Project/Area Number |
23K08184
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 勝則 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (60336394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (50507572)
七戸 俊明 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (70374353)
中村 透 北海道大学, 医学研究院, 助教 (70645796)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 遺伝子治療 / ヘプシジン / 食道癌 / レトロウイルスベクター |
Outline of Research at the Start |
食道癌の治療として、EMR-C法やESD法の内視鏡的治療法、胸腔鏡・腹腔鏡を用いた低侵襲外科治療法、5-FU/シスプラチン点滴による化学療法、化学療法と放射線を同時に行う化学放射線療法、免疫チェックポイント阻害剤と化学療法との併用などがあり、高度進行食道癌に対して集学的治療法が試みられている。しかし食道癌の①隣接臓器浸潤、②広範のリンパ節転移、③癌血行性転移が根治治療を難しくしている。そこで転移が拡がった進行食道癌に対する新しい治療戦略の開発が重要である。ウイルスを応用した遺伝子治療は有効な手段のひとつとして長年その可能性が追及されてきた。
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Outline of Annual Research Achievements |
食道癌の治療として、EMR-C法やESD法の内視鏡的治療法、胸腔鏡・腹腔鏡を用いた低侵襲外科治療法、5-FU/シスプラチン点滴による化学療法、化学療法と放射線を同時に行う化学放射線療法があり、高度進行食道癌に対してはこれらを組み合わせた集学的治療法が試みられている。近年、免疫チェックポイント阻害剤を化学療法と併用することで治療成績が向上したことから食道癌治療に新たな選択肢が増えたが、その効果は十分なものではない。 そこで、転移が拡がった進行食道癌に対する化学療法、分子標的療法とは異なる新しい治療戦略の開発が重要である。これまで、ウイルスを応用した遺伝子治療は有効な手段のひとつとしてその可能性が追及されてきた。しかし、これまで用いられてきたウイルスベクターは腫瘍選択性を持たない弱点に加え、期待するほどの高い遺伝子導入効率は得られなかった。そこで、遠隔転移癌への治療効果を含めた新規遺伝子治療法の開発が急務である。本研究では、食道癌に対する① 優れた腫瘍選択性、②高い遺伝子導入効率、③確実な抗腫瘍効果を備えた新しい遺伝子治療法の確立を目的とした。令和5年度はヒト食道扁平上皮癌細胞株、TE-1、TE-4およびTE-8、アデノカルチノーマ細胞株、KYAW-1に対する腫瘍選択的増殖型レトロウイルス(replicating retroviral vector; RRV)の感染・拡散効果について、emerald GFP発現RRV (RRV-GFP)を作製しフローサイトメトリー解析を実施した。0.01 M.O.I.で感染を開始し14日後にはTE-1株で93.0%、TE-4株で90.0%、21日目のTE-8株で92.5%、KYAW-1株で89.9%のGFP陽性を示した。一方で、RRV-GFPの感染拡大は25-50μM AZTの添加で抑制することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.4種類の食道癌細胞株においてRRVの感染・拡散効果を示すことができたため、本研究の治療遺伝子であるヘプシジン(hepcidin)の抗腫瘍効果を評価する実験系が確立した。 2.高い遺伝子導入効率を達成するため、治療遺伝子による腫瘍溶解性(oncolytic)を抑制するため、glucocorticoid-response element (GRE)を利用した誘導型遺伝子発現システムを用いる。コンパクトかつパワフルなプロモーターとしてアデノウイルスのmajor late promoter(AdMLP)を選択し、制御システムとしてGREを5個をタンデムに配列し、その下流にAdMLPを接合したcis-acting promoter (5×GRE-AdMLP) を構築し、p5×GRE-AdMLP-emerald GFPプラスミド・ベクターを作製した。Emrald GFPの発現をデキサメタゾン添加(cis-acting promoterの活性化)で誘導できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.5×GRE-AdMLPのcis-acting promoterと非分泌型ヘプシジンをRRV基本骨格に組み込み、有効なウイルス・パーティクルが形成されることを示す。2.RRV-5×GRE-AdMLP-Met-hepcidin-20、RRV-5×GRE-AdMLP-Met-hepcidin-22およびRRV-5×GRE-AdMLP-Met-hepcidin-25の3種類のウイルス(対象ウイルスとしてRRV-5×GRE-AdMLP-emerald GFP、RRV-5×GRE-AdMLP)を作製し、4種類の食道癌細胞株に感染させ、デキサメタゾン添加後の細胞増殖抑制効果を示す。3.殺細胞機序として、プシジンのdimer pore mechanismによる細胞内小器官の膜や細胞膜での小孔形成が膜透過性を変化させ、細胞の恒常性を乱すことを想定している。しかし、生体由来の鉄代謝ペプチドホルモンであるヘプシジンを本来の分泌型から非分泌型へと変換し癌細胞内で直接発現させるシステムを利用した系において、非分泌型ヘプシジンがどのようなメカニズムで殺細胞効果を示すのか不明である。そこでアポトーシス、ネクローシス、フェロト-シスなどのパスウェイ解析を行い、細胞死の分子メカニズムを明らかにする。4.食道癌細胞株移植マウスにおけるRRV由来ヘプシジンの抗腫瘍効果をin vivoで示す実験に先立って、シフェラーゼ遺伝子導入細胞クローンの作製を行う。治療実験でレトルウイルスを使用することから、シフェラーゼ遺伝子導入にはプラスミド・ベクターを応用する。pGL4.50[luc2/CMV/Hygro] vectorを改変し、pGL4.50[luc2-IRES-GFP/CMV/Hygro] vectorを作製し、GFP発現の有無を利用してシフェラーゼ遺伝子導入クローンを樹立する。
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