Project/Area Number |
23K08331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55050:Anesthesiology-related
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大槻 明広 鳥取大学, 医学部, 教授 (00379637)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | モルヒネ / 周術期疼痛管理 / xCT / 術後慢性痛 / 脳内炎症 / ミクログリア |
Outline of Research at the Start |
術後の慢性の痛みは、患者のQOLを低下させ社会的損失となる。周術期や重症疾患治療など高侵襲時の鎮痛薬使用が、うつ症状などの精神症状の発生と関連していることが知られている。一方で術後慢性痛の原因として、精神症状に加えて術後の強い痛みがあげられている。しかしながら術後慢性痛は発生の詳細なメカニズムについては十分にわかっていない。本研究ではマウスの脳内xCTに着目して、脳内炎症と術後慢性痛の関連について研究し、術後慢性痛の発生機序を解明し、術後慢性疼痛の予防法と治療法を開発するための基礎的検討を行うことを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
周術期疼痛管理は術後慢性疼痛の予防に重要とされている。慢性痛とうつ状態には関連があるが,強いストレスは脳内炎症を惹起し,うつ症状の原因となる。これまでに我々はマウス敗血症モデルを用いた研究から,強いストレスはうつ症状の発症と,脳内ミクログリアのxCTの上昇を伴う脳内グルタミン酸濃度の上昇を引き起こすことを示してきた。一方で手術などの高侵襲時の鎮痛にはモルヒネなどのオピオイド鎮痛薬を使用するが,オピオイドは海馬でのxCTの活性化を抑制することが示されている。オピオイドでxCTが抑制され、うつ症状が予防されれば,術後慢性痛も予防できると予想されるが,臨床的に慢性痛は増加する傾向がある。この矛盾の原因を解明するために,オピオイド鎮痛薬がマウス敗血症モデルにおいて,どのような影響があるかを検討した。 敗血症モデルはLPSを0.5mg/kg腹腔内投与することで作製した。LPS投与前から投与15日後までの体重測定と行動学的解析(Wheel Running Activity)を行い,うつ様症状である体重減少,活動性の低下を検討した。このときLPS投与2日前から3日間連続で、モルヒネ5mg/kg又は生理食塩水を腹腔内投与してモルヒネの影響を検討した。両群共にLPS投与翌日より約10ー15%の体重減少を示し、LPS投与7日までにベースラインに復帰した。モルヒネ投与群では、LPS投与1,2日の体重減少が対照群に比べて大きい傾向があったが、LPS投与3日以降では、両群間に明らかな差はなかった。LPS投与後3日目、7日目、14日目でのWheel Runnning Activityには両群間で明らかな差を認めなかった。 このことは、短期的なモルヒネ投与は、高侵襲暴露後の精神症状に影響しない可能性を想起するが、今回のモルヒネの投与期間は短く、その投与量も少ないためさらに条件を変えて検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モルヒネ投与量5mg/kgを3日連続投与では、対照群と比較して体重変化や活動性に大きな差は認められなかった。投与量や投与期間を変更することで、体重変化や、マウスの活動性に差が出る可能性が十分あると考えられるため、現在条件検討を続けている。タンパクのリン酸化や組織免疫染色などにおいて明確な結果を得るために、条件検討を入念に行った後に、脳組織からのタンパク抽出やマウス脳切片作成を行う方がより効率的であると考えたため、令和5年度中にはマウス行動実験までしか実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの体重変化や行動に有意な差がでないか、モルヒネ投与法を検討していく。また、倫理審査を経て、xCTノックアウトマウス、xCTコンディショナルノックアウトマウスが使用できるよう繁殖中であり、野生型でモルヒネ投与による影響を検出できない場合は、このマウスによる検討を行う予定である。
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