Project/Area Number |
23K09669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上山 純 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00397465)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | マイコトキシン / バイオモニタリング |
Outline of Research at the Start |
本研究ではマイコトキシンのリスク評価のさらなる発展に貢献すべく、human biomonitoring (HBM;ヒト試料を分析すること)を用いた曝露評価を疫学的に実践することを目的とする。具体的には、大量のヒト尿サンプルに応用可能な尿中マイコトキシン類のマルチターゲット分析法を開発、既存の尿サンプルからマイコトキシンを定量し、生体試料分析値からリスク評価指標を算出することである。本研究は、将来のマイコトキシンのリスク解明のための疫学研究設計や考察の基盤となる情報を提供でき、ヒトに関する科学的根拠による規格基準値設定等、リスク管理の発展に大きく貢献できる、世界的にも先駆的な研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、尿中マイコトキシン分析法の開発と妥当性評価を行った。 2020から2022年に報告されたマイコトキシンの人バイオモニタリング(HBM)研究について、各種検索サイトより文献を収集した。HBM報告数・健康影響を考慮して、デオキシニバレノール(DON)、オクラトキシンA(OTA)、ゼアラレノン(ZEN)など9種類を測定物質とした。測定機器にはLC-MS/MS (Agilent Technologies, Ultivo)を使用した。基礎検討には健常成人のプール尿を用い、尿前処理法、分離カラム、各種LC-MS/MS条件の最適条件を探索した。 HPLC逆相分離カラムから3種検討した結果、Raptor FluoroPhenyl (RESTEK, 2.1×100mm, 2.7 um)が最も高分離能を示し、その後の検討に用いた。尿前処理には固相抽出Isolute Multi-Clean (バイオタージ社製)および塩析を用いた液-液抽出を組み合わせた前処理で最も感度および再現性試験結果が良好であった。測定下限値(limit of detection, LOD)はDON 0.24 ug/L、OTA 0.27 ug/L、ZEN 0.03 ug/Lとなった。HBMを用いて一日耐用摂取量(TDI)との比較検討をするためには、尿中排泄率を加味してDON 10 ug/L、OTA 0.3 ug/L、ZEN 2 ug/L程度感度が必要であり、これらと比較すると、本研究の測定感度はマイコトキシンリスク評価に十分応用可能な性能を示していると思われる。 健常成人の尿中マイコトキシンについて予備的に分析した結果、50%以上の尿からいずれかのマイコトキシンについて定量下限値以上の定量値を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、尿中マイコトキシン分析法の開発について、目標感度および疫学的に応用すべくハイスループット分析のフレームワークを構築できたことは、2023年度における研究の大きな成果である。また、2024年度に計画している観察研究(ヒト検体への応用)についても、2023年度中に追加でサンプル採取を行い、新たに職業的曝露の可能性も見出せるサンプルセットを作成済であることから、当初の研究計画に加えた研究成果の創出が期待される。 一方で、すべてのマイコトキシンについて測定法の開発が終了したわけではなく、マイコトキシン研究の専門家の意見を取り入れることで、対象とするマイコトキシン種の優先順位を決めていることから、マイナーなマイコトキシンの測定法開発について引き続き検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は測定法のヒト検体の応用であり、測定対象物質を若干絞ることで、早期のバイオモニタリング成果の創出に努める。そのフレームをもとに、適切なサンプルサイズの再計算や他のマイコトキシン種のモニタリングに着手し、網羅的なマイコトキシンのバイオモニタリングを実現する予定である。 また、食事摂取調査からマイコトキシンの主な曝露源の同定を試み、食品等の実測による確認調査を施すことで、マイコトキシン曝露レベル低減に向けた効果的な方法の提案に貢献できる情報を構築する。
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