Project/Area Number |
23K10609
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金本 隆司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20512049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 学志 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (40816740)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 半月板 / エコー / 注射 / 運動器エコー / 診断 / 生物学的治療 |
Outline of Research at the Start |
運動器疾患エコーは広く用いられるが、半月板損傷の診断や治療への適応は限定的である。本研究では、半月板組織の性状を反映するエコー画像上の定量的パラメータを探索し、臨床活用を試みる。関節軟骨のエコー所見と組織学的評価の関連を報告した経験から、半月板の表面形状と内部エコー輝度にとくに注目する。また、エコーガイド下に半月板治療を行うための基礎研究として、半月板組織内への薬液・細胞注入による効果を、ヒト半月板器官培養組織を用いた組織学的評価、遺伝子・蛋白質発現評価、バイオメカニクス的評価によって検討する。汎用性の高いエコーによる半月板損傷の定量的診断法の確立と新規低侵襲治療の基礎となる知見を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に共通する目的は、メディカル・アスレチックリハビリテーションを含めた臨床上の汎用性の高いエコーを半月板損傷治療に活用するための知見を得ることである。当該年度に得られた結果は、①エコーによる外側下膝動脈(inferior lateral genicular artery: ILGA)の位置評価が外側半月板損傷の指標となる可能性が示されたこと、②半月板組織内への薬液注入が半月板細胞の遺伝子発現に変化をもたらすことが確認されたこと、である。 ①ILGAはしばしば、関節鏡を含めた膝関節手術時に損傷されるリスクがある血管としての報告があり、外側半月板との距離に関する解析がなされている。しかし、外側半月板の状態(損傷・変性など)との関連を示した報告はない。研究代表者は膝関節鏡後患者の手術側ILGAの位置・血管径が非手術側と異なることを見出し、外側半月板の状態との関連を評価した。無作為に抽出した膝関節MRI画像(N=98)を用いて、MRIcoronal画像(MCLレベル)上のILGAの位置が、外側半月板外縁と相関することを確認した。また、外側半月板手術(切除術10名、温存縫合術9名)を対象として、術式によってILGAの術後の位置が有意に異なることを示した。さらに、ILGAの位置と単純レントゲン(ローゼンバーグ撮影)で評価した関節裂隙とが関連することを確認した。 ②豚半月板とヒト半月板を用いて、溶液の半月板組織内注入が可能であることを確認した。異なるシリンジと注射針を比較検討して、注入条件の適正化を行った。注入した溶液の生物学的作用を検討する目的で、ヒトIL-1βタンパク質の半月板組織内注入をおこなった。注入後24時間後の半月板組織から単離したtRNAを用いたqPCRでは、IL-6/IL-8/MMP-1/MMP-3/MMP-13の発現が有意に高値となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で目的としている、①半月板組織の性状を反映するエコー画像上の定量的パラメータの探索、②半月板組織内への薬液・細胞注入による効果の検討、の2つに関連して、それぞれ予定どおりの進捗が得られている。外側半月板の状態とILGAの位置の関係に関しては、英語論文の投稿準備中であり、今後の研究進捗の基礎となる知見が獲得されたと判断している。また、半月板組織への薬液注入による遺伝子発現変化が確認できたことは本研究課題にとっては極めて重要なマイルストーンと考えている。 また、半月板組織内薬液・細胞注射がもたらす影響の網羅的遺伝子解析のベースとなる情報を得るために、複数の半月板組織や培養細胞を対象したRNAシークエンス解析を行い、次年度以降の方針検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「外側半月板の状態とILGAの位置の関係」に関しては、評価肢位の検討(非荷重による評価)と経時的評価(術前と術後フォロー時)を予定している。非荷重による評価が有用であれば、臨床評価としての利便性が格段に高くなることが期待できる。また、半月板切除量や温存縫合術との関連の検討を計画する。とくに得られた知見の実装を目指して、対象患者の縦断的評価を行い、画像所見を含めた他のパラメータとの関係を検討する。 「半月板組織内への薬液・細胞注入」に関しては、器官培養モデルを中心とした解析を進める。具体的には、炎症性サイトカイン添加培養による炎症モデルへの介入(既存薬剤や各種低分子化合物・抗体などの注入)、ヒト変性半月板への介入(前述の薬剤及びヒト組織由来培養細胞など)をを検討する。注入後の半月板組織を用いて、組織学的評価(Pauliの変性評価)、遺伝子発現・蛋白質発現(半月板関連因子、及びSASP関連因子など)、バイオメカニクス的評価などをおこなう。エコーガイド下注射の手技はすでに確立されており、臨床応用を見据えた知見の獲得を目指す。
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