Project/Area Number |
23K08478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55060:Emergency medicine-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西原 正章 九州大学, 大学病院, 助教 (70641017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 啓介 九州大学, 大学病院, 医員 (30784491)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 敗血症 / 慢性腎臓病 / 高濃度酸素 / 交感神経系 / 中枢性交感神経系 / 酸化ストレス |
Outline of Research at the Start |
敗血症は臓器障害を伴う生命を脅かす感染症であり、慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)を併存すると予後不良となる。敗血症診療における高濃度酸素の有害性が報告されるが、その機序は不明である。我々はCKDの病態形成に中枢神経系の酸化ストレスに起因する全身交感神経活動亢進が重要な役割を果たしていることを報告した。敗血症において高濃度酸素が中枢神経系の酸化ストレス亢進をきたし、交感神経活動亢進による臓器障害を増悪させる機序が考えられる。本研究の目的はCKDを併存した敗血症への高濃度酸素の暴露が、中枢性交感神経活動、臓器障害やその予後へ与える影響を明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
さまざまな疾患に対して酸素療法が行われるが、高濃度酸素が生体へ与える有害作用が注目されている。敗血症は臓器障害を伴う生命を脅かす感染症と定義され、過剰な交感神経活動の亢進が病態形成に関与している。慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)を併存する敗血症の予後は不良とされる。敗血症診療において高濃度酸素の有害性が報告されるが、その詳細な機序は十分に解明されていない。我々は中枢神経系の酸化ストレスが全身性の交感神経活動亢進をもたらし、CKDの病態形成に関与していることを報告してきた。敗血症において高濃度酸素により、中枢神経系の酸化ストレス亢進をきたし、全身性の交感神経活動が賦活化され、臓器障害を増悪させる機序が考えられる。CKDを併存した敗血症では交感神経系の活性化がその病態形成により深く関与し、高濃度酸素の暴露がより有害となりうる可能性がある。本研究の目的はCKDを併存した敗血症に対する高濃度酸素の暴露が、交感神経活動、臓器障害やその予後へ与える影響を明らかにすることである。 令和5年度はまず、実験動物種である雄性ラットに対して高濃度酸素を暴露させる実験系の確立を進めた。定まった容積のチャンバー内へいくつか条件の異なる酸素流量を設定して投与を行い、酸素濃度計を用いてチャンバー出口部の酸素濃度測定を行った。酸素流量の微妙な変化によりチャンバー内の酸素濃度は変化し、その定まった高濃度酸素環境を長時間安定して確立するために想定より時間を要した。 また、今年度は日本救急医学会総会など国内の各種学会へ積極的に参加し、敗血症を始めとする様々な基礎研究の手法の情報収集にも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は高濃度酸素環境の確立に想定より時間を要した。動物に負荷する酸素濃度を数種類設定し、それぞれの酸素濃度が安定して設定できるようチャンバー等の調整を行った。これらの様々な設定環境を用いて、ラットの敗血症誘発後に高濃度酸素負荷を与える実験を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は以下の実験を進めていく。 ① 疾患 (CKD併存敗血症) モデルの設定と交感神経活動亢進の経時的評価。われわれは過去にCKD併存敗血症モデルの作成を既に確立している。 ② 疾患モデルへの酸素負荷とその時の血液ガス分析による酸素分圧評価。酸素濃度は様々な値を設定して、その際の酸素分圧を評価する。 ③ 様々な濃度の酸素負荷がCKD併存敗血症モデル動物における臓器障害や交感神経系へ与える影響を評価する。
更に、以下の実験を推進する。④上記各種疾患モデルにおいて酸素負荷を与えた際の脳内における酸化ストレス・一酸化窒素 (nitric oxide; NO) および興奮性・抑制性アミノ酸(グルタミン酸・GABA)を始めとする各種調節機序の変化と交感神経活動の関係性を評価する。⑤上記各種疾患モデルにおける脳室腔への薬剤投与による酸化ストレスの抑制、引き続く酸素負荷が与える影響を評価する。具体的には中枢神経系における調節系、また交感神経活動へどの様な影響を与えるかを評価する。⑥これらの治療介入が酸素負荷されたCKD併存敗血症における臓器障害や生命予後に与える影響を検証する。
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