FGF23関連性低リン血症くる病・骨軟化症における軟骨内骨化異常の解明アプローチ
Project/Area Number |
23K09115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本郷 裕美 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (00778970)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | FGF関連性低リン血症くる病・骨軟化症 / X染色体連鎖性低リン血症くる病・骨軟化症 / XLH / 軟骨内骨化 / 軟骨内骨化異常 |
Outline of Research at the Start |
FGF関連低リン血症性くる病・骨軟化症の1つであるX染色体連鎖性低リン血症くる病・骨軟化症(XLH)は、Phex遺伝子変異によってFGF23の過剰産生・低リン血症が誘発される難治疾患・指定難病である。国内推定発症率は2万人に1人で、O脚やX脚などの骨変形、低身長(成長阻害)、骨痛・関節痛、歯科領域では象牙質形成不全を発症する重篤な疾患である。XLHの様々な骨病態は、骨基質低石灰化に起因すると考えられているが、我々は軟骨内骨化異常にも起因すると考えている。そこで、XLHモデルであるHypマウスを用いて、その骨・軟骨組織の微細構造学的解析、および、新規治療薬による骨格異常の回復を検索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
くる病・骨軟化症は、骨基質の材料となるリンやカルシウムの不足から、骨の石灰化が抑制されることによって発症する疾患で、中でもFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(指定難病)はリン利尿因子であるFGF23が過剰に産生されることで、血中リン濃度が低下し、骨基質低石灰化が生じる。本研究では、同疾患の中でも、もっとも数が多いX染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH)の病因の解明に挑戦する。現在XLH患者の治療には、低リン血症の改善を中心とした薬物療法が施されている。しかし一方で、薬物療法によって骨の石灰化は改善が認められるものの、骨変形は改善されていないのが現状である。本研究は、XLHは石灰化抑制だけでなく、軟骨内骨化異常が誘導されることにも起因すると推測し、その解明を目的とし、ゆくゆくはXLH治療において低リン血症治療による石灰化改善だけでなく、軟骨内骨化を正常化する治療の導入などへと転換・発展を目指す。 XLHの疾患モデルであるHypマウスを用いてその大腿骨骨端部を観察すると、成長板軟骨面積が増加し、骨変形が生じていた。さらにvon Kossa染色を施すと、石灰化した骨基質が顕著に減少していた。Hypマウスの成長板軟骨を観察すると、Hypマウスの肥大化軟骨細胞はVEGF弱陽性で、血管は成長板軟骨からやや離れたところに位置していた。さらにosteopontinやDMP1などのSIBLING family蛋白の発現が上昇し、一方でCathepsin Bの発現が低下していた。したがって、Hypマウスでは骨軟骨移行部にSIBLING family蛋白が蓄積することで、血管侵入が抑制される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒトXLHと同様にPhex遺伝子が変異し低石灰化を示す、XLHの疾患モデルであるHypマウスの成長板軟骨を詳細に観察すると、成長板軟骨の面積(特に増殖層)が増加し、成長板カラムは配列を失い、同部位の横径や前後径が上昇、すなわち骨変形を呈していた。さらにvon Kossa染色を施すと、Hypマウスでは黒褐色に染色される石灰化した骨が明らかに減少していた。 骨端部では、軟骨への血管侵入を伴う軟骨内骨化によって骨が成長するが、野生型マウスではVEGF陽性肥大化軟骨細胞が局在していたのに対し、Hypマウスの肥大化軟骨細胞にはあまりVEGFが発現しておらず、さらにendomucin陽性を示す血管は軟骨基質に接しておらず、成長板軟骨からやや離れた部位に位置していた。また、同部位のVEGF、VEGF受容体の発現は野生型マウスと比較して有意に低下していた。 さらに成長板軟骨の主要基質であるtype II、type X collagen、および基質分解酵素であるMMP-9、MMP-13の局在は野生型とHypマウスでは明らかな差を認めなかったものの、osteopontinやDMP1などのSIBLING family蛋白の発現が上昇していた。一方でSIBLING family蛋白を分解するcathepsin Bの発現は低下していた。RNA-seqでも同様の結果を認めた。したがって、HypマウスではPhex-cathepsin Bの発現がともに低下することでSIBLING family蛋白分解に異常が生じ、骨軟骨移行部にMMPsで分解できないSIBLING family蛋白が蓄積することで、血管侵入が抑制される可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
Hypマウスの骨・軟骨移行部で、骨芽細胞、あるいは、肥大化軟骨細胞から産生されたDMP1, Mepe, osteopontinなどのSIBLING family蛋白が蓄積し、血管内皮細胞がそれらを分解できず軟骨侵入が抑制される可能性が考えられるため、これらSIBLING family蛋白の局在・沈着を超高解像レーザー顕微鏡(STED, SIMなど)および透過型電子顕微鏡による微細咬合解析を重点的に実施する予定である。 さらに、Hypマウスにおける軟骨内骨化異常の改善に向けて、1 α,25(OH)2D3を低下させ、また、血管新生を亢進させることができる治療候補となる薬剤を検索し、投与実験を行う。候補となる薬剤投与は、Hypマウスの離乳期3~4週齢から始め、軟骨異常・骨変形の改善が認められるか検討する。形態異常の回復が目標となるため、解析方法として遺伝子発現解析ではなく、主に、超高解像レーザー顕微鏡(SIM, STED)による組織化学解析、および、透過型電子顕微鏡を用いた微細構造イメージング解析を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)