Project/Area Number |
23K09775
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58040:Forensics medicine-related
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
草野 麻衣子 昭和大学, 医学部, 准教授 (60733574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 雅博 昭和大学, 医学部, 准教授 (60754570)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 急性カフェイン中毒 / CYP1A2 / 腸内細菌 / LC/MS/MS / カフェイン代謝 / 薬物動態 / 薬物代謝 / 質量分析 |
Outline of Research at the Start |
カフェインの過剰摂取は急性中毒を引き起こし、死に至る可能性もある。経口摂取されたカフェインは小腸粘膜でほぼ吸収され、肝臓で代謝される。近年、腸内細菌叢が薬物の有効性や毒性に影響することが報告されているが、腸内細菌が及ぼすカフェイン代謝や中毒への影響については未解明である。本研究では急性カフェイン中毒について、①CYP1A2のカフェインと主代謝物の代謝および毒性(中毒)への関与を調べ、②CYP1A2の発現およびカフェイン中毒に影響する腸内細菌の探索を行い、急性カフェイン中毒とCYP1A2と腸内細菌の関係性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度では、カフェインおよびカフェイン代謝物の分析法の構築と評価を主に行った。生体試料中のカフェインおよびカフェイン代謝物の分析法について、過去の文献を参考にし本研究で用いるLC-MS/MSでの同時分析条件の確立を主に行った。カフェインの主代謝物であるパラキサンチンとテオフィリンは位置異性体であるためLCにおける分離が難しく、分析条件の工夫を要した。分析カラムの選択および分析条件の検討を行い、本研究のターゲット化合物の分析法を確立した。また、マウス血漿から徐タンパク法によりカフェインおよびカフェイン代謝物を抽出し、生体試料中の対象化合物が分析・検出可能であることを確認した。対象化合物について検量線を作成し、分析バリデーション(検出・定量下限値、日内・日間変動、抽出効率の評価)を行った。 マウス投与実験についてはマウスが死亡しない程度のカフェインの中毒濃度の検討を行った後、確率した分析法を用いて設定した中毒濃度(50 mg/kg)のカフェインを経口投与したマウスの血漿を0h, 0.5h, 4h, 8h, 18h, 24hで採取し、血漿中のカフェインおよびカフェイン代謝物の定量分析を行った。 現在はマウス投与実験を続行しており、CYP1A2阻害剤(フルボキサミン)をマウスに投与した後に中毒濃度のカフェインを投与後の血中カフェインおよび代謝物濃度の定量を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の主たる目的として、対象化合物の分析条件の確立と評価は達成できたが、初年度前半ではLC-MS/MSの故障と修理期間が長引いたため分析着手に遅れが生じた。また、本研究で対象としている一部の代謝物は位置異性体のためピーク分離を達成するために分離条件の設定に時間を要したものや、一斉分析時にイオン化効率が悪くなったため再検討する必要がある化合物があり、分析法の確立に遅れが生じた。分析条件の最適化を行った後、分析バリデーションを含む評価と生体試料からの抽出(前処理)検討を行い、マウス血漿中のカフェインおよび代謝物の定量分析が行えることを確認した。 マウス投与実験では、急性カフェイン中毒の状況に近い状況になるように投与するカフェイン濃度を検討する必要があった。マウスにおけるカフェインのLD50は127 mg/kgとされており、投与後すぐに死亡しない程度の中毒濃度として50 mg/kgの経口投与とした。カフェイン代謝のタイムコースを得るため、カフェイン投与後0, 0.5, 4, 8, 18, 24hで採血した。内部標準法を用いたLC/MS/MS定量分析を行った結果、血漿中カフェイン濃度は投与後0.5hでピークとなり、4hではピーク時から半減し、8hではほぼ消失していた。主代謝物であるテオフィリン、パラキサンチン、テオブロミンもそれぞれ血漿中濃度は投与後0.5hでピークに達していたため、カフェインは投与後速やかに代謝されることが示唆された。代謝物の血漿中の減少はテオフィリンが一番早く、次にパラキサンチン、そしてテオブロミンが一番長く、投与後8hではピーク時の約1/4程度しか減少していなかった。現在はCYP1A2阻害剤(フルボキサミン)をマウスに投与した後に中毒濃度のカフェインを投与後の血中カフェインおよび代謝物濃度の定量を進めており、CYP1A2阻害によるカフェイン代謝の比較を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度では引き続きR5年度で行う予定であったCYP1A2阻害によるカフェイン代謝への影響と、腸内細菌のカフェイン代謝への影響を調べる。具体的には、CYP1A2阻害剤(フルボキサミン)をSPFマウスに投与した後、中毒濃度のカフェイン投与後の血中カフェインおよび代謝物濃度を定量し、CYP1A2阻害剤を投与していないマウスでの血中濃度と比較し代謝経路とマウスへの毒性の変化を調べる。次に、SPFマウスと腸内細菌を有さない無菌マウス(あるいは複数の抗菌剤を経口投与し優勢な腸内細菌を除去したマウス)にカフェインを経口投与し、血中カフェインおよび代謝物濃度を定量し、腸内細菌の有無とカフェイン代謝の変化を調べる。さらに各マウスの肝臓におけるCYP1A2の発現変化を調べるために、リアルタイムPCRを用いてCYP1A2のmRNA発現量を定量する。 上記を行いながら、当初の研究計画書2年目に主に行う予定である中毒に影響する腸内細菌の絞り込みと探索も進める。具体的には、SPFマウスおよび異なるスペクトラム(バンコマイシン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン等)の抗菌剤投与マウスにおいて、カフェイン毒性(生存率など)の比較とカフェイン代謝への影響を調べ、CYP1A2発現の変化に影響する腸内細菌の絞り込みを行う。
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