Project/Area Number |
23K08884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56040:Obstetrics and gynecology-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 香江 名古屋大学, 低温プラズマ科学研究センター, 特任准教授 (10744047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏昌 名古屋大学, 低温プラズマ科学研究センター, 教授 (00508129)
芳川 修久 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60804747)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 卵巣がん / 大気圧プラズマ / プラズマ活性溶液 / がん微小環境 / CAR-T / がん免疫療法 |
Outline of Research at the Start |
腹膜播種を伴う進行卵巣がんや再発例は治療抵抗性を獲得し難治性となる。がん免疫療法は、一部のがん種では治療成績を劇的に改善したが、腹膜播種に対する効果は限定的であり、免疫抑制的腫瘍微小環境に起因することが指摘されている。本研究において、大気圧プラズマを液体化したプラズマ活性溶液がCAR-T細胞療法の活性や持続性を向上させ、がん免疫療法の課題解決のための新規治療戦略となることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
卵巣がんに特徴的な腹膜播種を伴う病態では、治療抵抗性を獲得するようになり、腫瘍微小環境がその一端を担っている。キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)T細胞(CAR-T)療法は、一部の血液がんに対する劇的な治療効果が明らかとなっている。しかし、固形がんの腫瘍微小環境は非常に複雑且つ免疫抑制的であるため、血液がんで得られたような効果は認められていない。卵巣がんにおいても、治療抵抗性のメカニズムの一つとして腹膜播種微小環境の免疫抑制状態の関与が示唆されている。そこで、本研究において、生物学的活性効果を誘導できる大気圧プラズマにより活性化したプラズマ活性溶液を用いて免疫抑制的腫瘍微小環境を改変しうるかどうかを検討し、がん免疫療法の課題解決につなげることを目的とする。そこで、ヒト卵巣がん患者から採取した腹水が健常人末梢血由来T細胞に対し、免疫抑制を誘導するかどうかを検討したところ、液相分離したがん性腹水は、活性化ヒト末梢血単核球(PBMC)の増殖及びIFNγ分泌能を抑制することが明らかとなり、免疫抑制系のin vitro 評価系となる事を示した。さらに、ある濃度域のプラズマ活性溶液により処理されたPBMCは、がん性腹水により誘導した増殖抑制を解除しうることを確認し、プラズマ活性溶液は免疫抑制解除能を有することが示唆された。本効果は腹水中の免疫抑制を誘導する因子の一つであると考えられているTGFβ1に暴露されたPBMCに対しても、TGFβ1により抑制された細胞増殖能を解除する効果が認められ、プラズマによる免疫細胞賦活能が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は臨床サンプルの準備が整い、卵巣がん患者由来がん性腹水および腹水中の免疫抑制誘導因子の一つであると考えられているTGFβ1による活性化ヒト末梢血単核球(PBMC)に対する免疫抑制誘導系を確立した。さらに免疫抑制が誘導されたPBMCに対し、その抑制を解除するプラズマ活性溶液の条件検討を行い本解析は順調に進んだ。 さらに次年度以降で使用する卵巣がん特異的CAR-Tは、Mesothelin(MSLN)-CARをT細胞に遺伝子導入する必要があるため、ヒトリンパ球への遺伝子導入法の検討を行い、機能的なMSLN-CAR-Tの作成に成功した。これにより、本研究を進めるために重要となるCAR-Tの安定的な作成の目途が立った。さらに、in vitroにおけるMSLN-CAR-Tの細胞傷害性試験および、マウスモデルで用いるMSLN高発現卵巣がん細胞株の作成を行い、CAR-Tに対するプラズマ活性溶液の解析準備が整った。今後はこれらの細胞を用い、プラズマ活性溶液の免疫機能に対する効果を評価していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果では、活性化PBMCに対して、患者由来がん性腹水の液相成分及びTGFβ1により免疫抑制が誘導されること、ならびにプラズマ活性溶液にはその免疫抑制を解除する効果を有することが明らかとなった。そこで、卵巣がん特異的MSLN-CAR-Tに対しても、がん性腹水及びTGFβ1により同様の免疫抑制を誘導しうるかどうか、さらにプラズマ活性溶液の免疫抑制解除効果についても同様に検討を行う。TGFβ1の他にも候補となる腹水側の免疫抑制関連因子の同定に加え、T細胞側の免疫抑制因子についても解析を進め、プラズマにより誘導される免疫抑制解除機構を詳細に調べる。 また、OT-1トランスジェニックマウスより調整したOvalbumin(OVA)-TCR-Tに対するプラズマ活性溶液の腫瘍免疫への効果について解析を行い、免疫正常な卵巣がんマウスモデルの実験系におけるプラズマ活性溶液の抗腫瘍効果増強能を評価する。
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