Project/Area Number |
23K09777
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58040:Forensics medicine-related
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
町田 光世 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60468692)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | Corneocyte / DNA profiling / WGA / Single cell / corneocyte / single cell / degradation |
Outline of Research at the Start |
本研究は、接触試料に含まれる角質細胞のシングルセルに最適な個人識別法の開発を目的とする。DNAやタンパク質の損傷の少ない角質細胞を選択・単離し、単離した細胞を全ゲノム増幅後、角質細胞特異的なSNPを用いたDNA解析を行うことで、混合かつ損傷微量試料における個人識別の精度向上を図る。
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Outline of Annual Research Achievements |
犯行現場に残された試料の多くは複数人物由来の角質細胞であり、DNA損傷を受けやすく、その上回収されたDNA量が極めて少ないため、判定精度は著しく低下する。特に角質細胞は脱核した細胞であり、有核細胞と比べ十分なDNA量を得ることは困難である。従って、個人識別を効率的に行うためにはDNA解析成功率の向上が必至である。今年度は次世代シーケンサー(Miseq)による角質細胞に最適なDNA解析を目的とし、マルチプレックスPCR増幅のためのsingle nucleotide polymorphism(SNP)プライマーを設計し、解析を行った。Borja等によって角質細胞のプロテオミクス解析から同定されたアミノ酸多型に対応するSNPに着目し、MPprimerを用いてマイナーアリル頻度0.3以上の日本人に見られる15SNPのマルチプレックスプライマーを設計した。始めにボランティアから採取した口腔内上皮細胞からQIAamp DNA Investigator kitを用いてゲノムDNAを抽出した。次にKAPA2G Fast Multiplex PCR kitを用いて、設計したマルチプレックスプライマーでDNA試料をPCR増幅し、精製後ライブラリー調整を行った(1st PCR)。さらにNextera XT index primerを用いて1st PCR産物にindexを付加し、2nd PCR増幅・精製後、次世代シーケンサーによるSNP解析を行った。ライブラリー調整や泳動結果には問題は見られなかったが、15SNPのうち5SNP(rs10904516、rs72697000、rs1567759、rs2013335、rs4603)でリード長が短く、リード数が少ない結果となった。この結果から、プライマーダイマーが形成された可能性が高く、プライマーの再構築を行う必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、DNA解析の成功率を高めるために、どのようなタンパク質が発現している細胞が解析に適しているのかを明らかにし、解析時に細胞選択を行うことの有用性を示すべく、以下の実験を進めた。 1. 角質細胞に発現しているインボルクリンやロリクロン、CK10など9種類の抗体を用いてウェスタンブロットを行った結果、指や掌の細胞にはCK10、KLK5、CASP14が高発現していた。また、指由来の細胞試料の場合、手洗い直後と手洗い3時間後ではKLK5とCASP14の両発現が見られたが、掌の細胞試料の場合は手洗い直後でCASP14のみが、手洗い3時間後ではKLK5のみが発現した。つまり、KLK5とCASP14は手洗い後の放置時間や、細胞を採取した手の部位が推定できるマーカーになり得る可能性が高いと考えられた。 2. ボランティアから採取した接触試料を紫外線で人工的に損傷処理を行い、経時的なDNA 損傷状態の調査を進めた。紫外線を28時間、48時間、65時間、100時間照射した角質細胞のカルボニル化タンパク質を染色した結果、いずれの照射群も未照射群と比べて発現が亢進していることが明らかになった。カルボニル化はタンパク質損傷の一種である酸化反応で生成されるタンパク質であるため、カルボニル化の程度を調べることで外界刺激による損傷時間の推定が可能であると考えられた。 3. 次世代シーケンサーを用いた角質細胞に最適なSNP解析を実施するため、マルチプレックスPCRプライマーの再設計を継続して行っている。 4. 犯行現場の遺留物に対する擬似接触試料を作成するために、ボランティアにガラス・PET(ポリエチレンフタレート)シート・ステンレスシート・木製ブロックに触れて頂き、角質細胞を採取すると共に、試料中のDNA量やタンパク質量、タンパク質の局在などの基礎データを収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
身の回りに存在する物体表面には様々な人物由来の指や掌の細胞や汗が付着しており、混合試料を用いたSTR解析は個人特定が極めて困難であるため、次年度はシングルセルの採取方法を検討し、シングルセルに適したDNA解析方法を確立する。また、接触試料のような少数の細胞しか含まない試料からDNA解析を成功させるために、全ゲノム増幅でDNA増幅後にDNA解析を行い、微量DNA試料に対応可能な解析法を構築する。以上の項目を検討するために以下の実験を行う予定である。 1. シングルセルを採取するために、限界希釈法と直接採取法を試みる。直接採取法では、角質細胞の懸濁液をスライドグラスに滴下して風乾後、クリスタルバイオレットで染色し、顕微鏡下でタングステン針を用いて細胞を採取する。今年度で得られた結果に基づき、KLK5やCASP14、カルボニル化タンパク質の免疫染色を行った後、発現が異なる細胞を採取する。 2. 全ゲノム増幅(mIPEP: modified improved primer extension preamplification)法やシングルセル用全ゲノム増幅キット数種類(PicoPLEX Single Cell WGA Kit、GenomePlex Single Cell Whole Genome Amplification Kit)を用いて比較検討を行い、シングルセル解析に対してSTR解析や独自で開発したプライマーセットによるSNP解析の成功率が高い全ゲノム増幅法を決定する。 3. 1で採取したシングルセルを、2で確立した全ゲノム増幅法によりDNAを増幅し、STR解析やSNP解析を行う。どのようなタンパク質が発現している細胞が解析に適しているのかを明らかにすることで、個人識別の効率化や精度の向上を図る。
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