変形性膝関節症における移植後滑膜幹細胞のメカノアクチベーションによる治療効果増強
Project/Area Number |
23K08693
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56020:Orthopedics-related
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松田 純平 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 非常勤講師 (00535271)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 健太郎 東京医科歯科大学, 統合研究機構, プロジェクト助教 (30844378)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 滑膜間葉系幹細胞 / メカニカルストレス / 膝関節 / 滑膜伸張 / 再生医療 / 細胞治療 / 変形性膝関節症 |
Outline of Research at the Start |
運動や歩行は膝関節が正常であることが大切です。関節内組織が変性すると、強い痛みを伴って関節の機能が損なわれます。ヒアルロン酸注射や人工関節置換などの外科的手段は、関節機能の改善を助ける有効な選択肢ですが、組織を回復させることはできません。我々は、滑膜間葉系細胞を関節内移植すると軟骨組織が改善することを臨床的に示してきました。一方、移植後、どのような行動が適切かは不明です。 本研究では、細胞移植後、足の曲げ伸ばしによって大きな外力に曝される膝関節内の滑膜間葉系幹細胞の影響について、細胞、動物実験によって評価し、移植された滑膜間葉系幹細胞が効果的に機能を増強する条件について明らかにする研究です。
|
Outline of Annual Research Achievements |
我々は滑膜間葉系幹細胞(滑膜MSCs)の関節内注射によってOA患者の関節軟骨再生を示してきた。しかし、移植後のMSCsに対する適切な運動管理についてのエビデンスは無い。本研究では、移植後の滑膜MSCsの歩行や屈伸運動などの日常的な動きに対するストレス応答性に係る影響について、滑膜MSCsを用い細胞自体のストレス応答の程度をin vitro実験系によって確認している。また、ラットを用いたin vivo動物実験系によって膝関節に導入した滑膜MSCsの動態や配置、細胞生着状況を評価している。 本年度は、培養した滑膜MSCsに対して伸張刺激装置を用いたメカニカルストレスを負荷し、滑膜MSCsのストレス応答性について実験的評価を行った。シリコーン製培養容器上に細胞を播種し、0.1%から20%伸張刺激を負荷した。20%までの伸張負荷に対して滑膜MSCsは生存率を維持した。遺伝子発現に関して、変形性関節症固有マーカーPRG4、TIMP1、メカニカルストレス応答マーカーYAP1、ACTB、細胞増殖マーカーMK167、PCNA等を定量的に評価し、1%刺激で特にMK167の発現の亢進を認めた。0.5 hrより2.0 hrでより顕著であった。これは7日間刺激後の細胞数に反映され、静置群と比較して1.56倍であった。 また、臨床的な知見として導入された滑膜MSCsは、膝の滑膜組織を含む関節包内全体に生着する。滑膜組織の膝屈曲時の滑膜組織の伸張度についてブタ膝組織を用いた評価を行った。滑膜表面に付したマーカーを解析した結果、関節面の屈曲伸展に伴って滑膜は伸張され、関節顆に内部から押し出されるように不均一な伸張率を示した。最小伸張率は102.36%、最大伸張率は204.06%、また、一部局所的に収縮し、最大収縮率は89.42%であった。なお、評価は伸展位を基準として屈曲位までの伸びを評価している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験計画に沿って研究を進めることができている。本研究で対象とする滑膜間葉系幹細胞は、伸張負荷に対して高いストレス耐性が認められた。これは膝関節中の組織に生着、浸潤して存在し、膝の屈曲伸展もしくは荷重負荷に曝される環境下にあることからも推察される。本年度は滑膜間葉系幹細胞自体のストレスに対する応答性を確認し、1%程度で負荷が細胞増殖能を亢進することを明らかにした。関節内に投与される幹細胞の管理に対して、高い伸張負荷耐性があること、滑膜組織自体の伸び率に対して比較的低い伸び率で細胞増殖能が亢進することは、次年度以降で実施計画中のin vivo動物試験のベースデータとして実施条件の選定をサポートする。次年度以降の動物実験の知見は、今年度のin vitro実験系にフィードバックして検証することも想定している。 従って、現在までの進捗状況として、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、基本的に申請時の計画に沿って進めていく。次年度は動物実験を伴うため、従前に動物実験に係る研究機関への申請および動物実験に用いる各種試験器具の準備を既に進めている。滑膜幹細胞の膝関節導入方法についても、既に我々の研究グループで確立された手技を有しているため、関節内への細胞インジェクション条件の設定に問題は生じない予定である、関節内に導入された滑膜幹細胞の配置を明確にする必要があるが、これについても細胞への蛍光指標の導入によって、膝関節既存の細胞との混在なく評価できることを確認し、準備している。懸念事項としては、インジェクション後の細胞配置に偏りが生じることが確認されている。関節内での異なる細胞配置の影響の程度を確認する必要がある。一方で、細胞配置の偏りは臨床においても同様であると推察される。従って、最終的な結果は、細胞配置、細胞導入後の運動程度、運動開始のタイミングを変数として評価され、結果は臨床の細胞治療に一定の知見を与えることができると考えられる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)