Project/Area Number |
23K09404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57060:Surgical dentistry-related
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
菊池 有一郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30410418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
米澤 英雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60453528)
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453785)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 歯周病原細菌 / Capnocytophaga ochracea / 口腔扁平上皮癌 / 悪性化 / 上皮間葉転換 / ヒト歯肉上皮細胞 / 癌化 / 炎症性サイトカイン / 口腔細菌 / Capnocytophaga属 |
Outline of Research at the Start |
口腔細菌Capnocytophaga属は歯周病原細菌であり、滑走運動能を備え、より有利な環境にバイオフィルムを形成する。近年、口腔扁平上皮癌患者の口腔内に有意にCapnocytophaga属が多く存在するとの報告を数例認める。また、前癌病変である白板症から口腔扁平上皮癌に移行する現象に有意に関わる細菌としてCapnocytophaga属が挙げられている論文も存在する。ところが、Capnocytophaga属の癌誘発性に関する分子遺伝学的解析論文は数少ないので、本研究課題により申請者らがCapnocytophaga属と口腔癌誘発性について解析検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Capnocytophaga属とヒト歯肉上皮細胞を用い、Capnocytophaga属が備える直接もしくは間接的な口腔扁平上皮癌誘発能の解明を目指すことを目的とする。本年度は、本研究の開始年度であるので、感染実験の基礎となる実験系の樹立を目指すことを第1目標とした。最初に使用菌株についてであるが、Capnocytophaga属には幾つかの菌株が存在するが、本研究には、口腔に存在しかつ所属研究室にて保管しており、定期的にストックから起こし培養して実験に日常的に使用しているCapnocytophaga ochracea ATCC 27872株を用いることにした。ヒト歯肉上皮細胞については正常細胞としてテロマーゼ不死化歯肉ケラチン細胞(human telomerase immortalized gingival keratinocytes: TIGK)を用意した。
次に、TIGK細胞に対するC. ochracea感染実験系において、Capnocytophaga属が備える腔扁平上皮癌誘発能の有無を確認するための最初の指標をInterleukin-6 (IL-6)とした。IL-6は代表的な炎症性サイトカインとして知られているが、慢性炎症による刺激を口腔上皮細胞に与えることで、炎症性メディエーターなどが放出され、その結果細胞増殖の促進、がん遺伝子の活性化および変異誘発が引き起こり、がん細胞の増殖に繋がると報告されているためである。その結果、TIGK細胞に対しC. ochraceaを2時間感染させたところ、IL-6の転写量の増加を認めた。また、感染時間を6時間、24時間、もしくはMOIを50, 100と増加させると、IL-6の転写量もそれに比例して増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は3年計画の1年目にあたるので、実験の基礎となる感染実験に使用する細菌及び細胞の入手と、その両方において持続的な培養が可能なことを確認し、その後感染実験の諸条件について検討した。
はじめに使用する細菌種についてであるが、所属研究室にて定期的にストックから起こし培養して実験に日常的に使用しているCapnocytophaga ochracea ATCC 27872株を用いることに決定した。次に細胞についてであるが、研究代表者が2021年度の留学先にて使用していたテロマーゼ不死化歯肉ケラチン細胞(human telomerase immortalized gingival keratinocytes: TIGK)を購入し、所属研究機関においても継続的に培養可能か検討した。購入から3ヶ月後までは、継続的にTIGK細胞を継代培養することに失敗していたが、継代時のTrypsin/EDTA濃度を0.25%から0.05%に変更することで、途絶えることなく継代することが可能となった。
次に、Interleukin-6 (IL-6)の転写量をリアルタイムPCR法にて解析する感染実験の使用消耗品と諸条件を比較検討した。最初にSYBR法にてリアルタイムPCR法を行うことを決め、primerを入手し予備実験を行ったが、あるprimerの組み合わせでは全く検出されない、検出されても検出量が著しく低いなどの諸問題が認められたので、SYBR法からTaqman probe法に変更した。リアルタイムPCR (Taqman probe法)によるIL-6の転写量検出について良好な結果を得ることができたので、菌の感染時間および細胞に対する菌の感染量について様々な条件を試み、適切な実験プロトコールを決定した。この進行具合は、当初の予定通りであるので、進行状況を「おおむね順調に進展している。」とさせていただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、C. ochracea以外の口腔細菌も使用し、ヒト正常歯肉上皮細胞を癌化させるうえでのC. ochraceaの影響力について比較検討したいと考える。その口腔細菌の候補であるが、過去の報告例からFusobacterium nucleatumやPorphyromonas gingivalisを予定している。両菌ともに、口腔扁平上皮癌との関連性を疑う報告が多く、最適なコントロールとなることが期待される。また、口腔内の歯垢を形成するうえでの初期付着細菌としてStreptococcus gordoniiが有名であるが、このレンサ球菌はP. gingivalisの病原性を弱め慢性感染を可能としていることが報告されているので、このような細菌がC. ochraceaの癌化および癌悪性化に抑制的な影響を与えているのか検討する。
また初年度は、癌化および癌悪性化への誘導能をリアルタイムPCR 法による炎症性サイトカインIL-6の転写量を検出することで検討していたが、次年度はより癌化に直接関連する遺伝子を解析したいと考える。その候補は上皮間葉転換(EMT)関連遺伝子(ZEB1, ZEB2, TWIST1, TWIST2)を予定しており、リアルタイムPCR法にて転写レベルの解析を行う予定である。ただこのような関連遺伝子を予想して1つ1つの遺伝子についてリアルタイムPCR法にて解析する手法は、一部の遺伝子のみに注目し全体を見ていない手法なので網羅性にかけるという欠点がある。よって、qRT-PCR法と同時進行にてマイクロアレイやRNA-seqなどの網羅的解析により転写量変化を伴う遺伝子群を同定することも、同目的を補完する別の実験系として予定している。またそれらの遺伝子がコードするタンパク質の抗体を用いウエスタンブロッティング法にてタンパク質レベルの解析を行うことも予定している。
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