Project/Area Number |
23K10284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 58080:Gerontological nursing and community health nursing-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
土屋 綾子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (00970716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
野村 純 千葉大学, 教育学部, 教授 (30252886)
古川 美之 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (60970481)
堀 清一郎 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任教授 (90800285)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 養護教諭 / WEBストレスチェックシステム / 小中学校 / 教育相談 / 地域・専門機関連携 / タブレット / PSI / 日本学校風土尺度 / WEBストレスチェック |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウイルス感染症によって,学校や家庭の生活環境が大きく変化し,子ども達にも多くの影響を与えている。一人で不安や悩みを抱えている児童生徒が多数存在し,不登校や自殺者の増加,ヤングケアラーの問題等,学校職員が取り組まなければならない課題は多い。そこで,児童生徒の課題やストレス状態を早期に把握するために,GIGAスクール構想のもと設置されたタブレットを用いて「WEBストレスチェックシステム」を構築した。このスクリーニングの結果を受け,養護教諭と協働で早期対応に努め,地域と連携した教育相談体制の確立を図っていくこと,更にシステムを改善し,広く普及していくことを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は小・中学校でタブレットを用いて「WEBストレスチェックシステム」を実施し、児童生徒のストレス状態や課題を早期に発見し、実態を把握すること、また、スクリーニングの結果を受け、担任・教育相談担当教員と養護教諭が協働で早期対応に努め、さらに地域や専門機関と連携した教育相談体制の確立を図る方法を明らかにすることである。 「WEBストレスチェックシステム」は国内クラウドの情報セキュリティが確保されており、本研究は「『WEB上での子どものストレスチェック制度』運用に関する社会実装研究」として千葉大学大学院医学研究院倫理審査委員会に承認を得た。質問内容は、PSI(パブリックヘルスリサーチセンター版ストレスインベントリー)中学生用(坂野、岡安、嶋田、2007)、日本学校風土尺度(西村、2017)、悩み・ヤングケアラー・虐待について、教育相談面談の希望の有無等である。 令和5年度は中学校3校で「WEBストレスチェックシステム」によるスクリーニングを実施した。生徒のストレス状態やストレッサー、ソーシャルサポート力、悩みの有無やヤングケアラーの実態を調査した。紙ベースで行うアンケート調査より集計処理に時間をとられず効率的で、担任や教育相談担当教員の負担を軽減させた。生徒へも適切な時期に迅速な対応を行うことができた。 結果はWEB上で生徒自身も確認できるが、必要に応じて紙ベースへ印刷し、アドバイスシートとして面談等で活用した。認知行動療法を使用したフィードバックも一連のシステムに組み込まれており、利用している生徒もみられた。教職員も高ストレスの生徒や教育相談面談の希望者に対して、面談時に問題解決法等を提供し、ストレスフルな社会に適応していけるように支援していた。ストレスチェックは定期的に実施し、PSIの高ストレス状態が正常化するかなど経過観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究参加校は3校(2校はPSIから抽出した質問項目で実施)、参加者の総数は中学校で1085人うち高ストレス者は1割程度だった。結果はアドバイスシートで生徒・保護者にフィードバックし、自己で心身の状況を確認するよい機会となった。認知行動療法を使用したフィードバック「ストレスへの対処法、ぽじれん(ポジティブ練習)、ここれん(こころの練習):千葉大学監修」も閲覧されていた。 管理者画面でデータ結果一覧表をダウンロードし、教職員間で情報を共有できた。高ストレスや課題がある生徒へは担任や教育相談担当者、養護教諭が中心となって、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーと連携し、教育相談面談等の対応をしていた。 定期的に開かれる教育相談部会に研究者(精神科医、看護師、公認心理士資格保持者)も参加し、アドバイザーとしての役割を果たした。 結果の分析としては、昨年度実施した小学校3校のデータを統計解析ソフト(SPSS)にかけて、因子分析、相関分析を行った。その結果をまとめ、国際学会(10th World Congress of Cognitive and Behavioral Therapies等)や国内の学会(第26回日本精神保健・予防学会学術集会、日本学校保健学会第69回学術大会等)で、口頭発表やポスター発表をした。また、地域の方の理解を深めるために、市民講座(第2回認知行動療法サポーター養成講座「思春期のメンタルヘルス-学校教育と精神医療の連携-」)で講演を行った。 実際に「WEBストレスチェックシステム」を使用するとシステム機能の使いづらさや画面の見にくさが明確になったので、システムの改修を行った。学校側の意見をアンケートやインタビューで調査し、結果をシステム改修に役立てた。
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Strategy for Future Research Activity |
「WEBストレスチェックシステムマニュアル」を作成し、普及していく。システムの有効性や操作手順を明確化し、結果データの活用方法を具体的に提示していく。例えば、高ストレス者や自殺念慮、不登校傾向のある児童生徒への具体的な声かけや対処方法を教育相談対応の経験の少ない先生方にもわかるように示したり、保健体育の授業等で活用したりする方法を掲載する。マニュアルを各教育委員会に配付し、実施を促していく。 教育相談部会や養護教諭会の研修会に参入し、「WEBストレスチェックシステムマニュアル」を元に協力の依頼をする。養護教諭は学校に常在しており、心身の健康についての専門的知識・技術を持っている。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった心理や福祉の専門のスタッフと連携したり、地域・専門機関ともつながったりしている。そのため、教育相談活動への積極的参加をお願いしていく。 教育相談のための「チーム学校」体制を確立するために、研究者はアドバイザー的役割で学校へ参入し、学校外の地域資源にアクセスしやすい情報を提供する。当センターや地域の専門機関の有効活用を促進したいと考えている。 教育相談体制を確立し支援することで、児童生徒が自らの心の状態・ストレスに気づき、学校や地域を利用して、対処する方法を身につけること、生涯を通じで自らの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力を育むことが最終的な目標である。
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