細胞小器官脂質解析によるIDH変異神経膠腫の悪性化機序の解明と治療標的分子の探索
Project/Area Number |
23K08539
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56010:Neurosurgery-related
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山崎 友裕 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40781050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 慎一郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10456577)
黒住 和彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20509608)
山岸 覚 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40372362)
大石 知也 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (50972428)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | IDH変異神経膠腫 / Stearoyl CoA desaturase / 悪性転化 / 脂肪滴 |
Outline of Research at the Start |
IDH変異は大部分の低悪性度神経膠腫で見られ、2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)の産生を介して代謝環境を再プログラミングし悪性転化、再発に至る。これまでに2HGが一価不飽和脂肪酸(MUFA)の産生を触媒する脂肪酸不飽和化酵素の発現を高め、MUFAの産生亢進と蓄積により脂肪滴の増大とアポトーシス回避が生じることを明らかにした。また低酸素誘導性脂肪滴関連(HILPDA)遺伝子が脂肪滴の増大に関与していることを同定し、現在IDH変異神経膠腫の悪性転化に関わるHILPDAの分子機構の解明に取り組んでいる。今回、IDH変異神経膠腫の悪性転化に関与する脂質代謝分子を標的とした新規治療法の開発を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)変異は大部分の低悪性度神経膠腫で見られ、2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)の産生を介して代謝環境を再プログラミングし悪性転化、再発に至る。再発時に選択できる治療法はほとんどなく、再発が死亡の契機となることから、悪性転化の機序解明はIDH変異神経膠腫の予後改善に資する重要な課題である。申請者らはIDH変異神経膠腫の細胞小器官における代謝物局在に注目しており、ラマン顕微鏡によるバイオイメージングと代謝解析法の開発を行っている。これまでに2HGが一価不飽和脂肪酸(MUFA)の産生を触媒する脂肪酸不飽和化酵素のStearoyl CoA desaturase (SCD)発現を高め、MUFAの産生亢進と蓄積により脂肪滴の増大とアポトーシス回避が生じることを明らかにした。また低酸素誘導性脂肪滴関連(HILPDA)遺伝子が脂肪滴の増大に関与していることを同定し、現在IDH変異神経膠腫の悪性転化に関わるHILPDAの分子機構の解明に取り組んでいる。今年度はIDH変異神経膠腫の悪性化機序の解明のため脂肪的代謝に関わる脂質代謝酵素の機能評価を行った。野生型のグリオーマ細胞株に2HGを作用させてRNAシーケンスで行ったところ、オンコメタボライトである2HGはSCDの発現を上昇させることがわかった。そこでSCD阻害剤に対するグリオーマ細胞のviabilityをみたところ、IDH変異型の細胞増殖を抑制でき、アポトーシス因子の上昇がみられた。さらにSCD発現阻害に伴う遺伝子発現変化をRNAシーケンスでみたところ、HILPDAという脂肪滴代謝に関与する遺伝子が抽出された。TCGAデータでHILPDAの発現はグリオーマの悪性度と相関しており、またHILPDA高発現は予後不良因子であり、治療標的となると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IDH神経膠腫の脂質治療標的分子の機能解析による悪性進展への関与を検証を進めた。①ウェスタンブロッティングによる関連分子の発現量を確認した。②shRNAによるノックダウン細胞(U251KD)を作成し、1)細胞増殖能、2)細胞周期、3)浸潤能、4)治療抵抗性(腫瘍幹細胞性)について野生型細胞と比較した。③脂肪滴を蛍光色素で染色し、ノックダウンの有無で細胞小器官の形状やサイズ、数の変化を蛍光顕微鏡にて計測した。④低悪性度のBT142KD、BT142WTと高悪性度のNCH612KD、NCH612WTについてノックダウンの有無と悪性度の違いに基づいた脂肪酸脂質プロファイルの変化確認し、治療標的分子が実際に脂質代謝を制御しているかをウエスタンブロッティングで確認した。以上実験は概ね予定通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度の実験計画であるが①正常ヒトアストロサイトに対する2HG添加有無によるトランスクリプトーム解析にて、培養正常ヒトアストロサイトについて2HG添加有無で全RNAを抽出しRNAシーケンスを実施する。2HGがアストロサイトに与える、腫瘍化、悪性化に関わる脂質代謝遺伝子発現への影響を確認する、②脂質再プログラミングに基づいた治療標的分子の選定として、KEGG PATHWAY Databaseなどを用いて、脂質メタボロームデータの代謝パスウェイへのマッピングを行い、上流解析を行い初発と再発時に変動する脂質の代謝に関与する転写因子を抽出する、また③電子顕微鏡による細胞小器官の計測を行い、初発と再発時患者検体を走査型電子顕微鏡(SEM)によるパラフィン切片の観察により細胞小器官(小胞体、ゴルジ体、脂肪滴、ミトコンドリア)の形状やサイズ、数のデータを取得する。さらに、National Institutes of Health、National Cancer Institute、Neuro-Oncology BranchのDr. Larionとリモートカンファレンスとメールでの情報交換を続け、顕微ラマン分光法、液体クロマトグラフィーによる質量分析、NMRや代謝フラックス解析などを用いた代謝研究についての共同研究を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)