Project/Area Number |
23K10201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊藤 友孝 静岡大学, 工学部, 准教授 (00283341)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 高齢者 / トレーニング / 認知機能 / 運動機能 / ロボット |
Outline of Research at the Start |
超高齢社会の到来により軽度認知障害や認知症に苦しむ高齢者が増加している.また,加齢による筋力や器用さの低下が原因で,手指の細かい動作ができなくなったり,ペットボトルの蓋が開けられなくなったりなど,生活に必要な動作に支障をきたす例も増えており,認知機能や運動機能を維持・改善するための効果的な方策が必要とされている.そこで本研究課題では,「手指と腕の複合トレーニング装置」を開発することを目的とした.本装置は,手指と腕を複合的に使いながら,運動機能と同時に認知機能の訓練も行うことができる画期的なもので,見守り機能の搭載により医療現場や施設スタッフ,家族らが連携して包括的なケアを行うことが可能となる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,生活に必要な認知機能と運動機能の状態を見守りながら「手首と腕を複合的に使った効果的なトレーニングを行える支援機器」を開発し,高齢者の自発的な機能維持や医療従事者や福祉施設のスタッフ,家族などが連携した包括的かつ効果的なケアを実現する仕組みを構築することを目的としている.システムの中核は「手指と腕の複合トレーニング装置」で,ユーザーはモニタ画面や机上に提示された情報を見ながら,ゲームのような感覚で手元の操作デバイスを動かしながら認知機能と運動機能の同時トレーニングを行うことができる. 令和5年度は,研究開発の第1フェーズとして,手指・腕の複合トレーニング装置の本体および訓練プログラムの開発を並行して実施した.トレーニング装置本体については,予備研究で製作したプロトタイプを元に,性能や精度面を大きく向上させた改良型の設計と製作を行った.連携する福祉施設との複数回の打ち合わせの中で,性別や認知障害の有無などによる負荷の強度や感覚の違いなどの知見を得ることができ,実際に施設に設置可能な普及型の方向性についても検討を行った.訓練プログラムについては,予備研究で試作したプログラムを出発点として,改良した装置に5種類のトレーニングプログラムを実装した. 年度後半には,実際に施設に装置を設置して,高齢者に対する実地試験を実施した.その結果,運動機能や認知機能の維持・向上に効果的であるという意見が共通して得られた.また,見守り機能として訓練時のデータを蓄積できるようにしているため,その分析も実施し,高齢者個々の特徴を捉えることも可能になった. 次年度以降の見守り機能の開発に向けて大きな前進となった. なお,投稿した論文も掲載が決定し,2024年度に掲載される予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のように,本研究課題の目標は,生活に必要な認知機能と運動機能の状態を見守りながら「手首と腕を複合的に使った効果的なトレーニングを行える支援機器」を開発し,高齢者の自発的な機能維持や医療従事者や福祉施設のスタッフ,家族などが連携した包括的かつ効果的なケアを実現する仕組みを構築することである. 初年度の研究の達成目標であった「施設設置型のトレーニング装置の開発」と「効果的な訓練プログラムの実装」を予定通りに達成し,さらに,訓練データを蓄積して分析できる「見守り機能」の実装も行うことができた.後半に実施した実地試験では,実際に施設にトレーニング装置を設置して,複数名の高齢者に対するデータ採取も行うことができた.訓練負荷や操作フィーリングを自由に変えられる点や,楽しみながら訓練を行うことができる点が特に評価され,施設スタッフからは,見守り機能の発展に期待する声が多く得られた. 投稿した論文も学会誌への掲載が決定し,当初の達成目標を超えて研究を進めることができたため,当初の計画以上に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度以降の研究計画(推進方策)は以下の通りである.
令和6年度は,第二フェーズとして,第一フェーズで開発したシステムを用いて福祉施設に通所する高齢者に多く使用してもらい,見守り機能の改良と,認知機能や運動機能の維持・改善効果の検証を行う.腕の動きや指の力など訓練時の装置の使用状態のログや訓練結果の記録に加えて,NIRS装置による訓練中の脳血流変化の計測や筋電計による筋活動度の計測を実施し,訓練状態の定量評価を行うことで,見守りや機能維持の確認に必要な訓練状態量(特徴量)を検出する.これにより,次のフェーズの長期評価実験に向けて実際的な評価ができるシステムを構築するのが目標である. 令和6年度下期~令和7年度下期は,第三フェーズとして,見守り機能付きトレーニング装置を用いて,長期訓練による効果の検証と評価を行う最重要フェーズである.開発した見守り機能で蓄積される訓練状態量(特徴量)とMMSEなどの認知症の評価スコアの推移を統計的に分析し,本システムのような認知機能と運動機能を同時に使う形の介入が認知症の進行の抑制や予防にどのような効果を生むのか,また,どの訓練が最も効果的であったかなど,今後の認知症や運動機能のケアに関する重要な知見を得ることが最終的な目的である.
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