Project/Area Number |
23K09511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
清浦 有祐 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90194951)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | ノンアルビカンスカンジダ / 高齢者 / 免疫恒常性破綻 / 口腔感染症 / Candida spp. / Non-albicans Candida |
Outline of Research at the Start |
加齢に伴う免疫老化、すなわち免疫恒常性の破綻として高齢者の口腔カンジダ症が起こり、免疫不全患者や癌患者ではそれが誘因となって腸管内に移行し、全身的なカンジダ血症が起こると考えられる。 本研究では、口腔カンジダ症のマウスモデルとしてT細胞機能不全マウスを使用して、高齢の免疫不全患者や悪性腫瘍患者でノンアルビカンスカンジダの C. glabrata が原因となる口腔カンジダ症とそれに継続する全身的なカンジダ症において、いかなるサイトカインがその発症に関与するかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口腔カンジダ症のマウスモデルとしてT細胞機能不全マウスを使用して、免疫不全患者でノンアルビカンスカンジダが原因となる口腔カンジダ症とそれに継続する全身的なカンジダ症において、いかなるサイトカインがその発症に関与するかを明らかにする。 本年度は以下の結果を得た。1. C. glabrataを10匹のT細胞機能が欠如したBALB/cAJcl-nu/nuマウスと10匹の正常なICRマウスに感染させてから5日後に生存率を調べた結果、BALB/cAJcl-nu/nuマウスは0%の生存率、ICRマウスは20%の生存率であった。2. C. glabrataをBALB/cAJcl-nu/nuマウスに感染させた1日後に脾臓を摘出して、各種炎症性サイトカインの産生を非感染マウスと比較した結果、IL-1α, IL-1β及び MCP-1は、感染群では対照群と比較して有意に高く産生された。しかし、MCP-1, IL-6及びTNF-αについては、感染群と対照群で有意な差は認められなかった。3. C. tropicalis加熱死菌をマウスマクロファージ様細胞RAW264に加えて24時間培養し、培養液中の炎症性サイトカインを定量した。その結果、C. tropicalis加熱死菌を加えた場合には、IL-1α, IL-6, TNF-α, MCP-1, MIP-αが対照群に比較して有意に高く産生されたが、IL-1βの有意な産生は認められなかった。 C. glabrata感染によって、BALB/cAJcl-nu/nu マウスのIL-1α, IL-1β およびMIP-1αが産生されたことは、これらのサイトカインがマウスに致死性を発揮したと考えられる。特にIL-1は、好中球を強く活性化するとされる。その結果として、過度な好中球の機能亢進が起こり、宿主の病態が悪化すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も重篤なカンジダ症のカンジダ血症は、致死的に作用することが多い疾患である。この疾患の発症メカニズムについて当専攻科では、感染に伴う炎症性サイトカインストームが発症の要因と考えて研究を進めてきた。 C. glabrata を BALB/cAJcl-nu/nu マウスに腹腔感染させた場合、ICR マウスに比較して有意に低い生存率を示した。さらに C. glabrata 感染1日後の BALB/cAJcl-nu/nu マウスの脾臓から産生される炎症性サイトカインを測定した。その結果、感染マウスでは対照群に比較して、炎症性サイトカインの IL-1α, IL-1β, MIP-1α の3種類のみが有意に高く産生された。しかし、同じ炎症性サイトカインである MCP-1, IL-6, TNF-α の有意な産生は認められなかった。C. glabrata 感染の際の生存率が正常マウスよりも免疫不全マウスで有意に低下したことは、ヒトのカンジダ症が易感染性宿主で起こりやすいことを裏付けるものである。さらに、炎症性サイトカインの IL-1α, IL-1β と MIP-1α が産生されたことは、これらのサイトカインがマウスに致死性を発揮したと考えられる。過度の IL-1 によって、好中球から好中球エステラーゼや活性酸素、フリーラジカルが過剰に産生されると血管内皮細胞障害、血管透過性亢進や血栓形成などによる微小血管障害が引き起こされ、多臓器不全を発症するとされる。以上のことは、炎症性サイトカインが致死的な感染症の発生に極めて重要な因子であることを示すと共にそれに基づく新たな治療法の開発に寄与するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
① C. glabrata感染に伴う IL-1β産生のカスパーゼ1活性化を介した分子メカニズムの解明:C. glabrata菌液に浸した綿棒を用いて、雌4週令のBALB/cAJcL/nu-nuマウスと正常な免疫機能を有する ICR マウスの舌に接種する。24時間後に舌を採取し、ホモジナイズさせてから、溶液中の切断型カスパーゼ1をウエスタンブロッティング法で確認する。 ② T細胞機能不全マウスの舌への C. tropicalis感染に伴う炎症反応:雌4週令のBALB/cAJcL/nu-nuマウスの舌に、C. tropicalis菌液に浸した綿棒を塗布して感染させる。C. tropicalis感染後、経日的にマウスの舌、小腸、胃、脾臓、腎臓を採取して、IL-1α, IL-1β, MIP-1α, IL-17, IFN-γなどの炎症性サイトカイン量と C. glabrataの菌量を測定する。さらにPAS染色で臓器への侵入状態と炎症状態の所見を得る。 ③ C. tropicalis感染マウスへの各種サイトカインに対する抗体の投与による炎症反応の抑制:C. tropicalis 感染と同時に、マウスに対して炎症性サイトカインに対する抗体を腹腔投与する。経日的に舌の炎症状態の変化を観察すると共に、舌、小腸、胃、脾臓、腎臓を採取して、IL-1α, IL-1β, MIP-1α, IL-17, IFN-γなどの炎症性サイトカイン量とC. glabrata の菌量を測定する。さらにPAS染色で C. tropicalisの臓器への侵入状態と炎症状態の所見を抗体非投与群と比較する。 以上の実験で得られた結果をC. glabrata感染の際の炎症性サイトカイン産生と比較して、C. glabrataまたはC. tropicalis感染によって惹起される炎症反応に対する抗体投与による効果の違いを検討する。
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