Project/Area Number |
23K09517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57080:Social dentistry-related
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
大貫 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50288114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成山 明具美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90440304)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 歯周病 / 心不全 / lipopolysaccharide / カプトプリル / 酸化ストレス / アンジオテンシンⅡ / 心筋 / β受容体 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「歯周病菌エンドトキシンが、代償性の交感神経活動亢進により心筋の酸化ストレスを増大し、慢性心不全を誘導する。」という仮説を検証するため、Porphyromonas gingivalis(Pg)由来lipopolysaccharide(LPS)の慢性投与がEpac1(β受容体シグナル分子)ノックアウトマウス(Epac1KO)の心筋における酸化ストレスに及ぼす影響を詳細に解析する。そして、β受容体シグナル経路(特に新規cAMP活性化因子Epac1)をターゲットとした酸化ストレス抑制機序を解明し、Pg-LPS誘導性心不全の治療法開発の基礎的データを蓄積する。
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Outline of Annual Research Achievements |
高血圧の治療に使用されるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤カプトプリルはアンジオテンシンⅡの産生を抑制することで心臓保護効果を示すことが報告されている。12週齢の雄性マウスを①コントロール群、②Pg-LPS投与群(0.8 mg/kg/day、腹腔内投与)、③カプトプリル(Cap)投与群(0.1 mg/mL、飲水投与)、④Pg-LPS+Cap投与群(LPSとCapの併用投与)の4群に分けて7日後に心臓を摘出し、Porphyromonas gingivalis(Pg菌、主要な歯周病原性細菌)由来の内毒素(Pg-LPS)により誘発される心機能障害に対するカプトプリルの抑制効果を組織化学的ならびに分子生物学的手法を用いて詳細に解析した。 血清アンジオテンシンⅡ濃度を測定した結果、Pg-LPS投与群では有意な上昇が観察された。しかしながら、この上昇はカプトプリルの併用投与により抑制された。また、心エコー測定および心室の組織化学的解析の結果、Pg-LPS投与により心機能の低下(左室駆出率、左室内径短縮率および一回心拍出量の低下)と心筋リモデリング(線維化とアポトーシス)が観察されたが、これらはカプトプリルの併用投与により抑制された。さらに、活性酸素種(ROS)の産生源の1つであるNADPH oxidase 4(NOX4)の発現量をウエスタンブロッティング法にて定量的に解析した結果、Pg-LPS投与で有意な増加が認められたが、その増加はカプトプリルの併用投与により抑制された。 以上の結果は、Pg-LPSの慢性投与により誘発される心筋リモデリングを伴う心機能障害に対して、ACE阻害剤カプトプリルが抑制作用をもつことを示唆する。その作用機序として、カプトプリルがアンジオテンシンⅡによるNOX4依存性の酸化ストレス上昇を抑制することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り作製したモデルマウスを用いて、Porphyromonas gingivalis(Pg菌、主要な歯周病原性細菌)由来の内毒素(Pg-LPS)が心筋において、アンジオテンシンⅡを介したNOX4依存性の酸化ストレス上昇を誘発することを観察し、その研究成果を学術論文(PLoS One 2023; Sci Rep 2023)および関連学会(第101回日本生理学会大会)にて発表しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(令和6年度以降)は、令和5年度と同様にPg-LPS投与による歯周病モデルマウスを用い、Pg-LPSの慢性投与が心筋の線維化およびアポトーシスを誘導する分子機序について解析を進める。特に、Pg-LPSが心筋において、アンジオテンシンⅡを介したNOX4依存性の酸化ストレス上昇を誘発したことから、アンジオテンシンⅡ受容体シグナルと合わせてNOX4に関連する因子の機能についても詳細に解析する予定である。また、心筋リモデリング(線維化およびアポトーシス)に伴う心機能および心臓自律神経機能への影響もテレメトリー心電図を用いた心拍変動解析や心エコー解析を用いて評価を進める。得られた研究成果は、関連学会における発表と学術雑誌への論文投稿を通して発信する予定である。
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