Project/Area Number |
23K10758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
古田 久 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (80432699)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 運動能力観 / 固定的能力観 / 増大的能力観 / 運動不振 |
Outline of Research at the Start |
運動技能の学習―指導場面では,他者と同じように練習を行っても,なかなか技能の向上が認められない学習者が見受けられる。このような学習者は,「運動不振」と呼ばれる。本研究では,運動不振を呈する学習者の効果的な学習支援策を考案するために,「運動能力観」に着目し,下記の3点を検討する。学習者が自身の運動能力をどのように認識するかは学習行動に大きく影響すると考えられる。 1. 運動能力観尺度の尺度構成を行い,外的妥当性(基準関連妥当性)を検討する。 2. 運動能力観尺度の信頼性及び因子的妥当性を検討する。 3. 運動不振学生と非運動不振学生の運動能力観を比較する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は,運動能力観尺度の構成に向けた予備調査を行った。大学生50人(女性26人、男性23人、回答しない1人)を対象にウェブアンケートを実施した。質問は、①デモグラフィック特性に関する質問2つ、②広範な領域の能力・才能の捉え方に関する質問4つ、③運動・スポーツ分野における能力・才能の捉え方に関する質問7つ、④能力観に関する自由記述2つの4カテゴリーからなる計15項目を設けた。回答は4件法で、「極めて先天的・生得的」、「どちらかというと生得的・先天的」の2つを固定的能力観、「どちらかというと後天的」、「極めて後天的」の2つを増大的能力観として分類し、集計した。その結果は次の通りであった(紙幅の関係で自由記述の結果については省略する)。 広範な領域に関する能力観については言語や数学などの認知的な能力・才能については増大的能力観を持つ者が多い一方で(増大的能力観が60~82%)、芸術やスポーツの能力・才能については固定的能力観を持つ者が多かった((固定的能力観が70~74%)。 運動・スポーツ分野における能力・才能については、固定的能力観を持つ者が陸上競技で84%と特に多く、次にダンスの62%が続く結果となった。器械運動、水泳、及び球技では、固定的能力観と増大的能力観がほぼ半々で拮抗する結果となった。一方、武道では62%、体つくり運動では70%が増大的能力観を持っていた。 以上のように、広範な領域に関する能力・才能においても、運動・スポーツ分野の能力・才能においても、固定的と考えるか、増大的と考えるかは領域・分野によってかなり異なることが明らかとなった。このような領域・分野間による違いを踏まえ、本調査を実施する必要性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題を含む運動不振と能力観に関する研究は4つのステップから構成される。ステップ1で,大学生版の運動不振尺度を作成し,運動不振の判定法を開発する。ステップ2及び3で,運動能力観尺度の開発を行う。運動能力観を測る心理尺度はこれまでに作成されていないため,新たに開発する必要がある。具体的には,ステップ2で尺度構成と基準関連妥当性の検討,ステップ3で信頼性と因子的妥当性の検討を行う。そしてステップ4では,これまでに開発した大学生版運動不振尺度と運動能力観尺度の両方を使用して,運動不振学生の運動能力観を検討する。 当初計画では、令和5年度(初年度)にステップ2を進め,令和6年度にステップ3,そして令和7年度にステップ4を進める予定であった。しかし、先に述べたようにステップ2の運動能力観尺度の尺度構成と基準関連妥当性の検討が完了しておらず、現時点で予備調査の段階である。尺度構成には質問項目の収集・執筆が最も重要であるが、これを進めることが出来なかった。 令和5年度の研究が遅れた理由の1つとして、本研究が研究代表者のみによる個人研究であることが考えられる。個人研究の場合、当初想定しなかった研究上の課題も単独で解決していかないといけないため、スピーディーに研究を進めることが困難な場合がある。したがって、今後は共同研究者あるいは研究協力者を募り、複数人で協力して研究を進めて行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,引き続き運動能力観尺度の構成と妥当性(基準関連妥当性)の検討を行う。Dweck & Master(2008)が指摘しているように,固定的か増大的かの能力観は領域によって異なると考えられるが、令和5年度に実施した予備調査の結果は、この考えを裏付けるものであった。さらに、運動・スポーツという狭い1つの領域内でも、陸上競技やダンスは固定的と捉えられている一方で、武道や体つくり運動は増大的と捉えられており、能力観は領域・分野によってかなり異なることが明らかとなった。この予備調査の結果を踏まえて本調査を実施し、運動能力観尺度の構成と妥当性(基準関連妥当性)の検討を行う予定である。 さらに、令和6年度は運動能力観尺度の信頼性と因子的妥当性を検討するための2つの調査を実施する。調査1では再テスト法を用いて運動能力観尺度の時間的信頼性を検討する。心理尺度において信頼性は妥当性の必要条件となる。すなわち,信頼性が高くなければ,妥当性の高い尺度とはなりえない。したがって,尺度開発において信頼性は十分に検討されなければならない。調査2では因子的妥当性を検討する。開発した尺度が,当初に想定した通りの因子構造を有することは心理テストにおいて重要であるため,開発か完了した運動能力観尺度を400~500人程度の対象規模で実施し,検証的因子分析を用いて分析して因子的妥当性を検討する。
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