中枢性嗅覚障害における嗅球ドパミン神経細胞死と匂い嗅ぎ呼吸調節の因果関係
Project/Area Number |
23K08904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56050:Otorhinolaryngology-related
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
野口 智弘 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10466500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 英明 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (80436823)
佐藤 元 明海大学, 歯学部, 講師 (10432452)
笹島 仁 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00374562)
宮園 貞治 旭川医科大学, 医学部, 助教 (50618379)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 嗅覚運動系 / 呼吸 / 嗅覚障害 / 神経変性疾患 / パーキンソン病 / 感覚運動 / 嗅覚 / 匂い嗅ぎ / マウス |
Outline of Research at the Start |
パーキンソン病は身体が硬直して動けなくなるなどの運動症状が主な症状である。しかし、多くの患者では動けなくなる少なくとも数年ほど前から、匂いが分からなくなる中枢性の嗅覚障害が見られる。現在、嗅覚障害の治療が運動症状を予防する可能性が検討されている。本研究課題は、有効な薬物療法のない中枢性嗅覚障害に適用される嗅覚リハビリテーションの成績向上のため、嗅覚機能を向上させる呼吸運動の神経メカニズムの解明に取り組む。嗅覚障害のモデルマウスを作成し、匂いを嗅いでいるときの呼吸波形を記録する。嗅覚障害の程度によって匂いの嗅ぎ方がどのように変わるかを観察し、嗅覚障害から機能回復させるリハビリの手がかりを得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
神経変性疾患に合併する中枢性嗅覚障害に対する有効な薬物治療が存在しない現在、リハビリテーションの手法を取り入れた嗅覚刺激療法が注目されている。嗅覚刺激療法では、患者が能動的に匂いを嗅ぐことを重視する。なぜ、匂い嗅ぎの訓練が嗅覚機能を可塑的に改善するのか、その神経機序は不明である。近年、我々はマウス嗅神経の発火パターンを情報理論に基づいて解析し、嗅神経の情報符号化の正確さが呼吸周波数に依存することを見出した。これは匂い嗅ぎ時の呼吸周波数の変化が嗅覚機能改善に寄与することを示唆する。このことから我々は、匂いの識別を高める呼吸の特徴を発見することを目標に、無拘束全身プレチスモグラフィを用いてマウスの呼吸流量 [ml/s] を測定した。連続して記録された呼吸流量は、一対の吸気相と呼気相から構成される呼吸周期に分割された後、各呼吸周期における振幅および持続時間、形状に関するパラメータを用いてクラスター解析に供された。通常、2分間の測定で500~1000回の呼吸周期が含まれていた。クラスター解析によって、これらは高振幅で形状が正弦波に近い呼吸と低振幅で形状が不規則なものにタイプ分けされた。測定中、チェンバー内で自由行動するマウスは3種類の匂い刺激を与えられた。匂い刺激としてベンズアルドヒド、プロピオン酸、(-)-カルボンを使用し、これらはそれぞれ、マウスが嫌う、好む、中立の匂いと言われている。匂い刺激中には匂いの質によって、呼吸波形のタイプが変化する傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
覚醒した動物の自由行動中における呼吸は行動の文脈によって強さも波形も多様に変化する。すなわち、呼吸はガス交換の要求に応じて自律的に調節されているのみならず、随意的にも精密かつダイナミックに制御されている。したがって、個体差や試行間のばらつきが大きく、匂い刺激に由来する呼吸変化のみを検出するのは従来の解析では困難であった。そこで、我々は、マウスの呼吸波形を特徴に応じて分類する独自のアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを用いて、これまでは難しかった情動と結びついた呼吸波形の特徴を抽出すべく、解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
呼吸クラスタリング解析を嗅覚障害モデルマウスに適用することで嗅覚障害の程度を定量化する。すでに、我々はミトコンドリア阻害剤であるロテノンをマウス鼻腔内に投与することで、嗅球中のドパミン介在神経に特異的な細胞死を誘導する手法を確立している。この中枢性嗅障害モデルマウスの匂い嗅ぎ呼吸を解析し、嗅覚が呼吸をどのように制御しているかを明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)