Project/Area Number |
23K09694
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58030:Hygiene and public health-related: excluding laboratory approach
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
大藤 さとこ 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70433290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 若葉 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70420734)
松浦 知香 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (50623237)
加瀬 哲男 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (10175276)
近藤 亨子 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 技術職員 (80420727)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | Budd-Chiari症候群 / 指定難病患者データベース / 予後 / 疫学 / 後ろ向きコホート研究 / 分析疫学 / 稀少疾患 |
Outline of Research at the Start |
Budd-Chiari症候群は稀少疾患(日本全体で約400人)であり、指定難病に位置付けられている。しかし、日本でBudd-Chiari症候群の予後を縦断的に検討した研究はほとんどない。 そこで、本研究では、国の「指定難病患者データベース」を利活用して、Budd-Chiari症候群患者の各年度の登録データを縦断的に連結し、分析疫学の原理に則って個々の患者を追跡することにより、疾患の臨床経過や予後の実態を明らかにする。また、疾患の予後予測因子を検討して重点的に診療経過を観察すべき集団を明らかにすることにより、患者診療で有用となるエビデンスを提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】 本研究の目的は、わが国の中等症以上のBudd-Chiari症候群患者が網羅的に登録された「指定難病患者データベース」を用いて、個々の患者データを縦断的に連結することにより、新規申請(診断)時から経年的に追跡し、疾患の予後(特に肝機能データや肝硬変、肝細胞がんの発症)を検討することである。令和5年度は、2015~2019年度の新規申請者を抽出し、新規申請から1年後~4年後の予後を検討した。 1.対象者の特性:2015~2019年度の新規申請者は70人、うち男性は41人(59%)、新規申請時の年齢(中央値)は47歳、発病時の年齢(中央値)は42歳であった。半数以上が新規申請時に、腹水、下腿浮腫・下肢静脈瘤、黄疸・肝機能障害、胃出血性食道静脈瘤、脾腫を認めた。治療を要する重症度Ⅲ以上に分類された者は80%以上を占めた。 2.経年的な追跡:70人のうち、1年後31人(44%)、2年後19人(27%)、3年後11人(16%)の情報が追跡可能であった。半数以上の患者が経過中に閉塞・狭窄部に対する治療を受けており、治療率の上昇に伴って重症度Ⅲ以上に分類された者の割合は減少した(1年後77%、2年後63%、3年後55%、4年後25%)。一方で、期間中に肝移植を受けていた者は、合計11人(16%)であった。 【意義、重要性等】 これまでBudd-Chiari症候群の予後を縦断的に検討した研究は世界的にも少ないのが現状であったが、本研究の結果、Budd-Chiari症候群患者の中で経過中に肝移植に至る症例が一定程度存在することが明らかとなった。また、閉塞狭窄部に対する治療に伴って、重症度分類が改善傾向にあることが示唆され、患者診療に有用な情報となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度には新規申請者の抽出と対象者の毎年の更新申請時の情報を連結して追跡する作業にかなりの時間を費やした。データクリーニングにて同一年度に重複して登録されていた患者を認めたため、患者に付された研究用IDを用いて個々の患者データを確認し、複数回の登録がある者はデータ欠損が少ない方を採用することとした。また、2015~2019年度の研究期間中に調査票の項目が変更されていたため、経年的な追跡にあたって項目の整合性を確認したり、そのデータ連結作業も必要となった。しかし、これらの作業を通じて、新規申請患者の更新申請時の情報を経年的に追跡できるデータセットを構築し、より精密なデータセットの構築に至ったと確信している。次年度には、構築したデータセットについて、複数の研究者間で確認して検討会を重ねることにより、データの正確性を担保する。稀少疾患のために、検討項目は限られる可能性はあるが、次年度以降の解析に向けた準備を十分に整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、2015~2019年度の新規申請者を抽出し、毎年の更新申請時の情報を連結して追跡するためのデータセットを構築した。また、同データセットによる新規申請者の追跡により、新規申請から1年後~4年後における症状の変化や重症者の割合の推移を検討した。 令和6年度以降には、さらに詳細解析を進め、診断後の治療内容に応じて、臨床経過に違いがあるかの検討や、新規申請から4年後までの予後悪化に対する予測因子を検討する。 わが国のBudd-Chiari症候群患者について悉皆性の高い「指定難病患者データベース」を用いた後ろ向きコホート研究により同内容を検討することで、わが国のBudd-Chiari症候群患者の臨床経過と予後に関する堅固な結果を提示できるよう進めていく予定である。
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