動物と密に接する環境が薬剤耐性菌授受と腸内細菌叢に与える影響
Project/Area Number |
23K09675
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中野 章代 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10707441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
森田 英利 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (70257294)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80433712)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 腸内細菌叢 / ワンヘルス |
Outline of Research at the Start |
薬剤耐性菌や感染症の原因菌は、ヒトのみならず動物や環境からも分離される。動物との接触がその拡散要因の1つと考えられるが、伝播経路や相互作用などについては不明な点が多い。本研究では動物とヒトに注目し、動物との濃厚接触(糞尿処理などを伴う)が多い飼育者と動物で薬剤耐性菌の共通性があるか、飼育者の腸内細菌叢の特徴には免疫への影響が見られるかを明らかにする。菌の授受や細菌叢の違いによる免疫反応などが動物との濃厚接触に左右されることがわかれば、これまでのヒトと動物の関わり方を新たな視点から見直すことができ、特定動物との接触の推奨やモニタリング・感染対策の強化など新たな展開に結びつく提案を目指せる。
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Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌は、医療現場において世界的にも増加傾向にあり問題となっている。さらに、患者のみならず、健常人や動物、環境、食品などからも分離されていることから、ワンヘルス概念を基軸とした領域を超えた包括的な対策が求められている。薬剤耐性菌にとどまらず、新型コロナウイルスなど感染症をもたらす病原体(細菌やウイルス)や宿主と共生する常在菌など様々な微生物がこれらの領域内で行き来していることが考えられるが、未だ不明な点が多い。そこで本研究では、動物とヒトに注目し、密に接する環境下において薬剤耐性菌の授受や腸内細菌叢への影響について明らかにすることを目的として、動物を飼育している飼育員と飼育動物の糞便検体を収集し、次の課題について解析する。課題①薬剤耐性菌の分離頻度や耐性菌の細菌学的特徴や遺伝学的特徴を解析する。課題②動物と接する機会のないヒトから便検体を収集し腸内細菌叢解析を行い、動物飼育者の腸内細菌叢との違いを解明し、宿主免疫系に影響がないか明らかにする。 初年度は動物園、乗馬クラブ、畜産農家の便検体および各々が飼育している動物の糞便検体を収集し、薬剤耐性菌の分離同定と薬剤耐性率の算出、腸内細菌叢解析のためのゲノム抽出を行った。飼育者の薬剤耐性菌保有率は低い傾向であった。また同時に、飼育者とその飼育動物が保有する薬剤耐性菌と細菌学的、遺伝学的特徴を比較するため、ヒト臨床株も収集し、保有する薬剤耐性遺伝子やゲノムタイプの解析を行った。さらにすでに解析を進めていた野生動物のデータとも比較すると、飼育者とその飼育動物、ヒト臨床株、野生動物で保有する薬剤耐性遺伝子は一部共通するが、それを保有する菌株のゲノムタイプは異なる傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、次の2つの課題に対して研究を進めている。課題①薬剤耐性菌の分離頻度や耐性菌の細菌学的特徴や遺伝学的特徴を解析する。課題②動物と接する機会のないヒトから便検体を収集し腸内細菌叢解析を行い、動物飼育者の腸内細菌叢との違いを解明し、宿主免疫系に影響がないか明らかにする。 課題①については、動物園、乗馬クラブ、畜産農家の便検体および各々が飼育している動物の糞便検体を予定通り収集し、検体から薬剤耐性菌を分離同定後、薬剤耐性率の算出、薬剤感受性試験などの細菌学的特徴、保有耐性遺伝子の解析などの遺伝学的特徴を解析した。また飼育員、その飼育動物から分離された薬剤耐性菌の特徴を比較するため、ヒト臨床株を新たに収集した。さらにすでに収集済みの野生動物から分離された薬剤耐性菌とも比較しながら耐性菌の特徴について解析中である。課題②については、予定通り腸内細菌叢解析のためのゲノム抽出中である。
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Strategy for Future Research Activity |
課題①については、引続き検体から細菌学的特徴、遺伝学的特徴解析を行う。同時に動物飼育者とその飼育動物の糞便検体数がまだ少ないため、検体収集も行う予定である。課題②については、腸内細菌叢解析のためのゲノム抽出が終わり次第、菌叢解析を行う予定である。また動物に関わらないヒトの検体も少ないため、検体収集も行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)