Project/Area Number |
23K08463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
全田 吏栄 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50920047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 満 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30379359)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | Wnt5a / Ror2 / Galectin-9 / Tim-3 / Rif / 敗血症 / マクロファージ |
Outline of Research at the Start |
敗血症は感染に対する異常な宿主免疫応答によって発症し、全身炎症反応により生命を脅かすような臓器障害をきたす。マクロファージは感染時の炎症反応に中心的な役割を担っており、敗血症はM1マクロファージとM2マクロファージの不均衡によってもたらされると考えられている。しかし、敗血症において不均衡なマクロファージ分極をもたらすメカニズムは明らかではない。本研究は、敗血症に伴いマクロファージで発現上昇するWnt5aとその受容体であるRor2に着目し、マクロファージのM1/M2分極におけるWnt5a/Ror2シグナルの機能とその敗血症における意義の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒト細胞を用いてマクロファージの分極におけるWnt5a/Ror2およびGal-9/Tim-3の相互作用の役割を解析するため、ヒト単球性白血病細胞株THP-1を使用した。この細胞株はフォルボール12-ミリスチン酸13-酢酸(PMA)刺激によってマクロファージに分化することが知られている。異なるPMA濃度でのマクロファージ誘導を検討した結果、50 nM PMA存在下での3日間の培養が最適な分化条件であることが確認された。次に、分化誘導したマクロファージをIFN-γ単独またはリポポリサッカライド(LPS)との併用下で培養し、M1分極化を試みた。しかし、使用したLPS濃度範囲では細胞の生存率が著しく低下し、実験に十分な細胞数を確保できなかった。さらに、分化誘導したマクロファージにおけるWnt5a/Rorシグナルに関わる分子の発現を解析したところ、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質Rifの発現が確認された。分化誘導前後の発現量を比較した結果、分化誘導によりRifのタンパク質量が約5倍に上昇することが判明した。また、Galectin-9 (Gal-9)とTim-3の両方を発現している急性骨髄性白血病細胞株Kasumi-3においてもRifが高発現していることが確認された。RifはRor1およびRor2に結合し、Wnt5aの細胞内シグナル伝達に必須な役割を果たすだけでなく、自然免疫応答にも関与することが報告されている。このため、RifがマクロファージにおけるWnt5a/Ror2およびGal-9/Tim-3の相互作用にも関与する可能性が示唆され、Rifの役割について詳細に検討することとした。これまでに、Rifは細胞質と核の両方に存在し、特に核内のRifは核膜の形態を制御することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養マクロファージとして、RAW264.7細胞(マウス白血病単球マクロファージ)に加え、ヒト細胞での検討を行うためTHP-1細胞(ヒト急性単球性白血病)を用いたが、マクロファージへの分化誘導およびM1/M2分極化の条件検討に時間を要した。また、当初予想していなかったRifの関与が示唆されたため、Rifの各種遺伝子改変コンストラクトの作製や免疫染色の条件検討等に時間を費やした。さらに、Rifの機能として、これまでに報告されているWnt5a/Rorシグナルや糸状突起形成の制御に加え、核内のRifの新たな機能が本研究によって見出され、その検証実験を従来の計画と並行して行ったため、全体的に進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、Ror2の細胞外領域に存在する3箇所のN結合型糖鎖結合部位を変異させたコンストラクト(作製済み)を用いて、Gal-9がRor2の糖鎖をどのように認識するのかを明らかにする。まず、THP-1マクロファージを用いて、M1/M2分極とそれに伴うWnt5a/Ror2およびGal-9/Tim-3の物理的および機能的相互作用を詳細に解析する。また、Kasumi-3細胞を用いても同様にWnt5a/Ror2およびGal-9/Tim-3の物理的および機能的相互作用の変化を解析する。さらに、Rifの意義についても検討を進める。具体的には、Rifの発現制御機構や、RifがWnt5a/Ror2およびGal-9/Tim-3のシグナル伝達に及ぼす影響を分子レベルで解明する。Rifが核内で核膜の形態を制御するという新たな知見に基づき、Rifの核内機能についてもさらに深く解析を行う。これにより、Rifがマクロファージの機能や分極にどのように関与しているのかを明確にし、マクロファージの分極メカニズムの解明に寄与することを目指す。加えて、Wnt5a/Ror2およびGal-9/Tim-3シグナルの他のエフェクター分子についても解析し、これらの分子がどのように相互作用し、マクロファージの機能に影響を与えるかを明らかにする。
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