糖尿病網膜症における細胞外小胞による神経血管ユニット障害を標的とした新規治療開発
Project/Area Number |
23K09004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 智昭 京都大学, 医学研究科, 講師 (50549095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 勇貴 京都大学, 医学研究科, 助教 (00739089)
池田 華子 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20372162)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 細胞外ミトコンドリア / DNA-PK / 光干渉断層血管撮影 / 糖尿病黄斑虚血 / 神経変性 / 細胞外小胞 / DNA損傷反応 / 橋渡し研究 |
Outline of Research at the Start |
最新の高精細眼底イメージング技術を用いて、糖尿病網膜症におけるneurovascular unit(神経血管ユニット)障害の視点から、特に、黄斑浮腫、黄斑虚血、黄斑変性の臨床的特徴を明らかし、unmet medical needsを具体化する。その臨床像は、近年注目されている細胞外小胞に関する橋渡し研究で、分子機構を解明する。特に、外因性DNAによるDNA損傷反応に着目し、神経変性と神経炎症のメカニズムを明らかにする。また、細胞老化関連分泌形質、つまり、炎症、免疫、線維化に関連する分子の発現を網羅的にプロファイルする。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は、糖尿病網膜症眼の硝子体中に、細胞外小胞の一つである細胞外ミトコンドリアが存在することを見出した。培養視細胞でも補体刺激により、細胞外ミトコンドリアが放出する。そこで、神経血管ユニットのうち、まず、網膜色素上皮細胞に着目し、細胞外ミトコンドリアの影響を検討したところ、細胞障害を惹起していた。その分子機構として、ミトコンドリアDNAに着目し、細胞内DNAセンサーを生化学的手法にてスクリーニングした。その結果、XRCC5, XRCC6がDNA結合タンパクとして同定された。それらのタンパクは、ヘテロダイマーを形成し、PRKDCをリクルートし、DNA-PKというタンパク複合体を形成することで、細胞内リン酸化シグナルを刺激する。その阻害剤とノックダウンによる阻害実験により、部分的に細胞障害が抑制されることから、細胞外ミトコンドリアがDNA-PK依存性の細胞障害メカニズムの一部を明らかにした。これらの成果は国内外の学会にて発表し、現在、論文投稿中である。 糖尿病網膜症におけるもう一つの重要な側面である網膜血管障害について、光干渉断層血管撮影を用いた臨床的な解析を進めている。広角撮像装置を用いた解析では、無灌流領域の進行には、耳側中心型、下方中心型、鼻上下型があり、血圧や生理的な血管走行、血流の自動調節力など、いくつかのメカニズムが関与することが示唆される結果が得られ、海外誌に報告した。また、網膜中心で視力を規定する黄斑部における血流障害についても、進行過程のプロファイリングを行っている。つまり、3次元的な網膜血管の血流障害部位の位置を決定し、多次元情報をUMAPを用いた次元削減により、2次元平面に可視化し、クラスタリングを行った。その結果から、浅層から進行するパターンと深層から進行するパターンに分かれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経障害のメカニズムに関しては、分子機構も解明でき、論文投稿に到達している。また、血管障害に関する詳細な臨床的プロファイリングも順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病網膜症では神経炎症が神経血管ユニットの障害に強く寄与することが推測されている。細胞外ミトコンドリアには多くのdamage-associated molecular patterns(DAMPs)を多く含んでおり、炎症の惹起、促進するかを確認するために、特に、マクロファージに着目した研究を予定している。健常ボランティアと糖尿病網膜症患者の末梢血から単球を採取し、マクロファージへ分化させたのち、分子生物学的解析を行う。 細胞外ミトコンドリアが網膜血管へどのような影響を及ぼすかを検討するために、血液中の細胞外ミトコンドリアを収集し、培養血管細胞に投与し、その生物学的影響を評価する。細胞外ミトコンドリアの収集は既に開始しており、ある程度の症例数で回収できた時点で、その定量的解析を行い、臨床所見との関連を評価する。 光干渉断層血管撮影を用いて糖尿病黄斑虚血の解析を行ってきたが、進行過程をある程度把握できてきた。今後は、その臨床的意義を検討するとともに、発症の最初期病変を臨床的に同定し、病変のinitiationとprogressionのいずれに、細胞外小胞が関与しているのかを検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(19 results)