Project/Area Number |
23K09583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58010:Medical management and medical sociology-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
濱島 ちさと 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (30286447)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | がん検診 / 利益不利益バランス / ライフステージアプローチ / 検診対象年齢 / 医療資源 / 過剰検診 / 対象年齢 |
Outline of Research at the Start |
受診者個人と社会的立場から利益不利益バランスを検討し、がん検診の対象年齢を再検討し、受診に向けた公平な機会提供を目的として、以下の検討を行う。1)諸外国におけるがん検診の対象年齢設定に関するホライゾンスキャニング、ヒアリング調査。2)がん検診の評価研究をベースに性別年代別の利益不利益バランスの検討。3)官庁統計などからリアルワールドにおける性別年代別の利益不利益バランスの検討。4)決定樹分析(decision analysis)により対象拡大に伴う利益不利益バランスを検討。5)上記の結果に基づき、ライフコースに対応して、各種がん検診の最適年齢、許容年齢、不要年齢の設定。
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Outline of Annual Research Achievements |
【過剰検診の実態調査】1.がん検診の本来の目的は労働世代のがん死亡率を抑制することであるが、本来の対象となる世代であってもがん検診受診機会の公平性が保たれていない可能性がある。2.地域保健・健康増進事業報告では、胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診については、70歳以上の受診者割合は検診受診者のほぼ半数を占めていた。子宮頸がん検診や乳がん検診では高齢者受診だけでなく、頻回受診も確認された。特に、子宮頸がん検診ではその傾向が大であった。 【高齢者におけるがん検診の不利益】高齢者受診の不利益としては、偶発症の可能性が高いことが指摘されていることから、大腸がん検診を例に検討した。大腸がん検診の精密検査である大腸内視鏡は検査だけではなく、前処置でも偶発症が報告されている。その大半を占めるのは70歳以上であり、加齢と共にリスクは増加し、死亡例も報告されていた。高齢者のがん検診受診継続では利益よりも不利益の増加が懸念されるが、その情報が正しく提供されていない可能性が示唆された。 【諸外国におけるがん検診対象の検討方法】1.諸外国における対象年齢の選定について、諸外国におけるがん検診の文献調査を行った。2.米国のUS Preventive Serves Task ForceやAmerican Cancer Societyではモデル評価を導入し、対象年齢や検診間隔、対象者の選定を検討していた。 【医療資源配分】1.医療資源配分の効率化を図るため、肺がん検診や大腸がん検診ではリスク層別化によるがん検診対象の集約が検討され、一部はプログラムとして導入されていた。2.大腸がん検診の精密検査としての大腸内視鏡供給には限界がある。北欧の一部の国では男女間の検診機会の公平化を図るために、便潜血検査のカットオフ値を男女別に設定していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【過剰受診の実態調査】わが国の対策型検診ではがん検診の受診年齢に上限がなく、高齢者が受診を継続している。地域保健健康増進事業報告を用いて、対策型検診において、70歳以上の受診者割合、2年間隔と定められている検診については頻回受診者の割合を検討した。胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診で、70歳以上の受診者割合は検診受診者のほぼ半数を占めており、近年その傾向が続いている。一方、女性を対象とした乳がん・子宮頸がん検診は2年間隔だが、導入時は逐年検診であった。このため、子宮頸がん検診や乳がん検診では高齢者受診だけでなく、頻回受診も認められる。特に、子宮頸がん検診ではその傾向が大であった。がん検診実施状況調査では、子宮頸がん検診では44.3%、乳がん検診では26.1%の市町村で逐年検診として提供されていた。 【高齢者の不利益】大腸がん検診を例に高齢者の不利益となる精密検査である大腸内視鏡の偶発症について、検査と前処理のシステマティックレビューを行った。検査のみならず前処置でも高齢者の偶発症が報告されている。その大半を占めるのは70歳以上であり、加齢と共にリスクは増加し、死亡例も報告されていた。 【諸外国におけるがん検診対象の検討方法】米国のUS Preventive Serves Task ForceやAmerican Cancer Societyではモデル評価を導入し、対象年齢や検診間隔、対象者の選定を検討している。モデル評価ではがん検診の利益として救命数、救命による延長可能となる生存年が算出され、不利益としては累積偽陽性数(あるいはその代替指標として、大腸がん検診では全大腸内視鏡検査数など)、過剰診断割合などが推計された。 【医療資源配分】諸外国におけるがん検診と医療資源の関連について文献調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
【過剰受診の検討】1.高齢者に関する過剰検診の検討については、国際学会で報告した。その成果をまとめ、論文化を進めている。2.地域をベースとして行われている対策型検診では世代間での受診機会の不均衡が示された。高齢者の受診継続の背景には、がん検診の本来の目的が十分理解されていないことやがん検診の不利益の情報が十分に伝わっていない可能性が示された。今後はこの実態について、地域を選定し、アンケート調査を実施する予定である。 【諸外国におけるがん検診対象の検討方法】諸外国におけるがん検診の年齢設定については米国以外からの情報も引き続き収集する。また、American Cancer Societyのがん検診ガイドライン作成部門への直接インタビュー調査も行う予定である。 【がん検診の利益不利益バランス】1.利益不利益バランスをベースに、効率的にがん検診が行われる最適年齢を再検討する。また、相当する利益が期待できない若年者・高齢者への対象拡大について検討する。2.がん種ごとの特性も勘案した上で、年代別の利益不利益バランスを検討し、がん検診の適正年齢を検討する。現在、がん検診の対象年齢は、対策型検診については厚労省指針により開始年齢が定義され、協会けんぽでは検診受診の補助金提供に伴い対象年齢を設定している。こうした現状を勘案し、各種がん検診における各種方法について現状の過剰診療を抑制し、ライフステージ別のがん検診の優先順位を、①最適年齢(利益が確実に不利益を上回る)、②許容年齢(利益が不利益を上回る可能性があるがその割合が小さい、あるいは拮抗している)、③不要年齢(不利益が利益を上回る)の3段階で提示する。3.各種がん検診の対象年齢を設定し、ライフコース全体からがん検診を俯瞰できる検診対象者への情報提供ツールを作成する。
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