C5-C5aR1/2 axisを標的とした膵癌進展機構の解明と新規補体免疫賦活化療法への応用
Project/Area Number |
23K08207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
江藤 亮大郎 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (40971718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 重紹 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20436380)
三島 敬 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70802560)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
鈴木 大亮 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (90422229)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 膵癌 / 腫瘍免疫 / 補体 / C5a / 免疫療法 / 癌微小環境 |
Outline of Research at the Start |
膵癌の新規治療方法の確立が求められている昨今、炎症性ケモカイン産生に関与する補体経路の腫瘍促進・抑制の報告がなされ始め、補体が腫瘍微小環境で、膵癌進展機構に寄与することを報告してきた。本研究は、補体因子のComplement 5a (C5a)とその受容体であるC5a Receptor 1 (C5aR1)およびC5a Receptor 2 (C5aR2)の2つの受容体が膵癌の促進・抑制へ関与している可能性について注目した。本研究では、C5a-C5aR1 /C5aR2の結合体が膵癌進展に関わる分子機構の詳細を解明することで、膵癌に対する新規免疫賦活化療法の開発を目指してる。
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Outline of Annual Research Achievements |
当院で2014年1月から2018年12月に手術した膵癌130例 (術前化学療法なし)の検体を用いて、C5a、C5aR1、C5aR2の免疫染色を行った。腫瘍細胞の細胞質における発現の有無でC5a-C5aR1 axis group (42例)とC5a-C5aR2 axis group (67例)を抽出した。C5a-C5aR2 axis groupでOS・DFSが有意に延長した(p=0.03, 0.02)。また、C5a-C5aR1+/C5a-C5aR2- group (12例)とそれ以外のgroup (118例)と比較し、OS・DFSが有意に短縮した(p=0.0045, 0.0037)。次に、腫瘍免疫の評価としてCD8、FOXP3、CD11bの免疫染色を行い、CD8+ Tリンパ球、FOXP3+ Treg、CD11b+ MDSCをそれぞれ定量化した。C5a-C5aR1+/C5a-C5aR2- groupでは、抗腫瘍効果を示すCD8+ Tリンパ球は有意に減少し (p<0.001)、CD8+ Tリンパ球の動員を抑制するFOXP3+ Treg、CD11b+ MDSCは有意に増加していた (p<0.001)。CD8+ Tリンパ球の定量化を高発現・低発現の2群に分けると、高発現群 (cut off line 29)でOS、DFSが有意に延長した(p=0.013, 0.016)。C5a-C5aR1+/C5a-C5aR2- group では、病理組織学的に計測したTumor volume (mm3)は有意に増大していた。 C5a-C5aR1 axisは腫瘍促進的、C5a-C5aR2 axisは腫瘍抑制的に作用している可能性が臨床検体を用いた検討で考慮された。また、その要因として、腫瘍容積の増大と腫瘍免疫が関与しており、C5aR1を標的とした治療のアプローチの可能性が示唆された。 また、選択的C5aR1阻害剤であるCCX168を用いたin-vitroの検討を開始した。ヒト細胞株であるMIA PaCa-2, BxPC3を用いて、CCX168投与群と非投与群でproliferation assayを行った。いずれもCCX168投与群で腫瘍増殖が有意に抑制された。また、C5aR1 siRNAを導入し、C5aR1のknockdownをwestern blottingで確認し、poriliferation assayを行い、C5aR1 knockdown群で腫瘍増殖が有意に抑制された。 今後の治療標的としたC5aR1を主軸とした検討が期待できる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いた免疫染色を実施し、臨床的予後および腫瘍免疫との関連、予後予測因子の抽出を実施することができた。さらなる検討としてin-vitroに発展させることができており、選択的C5aR1阻害剤であるCCX168を用いた検討を行っており、proliferation assayで腫瘍の増殖が抑制されることが確認できている。上記結果から、最近ではin-vivoでのCCX168を用いたpreclinical medicineの導入を予定できる段階にまで至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス膵癌細胞株であるKPCYを用いた実験検討を開始した。KPCYに対してレンチウイルスを介したC5aR1 shRNAの導入を行い、C5aR1のknockdownを作成した。C5aR1 knockdown状態の細胞株とコントロール群でproliferation assayやwestern blottingを用いたsignal pathwayの評価を予定している。また、C5aR1 knockdown状態の細胞株とコントロールの細胞株をマウス(8週 雌)に対して膵被膜下に注入し、第3週目にサクリファイスし、腫瘍容積、ki-67、周囲の免疫細胞の評価を予定している。また、マウスにKPCYを膵被膜下に注入した後からC5aR1の選択的阻害剤(CCX168)の投与群、抗癌剤のGemcitabineとの併用群、コントロール群での腫瘍の容積ki-67、周囲の免疫細胞の評価を予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)