変化について、初回治療前の生検検体と手術検体を用いてSIRPα、CD8、PD-L1、CD163発現状況を調べる。また再発症例においても局所免疫環境は変化している可能性が考えられる。免疫チェックポイント阻害剤での初回治療後に手術を行い、その後再発した症例の再発部位の切除検体を用いて、局所免疫環境の違いについて調べる。初回治療として免疫チェックポイント阻害剤を用いた食道癌症例について、検討する症例を増やしてさらに研究を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)