Project/Area Number |
23K09493
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
吹田 憲治 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90569542)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 心機能障害 / 咬合不調和 / cAMP / Epac / 心疾患 |
Outline of Research at the Start |
口腔疾患は世界的に最も罹患率が高く、若年期から誰にでも発症し得る疾患である。しかしながら口腔疾患は世界の主要な死亡原因である心疾患の危険因子となる可能性が指摘されており、その詳細の解明は医療における重要な課題の一つと考えられる。本研究では、口腔疾患の1つである咬合不調和に対する心臓のストレス応答におけるEpac1(Exchange protein directly activated by cAMP 1)の役割を分子機構レベルで明らかにしていく。将来的には、「歯科診療による口腔疾患の早期発見や治療が心疾患の予防法として有効である」というコンセプトを確立することが目標である。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、咬合不調和が全身の健康に及ぼす影響についての研究報告が増加している。咬合不調和は持続的な口腔顔面痛を引き起こす要因であり(J Oral Rehabil, 49, 2022)、また、健常な若年成人においても咬合不調和が心理的ストレスとして生活の質を低下させる可能性が臨床で指摘されている(Eur J Orthod , 33, 2011)。動物実験においても、咬合不調和が交感神経系亢進やストレスホルモン分泌を誘発すること、骨粗しょう症やうつ病などの誘因となること等が示されている(J Dent Res, 80, 2001; Sci Rep, 8, 2018; Brain Sci, 12, 2022)。これらは咬合不調和が慢性的ストレスを介して全身に影響を与える可能性を強く示唆するが、その全体像や各臓器での作用メカニズムは依然として不明な点が多い。本研究では、咬合不調和に対する心臓のストレス応答における、βアドレナリンシグナルの因子Epac1(Exchange protein directly activated by cAMP 1)の役割を分子機構レベルで明らかにしていく。 野生型マウスならびにEpac1KOマウスそれぞれに咬合挙上(bite opening: BO)処理を行って咬合不調和を誘導し、BO処理2日後の急性期おける心機能を心エコー検査で測定した。BO処理前と比較したBO処理2日後の心機能の変化率において、Epac1KOマウスは野生型よりも有意に低値を示した。また、BO処理2日後の野生型、Epac1KOマウスそれぞれについて、イソプロテレノール(isoproterenol: ISO)静脈投与に対する心機能の応答性を解析した。その結果、Epac1KOマウスの心機能のISO応答性は、野生型マウスよりも有意に低いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに我々は、BO処理マウスを用いた簡便な咬合不調和モデルを構築した。続いて当該モデルを用い、2週間の持続的BO処理が交感神経系の慢性的亢進を介して心臓組織のリモデリングならびに心機能障害をもたらすことを明らかにした。一方、BO処理後の急性期における心機能の変化、およびEpac1の役割は不明である。今年度はBO処理2日後における心機能の応答性を野生型マウスとEpac1KOマウスで比較検討した。カテコラミン刺激に対するEpac1KOマウス心機能の応答性が野生型と比較して有意に減弱していることを示し、咬合不調和に対する心臓のストレス応答におけるEpac1の重要性を示唆する結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
BO処理に対する心機能応答におけるEpac1の役割を、細胞内タンパク質の動態を解析することで明らかにしていく。BO処理2日後の野生型、Epac1KOマウスの心室から抽出したタンパク質標本を用い、BO処理に対する細胞内分子の応答性をウェスタンブロッティングにより解析する。カルシウムハンドリングタンパク質、酸化ストレス関連タンパク質、炎症ストレス関連タンパク質、および細胞死関連タンパク質を解析対象とする予定である。
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