Project/Area Number |
23K09731
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58030:Hygiene and public health-related: excluding laboratory approach
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小川 朝生 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (10466196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 吉央 東京理科大学, 先進工学部機能デザイン工学科, 教授 (00314534)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | せん妄 / 表情解析 / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
せん妄は入院患者の約20%に出現し、敗血症等合併症を増加させるとともに、治療後の認知機能障害を招く高齢者治療最大の合併症である。しかし、スクリーニングや診断に直接つながるバイオマーカーに乏しく、診断は主に経験を積んだ専門医の問診に基づいて行われる現状がある。 そこで我々は、人の表情を定量化し、特徴量を抽出する解析技術を用いて、せん妄特有の表情や行動の特徴量を抽出し、せん妄の診断や重症度、サブタイプとの関連を明らかにし、スクリーニング並びに診断補助として応用可能かを検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
せん妄は注意力障害を中核症状とし、種々の精神症状をともなう中枢神経系の機能障害の一形態である。せん妄は入院患者の約20%に出現し、治療中の事故や患者の意思決定を阻害する、家族の精神・身体的負担の要因になるなど、生命予後や治療成績、QOL、医療経済的負担の増加につながり、発症と重症化予防のための管理が必要である。 せん妄に適切に対応する上で、広くスクリーニングを行い、適切に診断することが基本となる。そのため、スクリーニングや診断の根拠となる検査が重要になる。しかし、診断や重症度の評価に直接つながるバイオマーカーが乏しく、診断は主に専門医による臨床症状の評価により行われている現状がある。 今回、せん妄の診察場面での表情や体動を定量化し、専門医がせん妄を診断する際に注目する注意障害の判断と比較し、せん妄の特徴量が抽出できるかどうかを検討することを目的にしている。近年人工知能の応用により急速に進展している画像解析技術を応用し、専門医が診察場面での表情や行動の評価を行う暗黙知を解析することを通して、従来困難であった注意障害の定量化を目指す意義がある。 本年度は、せん妄の診断がついた患者を対象に、診療場面を中心にその応答場面を撮影し、定量化する評価系の構築を進めた。手持ちのカメラを用いて、診察場面での専門医と患者との診察場面を撮影した。撮影したデータにより解析が可能であることを確認した。 次年度以降、確立した評価系を用いて、画像データの収集を進め、解析・学習に必要なサンプルの収集を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、令和5年度には、専門医との診察場面を撮影し、収集した画像を用いて、表情や感情を定量化する評価系を構築することを目的とした。本年度は、撮影方法の検討から進め、首掛け型ならびに手持ちカメラ等複数を検討し、臨床場面でも安定して撮影できる手技を確認し、そのうえで、評価用の画像の収集を開始した。せん妄の診断がついた患者を対象に、診療場面を中心にその様子を録画し、学習に必要なサンプル数を目標に収集を進めている。収集はほぼ予定通りに進んでおり、進捗には問題はない。 今後は、必要なサンプル数が集まった時点で、撮影した動画を用いて、オフライン錠の計算機で画像や音声の特徴を抽出し、頭部の位置や姿勢、視線方向、表情等を推定することが可能かを検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に従い、確立した測定系を用いて撮影を進める。予定した件数を収集した後に、表情を解剖学的に分解し、顔面筋の動きの定量化、視線の動き、頭部の動作を分析し、特徴量として学習する。定量化の後に時系列データを学習させ、表情変化や行動変化からせん妄の特徴量を抽出する。これら学習モデルから抽出された結果と専門医による診察で得られた情報を比較し、一致率を算出し結果の妥当性を確認する。その後、予定入院患者(手術またはがん薬物療法)を対象に上記で確立した測定系を用いて、コホート調査を行い、せん妄の診断、せん妄の重症度との関連性を検討し、開発した表情画像処理技術学習モデルの検証と改良を行う。デザインは前向き観察研究とし、70歳以上で治療予定を対象とする。同意取得の後、入院時にベースライン調査を行う。入院中は1日1回せん妄のスクリーニングを継続し、せん妄を発症した場合には、発症時、day1、day2、day3とせん妄のサブタイプ・重症度評価、認知機能評価を継続して行う。その後せん妄が改善した時点でフォローアップ検査を1回施行する。院内でせん妄の治療に関する依頼件数は年間約300件あり、集積は十分に可能である。
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