グルタチオン三硫化物GSSSGの抗酸化・抗炎症作用に基づく難治性眼疾患の病態制御
Project/Area Number |
23K09037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國方 彦志 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40361092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俵山 寛司 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20402414)
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 酸化ストレス / 活性イオウ分子種 / 抗酸化 / 抗炎症 / 難治性眼疾患 |
Outline of Research at the Start |
糖尿病網膜症や緑内障は、酸化ストレスや炎症が一因となる難治性眼疾患であり、我が国における中途失明原因の40%以上を占める。これまで我々は、活性イオウ分子種であるグルタチオン三硫化物(GSSSG)の機能解析研究を推進し、GSSSGが優れた抗酸化・抗炎症作用を発揮することを発見した。本研究では、これらの疾患のモデル動物を用い、GSSSGが網膜細胞死抑制に有効であるかどうか検討する。本研究は、GSSSGが有する抗酸化・抗炎症作用を活用し、網膜細胞死抑制による眼疾患病態制御の可能性について検証する基盤研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスは、毛細血管形態を変化させ、眼疾患を発症する可能性が高い。よって、DMRについて、毛細血管スコープSC-10を用いて、爪床毛細血管(NC)評価を行った。その結果、DM患者ではDR重症度が高くなるにつれて、NCの構造的変化が強くなる傾向がパラメータとして明瞭に捉えられ、NCパラメータはDRと増殖DRの識別能を有していた。また、全身因子もDRおよび増殖DRの存在と関係していたが、その全身所見にNC lengthを加えるとDRの識別能をさらに有意に改善させることが明らかになった。今回の研究から、NCはDRと関係が深く、既知のDR全身リスクを補完し高精度にDRリスクを予測することを可能とするため、NC測定は非侵襲的で簡便な検査方法になり得ると考えられた。また、近視性脈絡膜新生血管(mCNV)も失明に関わる眼疾患であるため、潜在的抗酸化能BAP/dROM比(B/d比)を算出し、mCNVとの関連を検討した。その結果、d-ROMは、女性において有意に高値であった。強度近視群とmCNV群の比較では、BAPとB/d比はともにmCNV群で有意に低値であった。多変量ロジスティック回帰解析では、BAPとB/d比はともにmCNVに有意に関連し、B/d比はより小さいオッズ比を示した。mCNV群のみで行った重回帰分析では、B/d比のみ中心窩下脈絡膜厚(SFCT)と有意な関連を示した。潜在的抗酸化能B/d比は、強度近視におけるmCNVリスク評価に有用である可能性が示唆された。さらに、網膜細胞実験を行い、GSSSGは網膜グリア細胞における炎症性サイトカインの発現を抑制することにより、炎症に関連した眼疾患の発症を予防する可能性があることを論文報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網膜細胞実験を行い、GSSSGは網膜グリア細胞における炎症性サイトカインの発現を抑制することにより、炎症に関連した眼疾患の発症を予防する可能性があることを論文報告した。さらに、本研究課題がフォーカスする酸化ストレスは、NC形態を変化させ、眼疾患を発症する可能性が高いと考えられるため、実際のDMRについて、毛細血管スコープSC-10を用いて、爪床毛細血管評価を行った。DM患者ではDR重症度が高くなるにつれて、NCの構造的変化が強くなる傾向がパラメータとして明瞭に捉えられ、NCパラメータはDRの識別能を有し、さらに全身因子もDRと関係していたが、その全身所見にNC lengthを加えるとDRの識別能をさらに有意に改善させることが明らかになった。また、mCNVも失明原因上位の眼疾患であるため、潜在的抗酸化能B/d比を算出し、mCNVとの関連を検討したところ、強度近視群とmCNV群の比較では、BAPとB/d比はともにmCNV群で有意に低値、多変量ロジスティック回帰解析では、BAPとB/d比はともにmCNVに有意に関連し、B/d比はより小さいオッズ比を示した。mCNV群のみで行った重回帰分析では、B/d比のみSFCTと有意な関連を示した。潜在的抗酸化能B/d比は、強度近視におけるmCNVリスク評価に有用である可能性が示唆された。以上のように、様々な網膜疾患と酸化ストレスの関与が臨床的にも明らかになった。 活性イオウ分子種は構造的に不安定であり、生体内において比較的高濃度に存在するGSSSGについては、国内外のどのサプライヤーにおいても市販化されていない。GSSSGをさらに取得し実験の継続を可能とするべく、現在、提携企業において継続的なMTAを結び安定的に多量の高純度品を獲得できる体制を構築中である。
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Strategy for Future Research Activity |
網膜疾患、緑内障などの眼疾患でヒト生体内の酸化ストレス測定を継続し、病態解明に繋がる新知見の取得を継続する。また、活性イオウ分子種は構造的に不安定であり、かつては生合成経路も未同定であったが、その合成経路も現在明らかになりつつある。今後、細胞内でGSSSGを強制発現させる眼疾患動物モデルでのRGC死抑制効果について検証する予定である。具体的には、NMDA眼内投与や視神経挫滅などの緑内障モデル動物を用い、cystathionine-γ-lyase (CSE) またはcystathionine-β-synthase (CBS)発現アデノ随伴ウイルス(AAV)を、マウスの硝子体に投与することでRGCにおいてCBSまたはCSEを恒常的に発現させ細胞内のGSSSG濃度を高め、RGC死に対する抑制効果を調べる予定である。これを可能とするため、AAVとマウスの取得準備を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)