Project/Area Number |
23K10617
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59020:Sports sciences-related
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 睦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (80565010)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | フィジカルパフォーマンス / 咬合 / 姿勢制御機能 / 運動機能 / スポーツ医・科学 / スポーツ振興 / スポーツ傷害 / マウスガード / 姿勢制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、姿勢制御の解剖学的要因(脊柱弯曲、骨格筋量)と生理学的要因(脊柱可動域、重心動揺度、抗重力筋活動量、スポーツビジョン)の双方に影響を与え得る「咬合」に着目し、均等な咬合接触を付与したマウスガードの装着が姿勢制御機能に及ぼす影響を明確化する。次に、姿勢制御機能の向上を根拠として咬合が運動機能に与える効果を確立したい。特に、咬合と脊柱アライメントやスポーツビジョンとの関連性を明らかにできれば、咬合治療や視力矯正、あるいはビジョントレーニングによって動的バランス能力や予測的姿勢制御機能の向上が期待でき、高齢者の転倒防止やスポーツ選手の傷害予防に多大な貢献ができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、姿勢制御機能における咬合の役割を明確化し、咬合接触状態の改善による姿勢制御機能の向上が身体機能に与える影響を解明することである。 はじめに、咬合接触状態が姿勢制御の生理学的要因に及ぼす影響を明らかにするため、健常成人23名、体操選手11名、重量挙げ選手10名を対象として、噛みしめを伴わない咬合位(咬頭嵌合位)と咬頭嵌合位で前後左右的に均等な咬合接触を付与したマウスガードを装着した条件で重心動揺度の測定を行い、咬合接触と対象者間の差異を比較した。その結果、咬頭嵌合位の重心動揺度は健常成人、重量挙げ選手、体操選手の順に小さく、いずれの対象においてもマウスガードを装着した条件の方が重心動揺は小さかった。さらに、重心変位の減少率を対象者間で比較したところ、体操選手が最も大きかった。これらのことから、マウスガードによる咬合補正は姿勢制御機能の向上に寄与し、ベースラインの高い対象でより顕著な傾向を示すことが示唆された。 次に、咬合接触状態が姿勢制御の解剖学的要因に及ぼす影響を明らかにするため、健常成人46名を対象として、咬合接触のバランスが良好な群と不良な群に分け、随意的な噛みしめが脊柱弯曲に与える影響を調査した。測定は、歯の接触を伴わない顎位(下顎安静位)と中等度の随意的噛みしめの2条件で、直立位と前屈位で行った。その結果、咬合接触のバランスが良好な群に限って腰椎前弯角、仙骨傾斜角、脊柱傾斜角は噛みしめを行った条件の方が有意に低値を示した。したがって、咬合接触のバランスが良好な者において、随意的な噛みしめは体幹屈曲を制限することが示唆された。また、マウスガードを装着して噛みしめを行った条件を追加し、実業団所属のハンドボール選手15名を対象として脊柱可動域を比較した結果、マウスガードの装着に関わらず、噛みしめを行った条件で脊柱可動域が小さくなることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究により、咬合接触状態が姿勢制御の解剖学的要因(脊柱弯曲)と生理学的要因(脊柱可動域、重心動揺度)に及ぼす影響が明確となり、マウスガードの装着による咬合接触状態の改善が体幹の安定化に繋がる可能性が示された。 姿勢制御機能における咬合の役割が解明されれば、咬合治療やマウスガードの装着による咬合接触状態の改善が運動機能の向上に繋がる根拠を明確にできる。これにより、生涯を通じた健康保持・増進とスポーツ振興に貢献できると同時に、新たな視点からパーソナルトレーニングを支援することで国際競技力の向上と次世代アスリートの強化・育成を始めとした日本スポーツ界の発展にも寄与できる。さらに、姿勢制御はスポーツ傷害の頻度と重症度に影響する一因であるため、口腔の健康を通じて国民が安心・安全にスポーツに携わる環境づくりに、歯科医師として多大な貢献ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は咬合接触状態が姿勢制御機能に与える影響を検証するため、対象者の咬合接触状態と咬み合わせの補正を目的としたマウスガードを装着した条件において、静的重心動揺度と脊柱アライメントへの影響を比較した。今後は、咬合接触状態が動的重心動揺度とスポーツビジョンに及ぼす影響を検証し、フィジカルパフォーマンスに与える影響を調査したいと考えている。咬合と姿勢制御機能の改善・向上による運動機能への効果が明確となれば、咬合・姿勢・運動機能の関係性が確立され、スポーツ医・科学の知見を活用した国際競技力の向上と健康寿命の延伸に貢献できる可能性が期待できる。
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