Project/Area Number |
23K08252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55030:Cardiovascular surgery-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 雅夫 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (70598680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 匡 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (70583011)
松崎 高志 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (90456939)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 脂質ナノ粒子 / mRNA / ドラッグデリバリー / 心不全 / 治療法開発 / 虚血再灌流障害 / Lipid Nanoparticle / 心不全治療 / 投与方法 / 体内動態 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、心不全治療における核酸内包Lipid Nanoparticle製剤(以下、ナノ粒子製剤)の至適投与デバイス開発のための基礎研究を行うことである。ナノ粒子製剤は静脈注射による全身投与も可能であるが、心不全治療を目的としているため冠動脈選択的注射や心筋直接注射も候補となる。我々は冠動脈選択的注射あるいは心筋直接注射が臨床現場で選択が想定され、かつ有効な投与方法と推察しているが、それらを裏付けとなるそれぞれの投与方法の有効性を比較したデータはまだない。冠動脈選択的注射あるいは心筋直接注射の有効性が明らかになれば、ナノ粒子製剤投与に最適化したカテーテルデバイスの開発につながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
mRNAは心不全の新規創薬モダリティだが、単体では不安定なため、Lipid Nanoparticle (LNP) を用いることで安定して細胞に送達できる。さまざまな心臓の病態における、LNPの心臓への集積における適切な投与経路は不明である。我々は低侵襲で心臓全体への効率的なLNP送達経路として、診療で頻用されるカテーテルによる冠動脈選択投与に注目した。mRNA内包LNPのカテーテル冠動脈投与における、静脈投与と心筋直接投与と比較した報告はなく、これを明らかにすることを研究の目的とした。 LNPはATTO 700 DPPEでラベルし、Firefly Luciferase(FLuc)mRNAを内包させた。血管透過性正常モデルとして、正常な白色ウサギ(Kbs:JW)を用いた。LNPを各経路(静脈投与[IV]、心筋直接投与[IM]、カテーテル冠動脈投与[IC])でそれぞれ投与した。投与後4時間でルシフェリンを全身投与して心臓を摘出し、IVISにてLNP(ATTO 700)の集積とFLuc発現を定量評価した。また、血管透過性亢進時における各投与経路の変化を確認するために、虚血再灌流モデル(左冠動脈を1時間結紮後に再灌流)を作製し、同様に3種類の投与経路を検討した。両モデルにおいて各投与経路3匹とした。 正常モデルにおいて、LNPの心臓への集積はIM、IC、IV群の順に多く、IM群では投与部位でLNPの強い集積を認めた。FLucの心臓発現量に関しては、IC群はIM群と同等であり、IV群より有意に高かった。発現部位は、IM群は投与部に、IC群では心臓全体で認めた。IV群はIVISで検出できなかった。虚血再灌流障害モデルにおいて、IVIS解析ではIV群では正常モデルよりもFLuc発現量の有意な上昇を認め、正常モデルと同様のLNP集積とFLuc発現が見られたIC群、IM群と有意差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度内に、予定していたウサギを用いた動物実験を終えることができたため、おおむね順調に研究は進展していると考えている。ルシフェリンFluc-mRNA内包LNPを作製した。LNPはATTO 700 DPPEを用いて蛍光ラベルを行うことでLNP自体の局在もIVISで評価可能となった。全身麻酔や挿管手技、カテーテル手技、開胸手技の確認のために予備実験を2匹試行した。その後、正常群の静脈投与IV(n=3)、心筋直接投与IM(n=3)、カテーテル冠動脈選択投与IC(n=3)を2023年内に終了し、2024年3月までに虚血再灌流障害I/R群の静脈投与IV(n=3)、心筋直接投与IM(n=3)、カテーテル冠動脈選択投与IC(n=3)を行った。In vivo imaging(IVIS)にて臓器解析を行った結果は下記のとおりであった。正常モデルにおいて、LNPの心臓への集積はIM, IC, IV群の順に高く、IM群では投与部位でLNPの強い集積を認めた。FLucの心臓発現量に関しては、IC群はIM群と同等であり、IV群より有意に高かった。発現部位は、IM群は投与部に、IC群では心臓全体で認めた。IV群はIVISでの検出はできなかった。虚血再灌流障害モデルにおいて、IVIS解析ではIV群では正常モデルよりもFLuc発現量の有意な上昇を認め、正常モデルと同様のLNP集積とFLuc発現が見られたIC群、IM群と有意差は認めなかった。今後の方針としては、組織解析を行い取り込み細胞の同定や、詳細な局在解析を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における新規性は、mRNA内包LNPを同一実験において正常モデルとI/RモデルおけるIV, IM, ICを同時に比較することであり、動物実験は予定通り2023年度内に施行することができ、またIVISの解析結果からICの有用性が判明した。2024年度ではその結果のメカニズム解析として、組織学的解析を進めていく方針である。具体的には、心臓においてFLucが発現している細胞を調べるために心筋細胞(TnT)以外にも血管内皮細胞(CD31), マクロファージ(CD68), 平滑筋細胞(aSMA), 線維芽細胞(ビメンチン)でそれぞれ免疫組織化学解析を行う。また、各投与方法の心臓短軸切片を解析することにより、心臓でのFLucの発現の局在の違いを明らかにする。また、心臓以外の臓器におけるFLuc発現細胞を確認するために、各臓器のHE染色とFLucの免疫染色の同時染色を行い、各臓器のmRNAの取り込み細胞を同定することを試みる予定である。上記の結果を国内学会、海外学会に抄録を登録して学会発表することを今年度の最終目標とする。その結果をもって2025年度内に学術論文を作成して海外雑誌に投稿することを予定している。
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