血清脂肪酸分画と循環器疾患発症リスクに関するコホート研究
Project/Area Number |
23K09719
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58030:Hygiene and public health-related: excluding laboratory approach
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
舩越 弥生 大分大学, 医学部, 助教 (60627230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 功 大分大学, 医学部, 教授 (90253781)
加藤 匡宏 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60325363)
丸山 広達 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (20627096)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 脂肪酸 / 循環器疾患 / コホート研究 / 血清脂肪酸分画 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、一般住民を対象に14年間に及ぶ大規模な前向き研究を実施し、コホート内症例対照研究の手法を用いて、血中脂肪酸がその後の循環器疾患の発症に与える影響を明らかにすることを目的とする。ベースライン時(2009~2011年)に-80℃で凍結保存した血清を使用し、2023年末までの追跡により循環器疾患症例150人、対照600人を抽出し、脂肪酸分画24成分を測定し、血中脂肪酸と循環器疾患発症リスクとの関連について明らかにする。本研究は、血中脂肪酸濃度が循環器疾患発症を予測するバイオマーカーになり得るかと考え、循環器疾患の新たなスクリーニング・予防対策指標の検討を目指す研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、循環器疾患発症をアウトカムとするコホート研究を用いてコホート内症例対照研究により血中脂肪酸のリスク評価を行うことを目的とする。令和5年度は、ベースライン時(2009~2011年)の凍結保存した血清(1,450検体)を用いて脂肪酸分画24成分を分析し、次の解析を行った。
横断的解析:魚油に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)と植物油に多く含まれるn-6系不飽和脂肪酸のアラキドン酸(AA)の比率を表すEPA/AA比の上昇が循環器疾患の発症リスクの低下に関連することが報告されているが、一般住民を対象とした疫学研究は乏しい。そこでコホート内から抽出した1,305人(脳卒中および心筋梗塞の発症・既往歴なし)において血中脂肪酸と循環器疾患の高リスク病態とされる高トリグリセリド(TG)血症(食後10時間以上の空腹時150mg/dL以上または随時175mg/dL以上)との関連を解析した。その結果、EPA/AA比が最も低いQ1群を基準とした高TG血症の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は、Q2群0.95 (0.61-1.41)、Q3群0.82 (0.54-1.22)、Q4群0.58 (0.38-0.90)であり、EPA/AA比は高TG血症と逆相関を示した。
縦断的解析:2023年末までの追跡により循環器疾患の症例145人が得られた。コホート内症例対照研究の手法を用いて症例:対照が1:4になるようにマッチングを行った(症例145人:対照580人)。ベースラインデータには生活習慣質問紙および特定健診等の資料を含む脂肪酸分画24成分の分析結果を、追跡期間中のアウトカムには循環器疾患発症・死亡の有無を用い、血中脂肪酸と循環器疾患発症・死亡との関連を解析したが、統計パワーの問題で有意な関連は認められなかった。さらなる症例の獲得のため2024年末まで追跡期間を延長する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は2009年より愛媛県大洲市の住民約3,600人を対象に大州コホートⅡを実施してきた。追跡期間は2024年で15年目になる。現在までの進歩状況は次の通りである。【循環器疾患発症調査】大洲市地域循環器疾患登録のデータを用いて、循環器疾患発症(脳卒中および心筋梗塞)の把握を行った。脳卒中は発症から24時間以内の神経学的症状ならびにCT/MRI所見に基づいて脳内出血、クモ膜下出血、穿通枝系脳血栓症、皮質枝系脳血栓症、脳塞栓症、分類不能に分類した。心筋梗塞は、WHOモニカ研究の診断基準に基づいて、胸痛、血清酵素、心電図所見、剖検所見から判断した。【異動と死因調査】追跡期間中の異動(転出・死亡)は、研究同意に基づき住民基本台帳の閲覧を通じて行った。死亡の場合、循環器疾患を原死因とする死亡例を把握する必要があることから、本研究対象者に関して厚生労働省に人口動態統計の目的外使用の申請(2009年~2023年末までの調査)を行い原死因の同定を行った。【研究対象の選定】①横断的解析:脳卒中および心筋梗塞の発症・既往歴のない1,305人をランダム抽出した。②縦断的解析:2018年末までの脳心発症に関する追跡調査(脳心発症85例、脳心死亡20例)は完了していたが、今回2023年末までの追跡により新たに40例のケースを獲得できた。コホート内症例対照研究の手法を用いて、循環器疾患を発症した症例1人に対し、地域・性・年齢(±2歳)を一致させた非発症者を同一のコホートから無作為に選び、症例:対照が1:4になるようにマッチングを行った。現在までに循環器疾患の症例145人、対照580人を抽出できている。【脂肪酸24分画分析】横断的解析用1,305検体(対照580検体を含む)と症例145検体の合計1,450検体の脂肪酸分画24成分の分析を臨床検査センターに委託した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、ベースライン時の凍結保存した血清を用いて脂肪酸分画24成分を分析し、血中脂肪酸と循環器疾患との関連を調査することである。これまでの解析結果と今後の研究の推進方策を下記に示す。
横断的解析:コホート内から抽出した1,305人(脳卒中および心筋梗塞の発症・既往歴なし)において、血中脂肪酸と循環器疾患の高リスク病態とされる高TG血症(食後10時間以上の空腹時150mg/dL以上または随時175mg/dL以上)との関連を解析した。その結果、EPA/AA比が最も低いQ1群を基準とした高TG血症の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)は、Q2群0.95 (0.61-1.41)、Q3群0.82 (0.54-1.22)、Q4群0.58 (0.38-0.90)であり、EPA/AA比は高TG血症と逆相関を示した。今回得られた研究成果は、2024年10月開催の第83回日本公衆衛生学会総会(演題名:血清EPA/AA比と高TG血症との関連:大洲コホートⅡ)において発表予定である。今後は他の血中脂肪酸と動脈硬化性疾患との関連についても解析を行う。
縦断的解析:2023年末までの追跡により循環器疾患の症例145人が得られた。コホート内症例対照研究の手法を用いて、症例:対照が1:4になるようにマッチングを行った(症例145人:対照580人)。ベースラインデータには生活習慣質問紙および特定健診等の資料を含む脂肪酸分画24成分の分析結果を、追跡期間中のアウトカムには循環器疾患発症・死亡の有無を用い、血中脂肪酸と循環器疾患発症・死亡との関連を解析したが、統計パワーの問題で、有意な関連は認められなかった。今後は、さらなる症例の獲得のため、2024年末まで追跡期間を延長する。最終的には循環器疾患発症を予測する新規バイオマーカーとしての脂肪酸を同定し、これを取り入れた予防活動の方法の開発と実用化を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)