Project/Area Number |
23K09239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57040:Regenerative dentistry and dental engineering-related
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
大越 章吾 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (70231199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 貴 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10366768)
石川 博 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30089784)
島村 直宏 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40908125)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 再生医療 / 歯髄バンク / 肝細胞 / 低酸素 |
Outline of Research at the Start |
歯髄MSCが肝や膵ラ氏島の形質を有する消化器細胞に分化し、肝炎や糖尿病を改善する可能性が示されてはいるが、未だにその作用機序は解明されてはいない。また、今後、既に事業化されている歯の細胞バンクを利用して、これらの細胞を医療に応用するため、更に効果の高い分化再生方法を開発し動物実験での検証を進める必要性がある。 MSCが組織損傷を修復する状況では、炎症による低酸素状態においてその効果を発揮する必要性に迫られている。 歯髄MSCのこれらの消化器細胞への分化機序を解明し、特にMSCの低酸素Pre-conditioningが治療効果を増強するかについて研究し、歯髄細胞の医療資源としての有用性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell; MSC)は多くの細胞系統に分化し、有力な再生医療の細胞資源である。更にその細胞は乳歯や抜去智歯から得られるため、費用や侵襲性が少なく、特に優れた細胞である。申請者が所属する日本歯科大学では2015年より歯の細胞バンク事業がスタートしている。申請者らはこれまで歯髄MSCが肝細胞形質を有する細胞に分化し、動物モデルで重症肝炎を改善すること、更に体内に移入したMSCの細胞動態を明らかにしてきた。これらの研究を発展させ、歯の細胞バンクの実際的な臨床応用の道筋の確立を目指す。本研究の目的は、特に歯髄MSCの肝と膵ラ氏島細胞への具体的な分化機序を解明し、歯の細胞バンクが歯科と医科を繋ぐ再生医療としての意義についてのメッセージを発信し、更にバンクの効果的な活用法としての難治性肝疾患や糖尿病治療の可能性を検証することにある。 申請者らは、肝細胞に分化したViable歯髄MSCの体内動態を検討した結果、予想に反してHLCは門脈から投与しても障害肝内から速やかに消失してしまうことが分かった(J Oral Biosci, 2021.)。髄MSCのこれらの消化器細胞への分化機序を解明し、特にMSCの低酸素Pre-conditioningが治療効果を増強するかについて研究し、歯髄細胞の医療資源としての有用性を検証する。歯と消化器は共に食物の消化に関係する点で同じカテゴリーに属し、その関連づけを行うことは歯の細胞バンクのメッセージ性をより高める。令和5年度は、MSCの低酸素暴露における分化、増殖能の変化についても同時に解析を行い、低酸素濃度細胞培養システムを用いてまずヒト臍帯血管内皮細胞HUVEC細胞を用いて低酸素暴露下における細胞増殖能の変化、低酸素誘導因子(HIF)の発現について解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト歯髄MSCからの内胚葉系細胞を分化させ、肝細胞や膵ラ氏細胞への分化させる道筋を確立し、更に低酸素暴露によりMSC分化促進効果、重症肝炎細胞を検証するとともにその分子機序を研究している。 まず申請者らはヒトMSCから肝細胞への分化の過程において、詳細な分子生物学的変化を追うため、肝細胞分化因子を加えた後の形態変化と細胞の肝細胞機能獲得に関して経時的に追う実験を行っている。MSCを①Insulin transferin seleniumで処理したあと、ActivinAとEGFで処理。更に②Dexamethasone、nicotinamide、HGF、EGFで処理を行うTwo-Step Procedureで分化させ解析を行っている。RT-PCR法によってこれらの処理を行った後肝細胞形質の発現に最も重要なHNF-4の発現がどのステップより有意に起こり、発現しまたHNF-4と共沈してくる転写因子の検索について検討している。しかしながら、どの増殖因子の作用がCriticalなのかについてはまだ結論は得られていない。 一方申請者らはMSCの低酸素暴露における分化、増殖能の変化についても同時に解析を行っている。低酸素濃度細胞培養システムを用いてまずヒト臍帯血管内皮細胞HUVEC細胞を用いて低酸素暴露下における細胞増殖能の変化、低酸素誘導因子(HIF)の発現について解析を行っている。この系に関しては今後MSC及び肝細胞形質を取得したMSCについて同様の解析を行い、低酸素下におけるMSCと肝細胞形質を得た分化MSCに関して低酸素下でのストレス応答機構にHIFや関連転写因子(NF-kB)あるいは酸化ストレスマーカー(OHDGなど)について解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗状況において述べたように申請者らはTwo-Step法を用いて歯髄MSCの肝細胞様細胞への分化誘導を行っているが。その効率は十分ではない。分化の再現性が困難であることを実感している。今後は元になる歯髄MSCの継代回数、細胞増殖能を詳細に解析しどの細胞分画が分化効率の上昇に寄与するのか検討する。場合によっては幹細胞特異表面抗体を用いたFACSで効率性の高い分画を純化する。 申請者らは上記の低酸素コントローラを用いて、脂肪肝マウスにおいて酸化ストレスのマーカーであるOHDGの検討を行い、脂肪肝において有意にOHDGが増加する予備的な知見を得ている。これからの研究期間で歯髄MSCを低酸素に暴露した場合の細胞分化能への影響(幹細胞は低酸素などのPre-conditioningでHIFの発現を通して、増殖能があがるという報告が多いため。)またMSCが肝細胞へ分化していく過程において、HNF-4の特異的な発現がキーポイントになるが、これと相互作用する転写因子の免疫共沈実験を行いたい。これによってMSCが肝細胞様細胞に分化する際に共働する転写因子を明らかにしたい。また低酸素暴露下でのHNF-4の発現量や、アルブミン、プロトロンビンなど肝細胞特異的な蛋白発現が実際に上昇していることが確認されれば、申請者らが今まで行ってきたヌードラットへのMSC移入実験を再開し、ヒト特異的GAPDHmRNAの検出系を用い肝への生着効果が延伸するかを検討する。さらに重症肝障害ラットモデルにおいて低酸素というPre-conditioningを行わないMSCに比して肝障害の抑制効果の増強がみられるか否かを検証する。
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