Project/Area Number |
23K09069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 56060:Ophthalmology-related
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
松村 沙衣子 東邦大学, 医学部, 講師 (00516255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 裕一 東邦大学, 医学部, 教授 (70379171)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 小児近視 / 脈絡膜 / 近視進行 |
Outline of Research at the Start |
現在、小児の近視有病率が高いことが懸念されており、近視進行のメカニズムを解明し、その危険因子を同定することは重要である。しかしながら、近視進行で網膜、脈絡膜が菲薄化することが報告されている一方で、網脈絡膜の血流変化については十分な検討がなされていない。 本研究では、小児の近視進行における網膜や脈絡膜の形態学的変化と眼血流変化を網膜光干渉断層撮影(OCT)、網膜光干渉断層血管撮影画像(OCTA)とレーザースペックルフローグラフィ(LSFG)を用いて評価する。 本研究にて、近視進行に伴う脈絡膜厚、血流の変化を理解し、危険因子の同定に寄与することで、メカニズム解明と進行予測指標の発見をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
現在、近視患者の急激な増加は全世界的に公衆衛生上の大きな問題になっている。とりわけ若年層の近視有病率が著しく高くなっている東アジア先進諸国では、学童近視の予防が急務であり、小児近視進行のメカニズムを解明し、その危険因子を同定することは非常に重要である。小児近視の発症機序及び危険因子、近視進行の機序を解明するためには視機能に影響する網脈絡膜の経時的変化を観察することが不可欠である。しかしながら、近視が進行すると網膜、脈絡膜が菲薄化することが報告されている一方で、近視進行に伴う網脈絡膜の血流変化についてはこれまで十分な検討がなされていない。本研究では、小児の近視進行における網膜や脈絡膜の形態学的変化と眼血流変化を網膜光干渉断層撮影(OCT)、網膜光干渉断層血管撮影画像(OCTA)とレーザースペックルフローグラフィ(LSFG)を用いて評価するとともに、小児近視進行危険因子との関連を横断的及び縦断的に検討する。LSFGは眼底から反射されるレーザー光のスペックルパターンの変化に基づいて、眼球微小循環を定量評価する方法であり、非侵襲的で再現性も高いとされる。血流情報は眼底の赤血球の動きに依存したMean blur rate(MBR)という値を数値化し、領域を指定することで、視神経乳頭や網膜、脈絡膜の血流を評価する。今回の研究では、鋭敏な測定が可能なLSFGを用いて、小児における脈絡膜血流を測定する予定であり、現在まで同様な報告はない。本研究にて、近視進行に伴う脈絡膜厚、血流の変化を理解し、危険因子の同定に寄与することで、近視進行のメカニズム解明をめざす。長期的な目標は、脈絡膜厚や脈絡膜血流量を近視進行度を予測するための新しい重要指標と位置づけ、将来の個別最適化医療を確立することである。現在は治療前後の脈絡膜厚とLSFGのデータ収集を行い、長期的変化と眼軸変化量の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在は、近視治療別の脈絡膜厚の長期的変化と眼軸変化量を評価する目的で、40人のOCTやLSFGのデータを収集し、1年間の経過を追い中間解析を行った。脈絡膜厚はハイデルベルク社のリニア測定器を用いて、2人の研究者が手動で分析し、治療前、治療後3か月、6か月、1年時点の解析を行っている。網膜色素上皮の外縁から脈絡膜境界までの計測とし、上側、下側、鼻側、外側のすべての方向で500μmと1000μmの2点を測定し、合計9箇所の測定を行った。解析には両眼を用いて行い、独立したT検定にて脈絡膜厚変化、脈絡膜血流変化の2群間比較を行い、重回帰モデルにて、各因子の1年間の眼軸長進行に対する寄与を評価した。脈絡膜厚変化量と眼軸変化量の関連を検討したところ、治療後3か月、6か月、1年時点で有意な脈絡膜肥厚を認め、眼軸変化量ものすべての時点で治療別の有意差を認めた。脈絡膜厚変化量と眼軸変化量は6か月、1年の両時点においても負の相関を認め、脈絡膜肥厚が生じると近視治療の有効性が良好なことが示された。中間報告の結果については、国内学会と国際学会で報告を行った。今後は継続してデータ収集をする予定である。また今回の結果から、近視抑制と脈絡膜肥厚のメカニズムを解明するために、新たにデータを収集中である。網膜が近視性デフォーカス(網膜よりも前方で焦点を結ぶために生じる焦点ボケ)にさらされると血流の増加を引き起こし、脈絡膜が肥厚し抑制されると仮説を立てている。しかしながら、近視性網膜デフォーカスそれぞれの短期的な脈絡膜変化の詳細や併用による相乗効果のメカニズムについては十分検討されていない。近視性網膜デフォーカスの単独使用による効果が脈絡膜厚や脈絡膜血流に与える変化を検討することで、どのくらい眼軸変化量に影響を与えるのかを解明する。
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Strategy for Future Research Activity |
近視治療別の脈絡膜厚の長期的変化と眼軸変化量を評価するために、OCTやLSFG、眼軸長のデータを引き続き収集する。2年間のデータを解析を行った後に、最終報告として国内学会、国際学会にて報告予定。論文化に向けて準備を進める。 近視性デフォーカスが脈絡膜血流や脈絡膜厚、そして眼軸長の変化に与える影響を調査する研究においては、現在は5名程度の実測が終了している。引き続き、40人を目標としてリクルートを行う。検査として、1.オートレフラクトメータによる角膜屈折、角膜曲率、等価球面度数、調節力、2.自覚的屈折検査(遠見・近見)、3.Hole in card test(穴あき法)、4.ノンコンタクトトノメータによる眼圧、5.光学式眼軸長測定器による眼軸長、角膜曲率半径、角膜厚、前房深度、6.後眼部光干渉断層計による網膜厚、脈絡膜厚、7.レーザースペックルフローグラフィー(LSFG)による眼血流(黄斑部血流・視神経乳頭血流)測定、8.自動電子血圧計:最高血圧、最低血圧、脈拍を計測する予定。 未就学児健診にて保護者による同意を得られた未就学児を対象とし、眼軸長と脈絡膜厚や脈絡膜血流の関連を調査する予定。この研究により早期発症近視のスクリーニングに役立つ因子の発見や、近視発症のメカニズム解明に寄与する。検査として、1.オートレフラクトメータによる角膜屈折、角膜曲率、等価球面度数、調節力、2.自覚的屈折検査(遠見・近見)、3.光学式眼軸長測定器による眼軸長、角膜曲率半径、角膜厚、前房深度、4.後眼部光干渉断層計による網膜厚、脈絡膜厚を計測する予定。既報の近視疫学研究で使用されている近視関連因子質問票にて、近視家族歴、生活環境等のデータを収集し、各因子と脈絡膜厚や脈絡膜血流の関係性を検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)