Project/Area Number |
23K10600
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川島 浩平 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60245446)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2027: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ジェンダリング(性差付与) / バスケットボール / バレーボール / 卓球 / テニス / ゴルフ / ジェンダー / 開発(development) |
Outline of Research at the Start |
本研究は本来性別のないはずのスポーツに「性差」が付与されるような現象「ジェンダリング」に注目し、明治、大正、昭和前期の日本に導入され普及した代表的な競技、すなわちバスケットボール、バレーボール、テニス、卓球、ゴルフを事例として、その歴史的発展をたどりながら、ジェンダリングの作用を振り返り、その上で日本における近代スポーツの発展をジェンダリングの視角から分析し、解釈することを目的とする。それゆえ本研究で核心をなす学術的「問い」とは、日本における近代スポーツの発展の過程で、なぜ、いかにジェンダリングが発生し、展開したか、そしてジェンダリングを、近代スポーツの歴史と現在にいかに位置づけるか、である。
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Outline of Annual Research Achievements |
5年計画の1年目にあたる本年、申請書で目的と研究計画として記載した内容に応じて調査を進めた。早稲田大学図書館、また国際日本文化研究センターアーカイブスでの資料資料調査と講読、バスケットボールに関する調査をまとめ、そしてバレーボールに関する調査を行った。 2023年5月の北米スポーツ史学会で、本プロジェクトの基礎固めを主たる意図として“Modern Sports and Gendering in Japan in the Meiji, Tasho, and Early Showa Eras (1868-1941)”)と題する口頭発表を行い、これからの研究計画を紹介しつつ、国際的視点からのフィードバックをもとめた。同様の意図から、体育一般誌に次の小稿を発表した。「特集 日本流のスポーツ観はどう形成されてきたのか? 日本におけるスポーツのジェンダリング」『体育の科学』73.11 (2023)。この間、2023年度の主要テーマであるバレーボールに関する一次資料、二次資料を上述の図書館、資料館から収集し、整理し、分析した。 本プロジェクトの4、5年目を見据え、競技別の各論を統合する分析視角と枠組の構築のための考察を継続した。具体的には「スポーツと開発」というテーマにその一つの方向性を見出した。その成果を、次の3つの論文および翻訳にまとめ、同学会機関誌で発表した。論文:「スポーツ人類学と『デベロプメント(開発・成長)』」『スポーツ人類學研究』25(2024)、田暁潔・大林太朗と共訳:スーザン・ブロウネル著「文化人類学、スポーツ、国際開発―その相互関係に内在する矛盾―」『スポーツ人類學研究』25(2024)、翻訳:李猷著「現代中国における『開発と平和のためのスポーツ(SDP)』の経験と可能性を検証する―文献資料と民族誌的フィールドワークからのレビュー」『スポーツ人類學研究』25(2024)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、図書館・資料館での調査に従事することができた。1年目のテーマであるバスケットボールおよびバレーボールのジェンダリング過程に関する一次資料、二次資料を入手することができた。講読を通して見えてきた言説や表象は、おおむね予想通りであり、整理・分析をとおして、次のテーマにつながり、かつ全体的枠組において適切な解釈を構築できつつある。 ジェンダリング全体に関する構想をまとめ国際学会で発表し、体育関係一般誌で出版することができた。バレーボールに関する構想を文章化し、次の年度での出版にむけての準備を積み上げることができた。他競技(卓球、テニス、ゴルフ)に関する資料も入手できる見通しがすこしずつ、しかし着実に立ちつつある。 本年度から新しく考え始めたテーマとして、競技別の各論をどのように統合し、研究全体の意義を位置づけるのか、そのための方法論、立論、主張、枠組を模索していたが、日本スポーツ人類学会関係の人脈と、同学会年次学会シンポジウムでの発表を通して形成した人脈を通じて、これまであまり考えてこなかった方向性を見出すことができた。それが「スポーツと開発」である。ジェンダリング研究を「スポーツと開発」研究が交錯する地点に、本プロジェクトのオリジナリティを担保できるのではという期待をもつことができた。この期待を具体的なかたちに展開するための機会として、いくつかのプロジェクトを考案・提案する一方、いくつかのプロジェクトがもちこまれ、そのなかでもっとも有望であるものを取捨選択し、次の機会へと発展させていくプロセスのなかで、本研究も確実に成熟してゆくことが見込まれる。各プロジェクトの内容と展望については、後年度の報告のなかで逐次記述してゆく見通しである。そのための舞台として、アジアスポーツ人類学会と国際スポーツ人類学ネットワーク(NISA)のハブとなる可能性が芽生えており、それにも期待したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024~2026年度の計画は、上記と同じ図書館・アーカイブスで調査と講読を、各年順にゴルフ、テニス、卓球を焦点としておこなう。上記と同じ学会、研究会で中間報告をおこない、会員・関係者と情報交換のために交流する。また同様に調査結果をまとめ、邦語・英語の査読雑誌に投稿する。2027年度の計画は、講読、調査、発表・交流、執筆を継続し、プロジェクトの成果をまとめて発表する。以上はプロジェクト立ち上げ当初に書いたものである。これらに変更はない。 一方、上述のとおり、2023年度の研究交流を通じて「スポーツと開発」という新しい視点を得ることができた。予定通り5つの競技種目におけるジェンダリングの歴史を掘り起こしながら、男女それぞれにおけるスポーツの意義、役割についての考察を進める。これらの調査から得られた情報から、対象時期、とくに戦時体制へと社会・文化が大きく転換する1930年代における公的、組織的枠組のとしてのスポーツ活動・実践と、個々人にとってのスポーツおよびその成長にとっての意味を、相互作用的な観点から突き詰めて考えることによって、本プロジェクトを近代スポーツ史研究、そしてスポーツ人類学研究のより大きな枠組みのなかに位置づけることが可能となるだろう。 以上の構想を展開するための具体的な機会として、アジアスポーツ人類学会と日本スポーツ人類学会とのコラボレーション、国際スポーツ人類学ネットワークとのコラボレーション、これら二つの国際組織のハブとしての役割、他大関係者との共同研究、本学内での新しい共同研究、そして自己発信型の新しい研究プロジェクトの可能性をさらに検討し、一つ一つ実現してゆくことによって、本研究の意義と可能性をさらに高めてゆく。
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