下肢アライメントを考慮した三次元筋骨格モデルの製作と変形性膝関節症の解析
Project/Area Number |
23K10448
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
巖見 武裕 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (10259806)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 筋骨格モデル / Knee-Spine Syndrome / 変形性膝関節症 / 脊柱アライメント / 下肢アライメント |
Outline of Research at the Start |
本研究では脊柱アライメントと同時に下肢の関節変形や静的,動的なアライメントを評価で きる体幹部と下肢部を結合した三次元筋骨格モデルを製作する.そして実際の変形性膝関節 症患者のレントゲン情報やモーションキャプチャデータを入力データとしたときの脊柱間お よび下肢関節の生体内力の定量化し,病態進行度や脊柱変形との力学的な因果関係を明らか にする.これにより運動器疾患の複合的治療方針決定や早期発見の一助となる指針を得るこ とが期待される.
|
Outline of Annual Research Achievements |
医療分野において、人間の体に働いている力である生体内力は、研究や評価に有用なデータであるが、実測は侵襲的であり困難である。非侵襲的な生体内力の推定方法として、三次元筋骨格モデルを用いた逆動力学解析が有用であり、広く使用されている。本研究では、世界中で高いシェアを持つAnyBody Modelling System(以下AMS)を使用する。AMSが提供し、広く使用されている標準モデルの膝関節は、1自由度を有する回転関節で定義されており、膝関節に対して与えられる動作は屈伸のみである。しかし、実際の人体の膝関節では屈伸に加え、内外旋及び内外反、さらにスラストと呼ばれるわずかな並進を含む複雑な運動が行われる。そのため、モデルの膝関節の自由度を増加させることで、モデルにおける膝関節の挙動が人体の膝関節の運動に近づくと考えられる。また、標準モデルでは膝関節周りに靭帯は付与されていない。対して、人体の膝関節では自由度と可動域を制限する要素として靭帯が大きな影響を与えている。関節を支える力が筋張力のみであるモデルの膝関節に、靭帯を模した要素を加えることにより、関節を支えるためにはたらく力の発生機構が人体に近づき、膝関節間力推定精度の向上や靭帯の影響についての考察が可能になると考えられる。また、人体の股関節では、関節の過剰な運動を抑制し、股関節に安定性を与える重要な支持組織として靭帯が作用している。このことから、靭帯の張力は股関節間力のベクトルに影響を与えていると考えられる。しかし、標準モデルでは股関節には靭帯が付与されていない。そこで、モデルに靭帯を付与することで股関節間力の推定精度向上や靭帯切除の影響の検討などが可能なモデルを製作した。また、IMUを用いた変形性膝関節症の診断システムの開発も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、変形性膝関節症が脊椎アライメントに与える影響(Hip-Spine-Knee syndrome)までを解析できる3次元筋骨格モデルの製作を進めている。現在までに、「脊柱矢状面アライメントと腰椎固定術後隣接椎間障害の関係」について解明するため、腰椎アライメントが異なる4種類のモデルを製作し、固定隣接椎間に作用する負荷を比較検討した。これは、生体の関節の詳細な運動や靭帯等の軟部組織の特性を再現した筋骨格モデルを製作して椎間関節間力を推定したものある。より詳細に生体内力を推定することは有限要素解析との融合という点でも有益である。現時点では、腰椎アライメントの比較として、前屈30度までの静的解析のみとなっており、限られた姿勢のみでの比較は困難である。3自由度膝関節モデルに関しては、これまで1例しか入手できていなかった精度検証に使用するデータを1例増やし、2例での比較検討が可能となった。また、新たに股関節に詳細な靭帯要素を付与したモデルを製作し、精度検証を行いモデルの妥当性が確認できた。股関節に靭帯を付与したモデルで解析を行った股関節間力を有限要素解析の荷重条件に用いることで、靭帯張力を考慮した応力の解析ができた。また、IMUを用いた変形性膝関節症の診断システムの開発も進め、これらの結果は第50回日本臨床バイオメカニクス学会学術講演会にて報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、歩行や立ち上がり動作など動的解析が行えるようにモデルを改良する方針である。このような日常動作が解析できるようになれば、様々な場面における臨床的な考察が可能となる。現在までに製作した筋骨格モデルに下記の改良を加える。 ・脊椎アライメントを患者に合わせて変更したうえで動的解析を行えるようにする。 ・関節面の形状に沿った6自由度の関節運動を再現できるFDKモデルを作成する。 筋骨格モデルの改良について、共同研究を行っている医学系スタッフらと定期的に研究会を設けて研究経過の報告を行い、解析の方向と途中経過の妥当性を確認しながら進めている。研究結果については順次学術講演会で発表を行い、また共同研究者らと分担して論文化を進める予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)