Project/Area Number |
23K08665
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
岩尾 泰久 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (90813684)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | CA-MRSA/J / SCCmec IVl / 細胞壁結合型表層タンパク質 / SasL |
Outline of Research at the Start |
CA-MRSA/J株は侵襲性深部感染症を惹起するが、侵襲性疾患への病原性発現機序については未だ解明されていない。本研究では、血液成分や細胞外マトリックスと特異的に結合する可能性があるCA-MRSA/J株固有の表層タンパク質SasLに着目し、SasLのリガンド物質を探索する。また、遺伝子破壊によるSasLの機能解析を行い、侵襲性疾患におけるCA-MRSA/J株の病原性発現機序を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
CA-MRSA/J株による侵襲性深部感染症では、腸腰筋膿瘍や椎体炎などの症例が多くみられるが、ヒトの深部組織への感染機序は明らかになっていない。令和5年度では、化膿性関節炎マウス感染モデルを構築するために、B6マウスへの感染実験を行なった。至適感染価を決定するために、CA-MRSA/J野生株の菌液を段階希釈して調整し、B6マウスに尾静脈投与した。菌投与後10日間、B6マウスの病態形成を確認した。接種菌量が4.0E+7CFU以上では病態が悪化しやすいことが明らかとなった。現在、接種菌量が1.0E+7CFU以下で病態形成を確認している。また、B6マウス内におけるCA-MRSA/J株の局在を把握するために、生物発光イメージング(AkaBLI)及び近赤外蛍光イメージングの構築を行なった。CA-MRSA/J株及び比較対照株に生物発光akaluc遺伝子及び近赤外蛍光タンパク質iRFP遺伝子を導入し、AkaBLI及び近赤外蛍光イメージング用菌株を作製した。AkaBLIでは、作製した菌株をB6マウスに尾静脈投与し、基質の至適濃度及び基質投与後の発光ピーク時間を決定した。akalumine基質の至適濃度は30 mMで、基質投与後の発光ピーク時間は観察する臓器によって異なるが、15分から35分間であった。 CA-MRSA/J株固有の細胞壁結合型表層タンパク質SasLは、血液成分や細胞外マトリックスと特異的に結合し、侵襲性感染の成立に寄与することが考えられているが、そのリガンド物質は明らかになっていない。SasLの機能解析では、大腸菌を用いて、組換えタンパク質rSasLを単離、精製した。その後、ウサギの抗rSasL血清を作製した。作製した抗血清はrSasLに高い力価を示し、SasLの検出が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験に関しては、CA-MRSA/J株及び比較対照株を用いたAKaBLIイメージングが可能となった。一方、化膿性関節炎マウス感染モデルでは、CA-MRSA/J株の至適感染価の検討を行っているが、B6マウスに個体差があり、再現性を取るまでに少し時間がかかっている。組換えタンパク質rSasLを精製し、ウサギの抗rSasL血清を得ることができた。抗血清によるSasLの検出が可能となったことは大きな前進である。現在、アガロースビーズにrSasLをカップリングさせるためにrSasLの精製を行っているが、rSasL精製には大量の培養液が必要なため、rSasLの精製に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度も引き続き、化膿性関節炎マウス感染モデルを構築するために、B6マウスへの感染実験を行う。至適感染価を確定し、CA-MRSA/J株及び比較対照株を用いて、化膿性関節炎マウス感染モデルを構築する。マウス病態の比較において、各菌株投与後10日間、経時的に体重の増減、関節炎の感受性と頻度を集計する。感染10日目にCTによる骨浸食、関節組織のHE染色、関節および腎臓内の菌数、血清中のIL-1, IL-6や単球化学誘引タンパク質(MCP-1)を測定し、マウスの病態形成を評価する。 表層タンパク質SasLの機能解析では、rSasLとアガロースビーズをカップリングし、細胞外マトリックスや血液成分を網羅的に結合させて、rSasLのリガンド候補物質をスクリーニングする。凝集が見られたリガンド候補物質に対しては、生体分子間相互作用解析を行い、親和性の高いリガンド物質を同定し、機能解析を行う。rSasLの精製に時間を要する場合には、細菌とリガンド候補物質との付着実験を実施する。
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