Project/Area Number |
23K09686
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
倉田 貴子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (70435890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上林 大起 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (50622560)
安楽 正輝 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (30846259)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 麻疹 / 修飾麻疹 / ワクチン / 集団免疫 / 感染伝播 / 免疫 |
Outline of Research at the Start |
2015年に日本国内からの麻疹排除が達成されたが、排除後も海外からの輸入麻疹事例に起因するアウトブレイクは相次いだ。排除後のアウトブレイクの調査からワクチン接種歴を持つ修飾麻疹の患者が多数確認された。本研究では、修飾麻疹患者において麻疹の伝播を防ぐ免疫学的およびウイルス学的特徴を宿主およびウイルス両側面から明らかにすることを目的とし、1) 麻疹患者の液性免疫誘導、細胞性免疫誘導と排泄ウイルス量および感染伝播の相関を明らかにする。2) 臨床検体および分離株を用いた全ゲノム解析を行い、現在流行中の麻疹ウイルスゲノムの多様性、免疫学的選択がウイルスの増殖および複製、変異率に与える影響を比較検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)麻疹ウイルス全ゲノム解析法の構築、2)新型コロナウイルス流行後初めて大阪府内で検出された輸入麻疹症例の解析及び3)修飾麻疹増加に係る疫学的解析を行った。 1)麻疹ウイルス全ゲノム解析法の構築:2018~2019年および2000年前後に分離された臨床分離株から抽出したRNAを用いて、PCRで全長を増幅しNGS解析を行うアンプリコンシーケンスを実施した。これまでに遺伝子型D8,B3,H1,D5のウイルスを含む約50株のコンセンサス配列が得られている。今後は臨床検体を用いた解析を検討する他、疫学的な関連がある患者由来の株間の変異頻度及び多様性の解析を実施する。 2)2023年4月に新型コロナウイルス流行後、初めて大阪府内で輸入麻疹症例が検出された。検出されたウイルスの系統樹解析を行い、疫学情報と併せて報告した。(病原微生物検出情報2023) 3)修飾麻疹増加に係る疫学的解析:修飾麻疹の増加に関連する疫学的背景を明らかにするために、大阪府の麻疹定点サーベイランス(1982~2007年)および全数サーベイランス(2008~2021年)の患者発生状況、調査期間中のワクチン接種率、検出された遺伝子型、および府内の麻疹血清疫学調査の結果を分析した。さらに、全数サーベイランスにおける修飾麻疹の発生傾向を、麻疹排除前(2008~2014年)と排除後(2015~2021年)で比較した。その結果、麻疹含有ワクチンの接種率向上により大阪府内における麻疹抗体保有率は上昇し麻疹患者数は著しく減少したが、ブースター効果が得られなくなったため集団における麻疹抗体価は低下し、これがSecondary vaccine failureに伴う修飾麻疹発生率の上昇の原因となっている可能性が明らかになった。(Kurata. et al. Vaccine. 2024)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
疫学解析と並行して実施した全ゲノム解析の解析方法の構築に、時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルス学的解析:麻疹ウイルスの全ゲノム解析については、リード数を十分確保できたデータが得られているが、詳細な解析について今後も引き続き検討する。また、これまでに当所で保存されているSecondary Vaccine Failureおよび初感染の麻疹患者の臨床検体中の麻疹ウイルス準種解析を行い、患者検体中のウイルスゲノムのレパートリーと存在比率を比較し、抗体保有者の麻疹感染に特有なウイルス学的特徴の抽出を試みる。 血清学的解析:血中のサイトカイン測定で明らかな差異が見られなかった際の代替手段として、免疫細胞のウイルス抗原に対する反応性を測定する予定である。患者及び健常人の末梢血単核球を麻疹ウイルス抗原で刺激しCD4・CD8T細胞及びB細胞の反応性をフローサイトメーターで測定し血中抗体価と併せて解析する。アッセイ系の構築は令和6年度から7年度にかけて行う予定である。
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