Project/Area Number |
23K08723
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56030:Urology-related
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安水 洋太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40464854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30445407)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 神経内分泌前立腺癌 / NeuroD1 / ASCL1 / MUC1 / Myc |
Outline of Research at the Start |
「MUC1/cMyc/NeuroD1がNEPCからDNPCへの形質転換に関与する」と仮説をたて、NEPCからDNPCへの分化メカニズムの解明を目指す。具体的には以下の点の解明を目指す。 ・前立腺癌細胞株及びNEPC細胞株にMUC1/cMyc/NeuroD1を導入あるいは抑制し、神経内分泌関連タンパクの発現を評価する。 ・MUC1/cMyc/NeuroD1の導入で発現が亢進したタンパクあるいはMUC1/cMyc/NeuroD1の抑制で発現が減弱したタンパクを抽出する。 ・標的タンパクの抑制による細胞増殖抑制効果を評価する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
転移性前立腺癌はアンドロゲン受容体(AR)をターゲットとした治療を受ける過程で、AR経路に依存しない増殖能を獲得し、薬剤抵抗性の神経内分泌前立腺癌(neuroendocrine prostate cancer; NEPC)やダブルネガティブ前立腺癌(Double-negative prostate cancer: DNPC)となる。NEPC・DNPCに対して確立した治療法はなく、新規治療戦略樹立のため分子基盤の解明は急務である。応募者は糖タンパクの一つであるムチン1(Mucin1:MUC1)の発現亢進がNEPC脱分化の一端を担うことを発見した。MUC1はcMyc-BRN2経路を介して前立腺癌の神経内分泌分化を引き起こす。。一方で、実臨床ではMUC1だけでは説明できないNEPC表現型が存在することを経験している。NEPCの一部はMUC1強陽性に関わらず神経内分泌マーカーは陰性である。この組織は、病理学的形態としては「NEPC」であるが、分子的特徴は「DNPC」となる。果たしてMUC1はNEPC脱分化のみならずDNPC脱分化を引き起こすのだろうか?神経内分泌癌の一種である小細胞肺癌では、cMyc-NeuroD1が脱分化を引き起こし、シスプラチン抵抗性神経内分泌マーカー陰性小細胞肺癌が発生する。当教室では臨床検体を用いた新規NEPCオルガノイドの作成を日々試みている。作成されたオルガノイドから新規NEPC細胞株の樹立を試み、一部成功している。今回「MUC1/cMyc/NeuroD1がNEPCからDNPCへの形質転換に関与する」と仮説をたてた。樹立した細胞株を用いてNEPCからDNPCへの分化メカニズムの解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小細胞肺癌はマスターレギュレーターとなる転写因子によって「ASCL1」型、「NeuroD1」型、「YAP1」型、「POU2F3」型に分けられる。NEPCにおいてもこれらの転写因子による分類の重要性が着目されていて、「ASCL1」型と「NeuroD1」型は相互排他的に存在する。まずはNeuroD1陽性NEPC細胞株の樹立を試みた。既存のNEPC細胞株であるNCI-H660や当教室が過去に樹立したC4-2BAI株はASCL1陽性NEPC細胞株であり、これまでにNeuroD1陽性NEPCモデルは存在していなかった。NEPC患者由来のオルガノイドを通常培地下で培養し、新規NEPC細胞株KO-NEPC2を樹立した。KO-NEPC2はNeuroD1陽性であり、世界初のNeuroD1陽性NEPC細胞株を樹立した。続けてKO-NEPC2の分子的特徴を追究した。KO-NEPC2はシナプトフィジンやクロモグラニンといった神経内分泌マーカーを発現し、MUC1も強発現していた。シスプラチンに対して感受性を示すものの、その効果は限定的であった。トランスクリプトーム解析の結果、MUC1及びcMycの発現の亢進を認め、MUC1/cMyc経路の活性化が疑われた。続いて、cMyc経路に着目しcMyc阻害剤として用いられるBRD4阻害剤JQ1を使用した所、有意にシスプラチンの抗腫瘍効果を増強した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたり、、NEPCにおけるMUC1/cMyc/NeuroD1によるDNPC脱分化メカニズムの解明を更に進めていく。具体的には下記の通りである。 ①KO-NEPC2細胞がBRD4阻害剤JQ1に感受性を示すことを確認した。そこでNEPCにおけるBRD4の役割について検討する。まずはNCI-H660やKO-NEPC2でのBRD4とMUC1/Mycの核内の局在を確認する。続けてJQ1使用時のトランスクリプトームの違いを確認し、作用機序について検討する。JQ1以外のBRD4阻害剤についても評価し、同様の結果が得られるか検討する。JQ1はシスプラチンの感受性を明確に増強することを確認しており、そのメカニズムの解明にも着手する。可能であればマウスを用いたin vivoでの検討も行い、NEPC細胞に対するCDDP+BRD4阻害剤治療の効果を評価する。 ②更なるNeuroD1陽性オルガノイドの樹立を目指す。新規NeuroD1陽性NEPC細胞株であるKO-NEPC2に対してBRD4/cMycをターゲットとした治療が高い抗腫瘍化を示すことを発見した。その妥当性をしめすためには他の細胞株での検討が必須である。現時点ではNeuroD1陽性細胞株はKO-NEPC2のみであり、オルガノイド樹立の研究を進め、新規NeuroD1陽性NEPC細胞株の確立を目指す。
|