幼少期ストレス起因排尿機能障害の末梢―中枢変化と神経可塑性誘導に対する影響の解明
Project/Area Number |
23K10504
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59010:Rehabilitation science-related
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
上條 中庸 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30757555)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70301398)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 母子分離 / 低出力体外衝撃波 / 高架式十字迷路 / 幼少期ストレス |
Outline of Research at the Start |
子どものネグレクトや虐待などのストレス経験は脳だけではなく、腸や膀胱など排泄機能の障害に関わり、それら全身性の影響は成長後も続く。幼少期ストレスが中枢に負の影響を与え、それが末梢にまで及び、成長後にも作用し続けることが推測されるが、その機序については未だ不明である。本研究では、排尿に着目し、ストレス制御機構と、排尿障害をもたらす末梢―中枢ネットワーク変化及び連携に注目する。つまり、中枢領域で生じる後天的な環境要因の変化の過程がどのように末梢の排尿障害を引き起こすか、またその関連部位はどこかを明らかにする。さらに、神経可塑性誘導による末梢障害の改善と中枢機能への影響についても検討をおこなう。
|
Outline of Annual Research Achievements |
幼少期のストレスの一種である母子分離ストレスは、成長後の脳機能に含めた末梢機能への影響が知られています。我々の事前研究(Kamijo T, Miyazato M. 2023)でも、母子分離を行ったラットは、離乳直後の幼少期(3週齢)および成長後の9週齢で不安様行動と排尿機能(特に膀胱機能)に悪影響があることが確認されました。本研究では、これらの結果を踏まえ、母子分離ストレスを受けたラットに対して膀胱への低出力体外衝撃波治療を施し、その治療効果を行動と排尿機能について評価しました。低出力体外衝撃波治療は、非侵襲的な衝撃波を体外から照射し、組織の自然治癒力を利用して神経や血管の再生を促進する治療方法で、人間に対しても勃起不全などの治療に使用されています。
具体的には、生後2日齢から14日齢までのラットの子から母ラットを1日あたり6時間分離し、幼少期ストレスモデルを作成しました。生後21日齢で離乳し、6週齢から低出力体外衝撃波治療を実施しました。1回の治療において、体表から膀胱に向けて120 mJ/mm2, 2 Hzの強度で120発の衝撃波を照射し、これを1日おきに9回(合計1,900発)行いました。9週齢からは行動実験(高架式十字迷路実験)、排尿行動(代謝ケージ実験)、膀胱機能実験(連続膀胱内圧測定)を行い、評価しました。結果、母子分離によって影響を受けた膀胱は治療によって正常群の値に近づき、高まっていた不安行動も減少し、頻尿が改善されました。
本研究により、母子分離ストレスモデルに対して抹消(膀胱)へ低出力体外衝撃波治療することが、抹消への治療効果だけでなく中枢機能の一部(不安様行動)にも改善効果を示すことが確認されました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結果は一通り揃っており、現在論文執筆中であるため、「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、幼少期ストレスモデルに対して「排尿中枢の神経活動・ストレス受容体変化」と「排尿行動回路への影響」、「排尿機能改善に伴う中枢への影響」を評価することを目標としている。初年度で「排尿機能改善に伴う中枢への影響」を調べられたため、今後は残りの2つのテーマ「排尿中枢の神経活動・ストレス受容体変化」と「排尿行動回路への影響」を調べる予定である。次年度は「排尿中枢の神経活動・ストレス受容体変化」に関して研究を実施する。
具体的には、母子隔離操作による海馬―橋排尿中枢神経回路の形態学的変化を分析する。達成目標は、①ストレス受容体(グルココルチコイド受容体)の海馬および橋排尿中枢投射回路の解剖学的観察、②同回路の電気生理学的分析、③グルココルチコイドの排尿機能への影響解析である。具体的な方法は次の通りである。①母子隔離操作後、サンプル採取は30日齢(性成熟前)と65日齢(成体)とする。神経投射分析は、サンプル採取7日前に片則腹側海馬、橋排尿中枢に順行性(FluoroRuby)反対側に逆行性(FluoroGold)トレーサーを注射し、固定後冠切片から領域内の投射軸索数、グルココルチコイド受容体発現、ニューロン数を分析する。②母子隔離操作後、腹側海馬、橋排尿中枢神経回路の電気生理分析は、腹側海馬と橋排尿中枢の周辺膜電位の単一ユニット記録を、膀胱の収縮性神経信号との対応として測定する。③母子隔離操作後、グルココルチコイド受容体への作用を検証するためにアゴニスト(RU-28362)とアンタゴニスト(RU-486)の静脈内または髄腔内投与し②の電気生理分析を実施する予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)