Project/Area Number |
23K10788
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59030:Physical education, and physical and health education-related
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Research Institution | Tokyo Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
佐藤 晋也 東京女子体育大学, 体育学部, 教授 (90435214)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 器械運動 / 教える力 / 促発身体知 / 動感 / コツ / スポーツ運動学 / 促発指導 / 実技実習 / 運動観察 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、指導力の根幹をなす<動感意味核(動きのコツの核心部分)>を理解しているかどうかを査定する方法論を構築することが目的である。つまり、「どのようなテストで、どのような能力を査定することができるか」といった点を指導実践の中で考案していく作業が中心となる。 つまり、「できない」から「できる」に至る身体知の変容とは一線を画し、「できる者の身体知のありよう」に焦点をあてるものである。外形的に現れる運動の技能を支えている感覚の内実を査定することをねらいとした具体的な実技課題の考案とその発生運動学的な意義を明らかにすることが本研究の概要となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、教員養成課程を持つ体育系学部のカリキュラムに位置づけられている器械運動の実技実習において、「技を教える力」が身についているかどうかということ、つまり、「その技を指導する際に必要な動感意味核を掴んでいるか」をどのように評価していけばよいかという問題を発生運動学的立場から検討し、指導能力の査定方法論を構築することがねらいである。一般的には、実技実習の単位認定の判定材料として「技能テスト」(実技試験)が行われている。その「技能テスト」の評価規準の多くは、「技の運動課題の成否」あるいは「技の出来映え」が主に対象とされているが、それらの評価対象が必ずしも実技指導能力の程度と比例しているとはいいがたい。そのゆえ本研究では、従来から行われているような外形的視点での技の評価だけでなく、技の指導に必要な能力の構造化とその能力の査定方法を見出すことがねらいである。 初年度においては、研究代表者が担当する器械運動の授業を対象として、事例となる資料収集及び得られたビデオ映像の観察を通して基礎となる資料を収集した。具体的には、学校体育で古くから親しまれている「倒立前転」の査定方法を取り上げ、外形的な出来栄え評価とは異なる立場からその査定方法に関する検討・実践を重ねてきた。その結果は、すでに論文として関連学会に投稿し、査読を終了している。 今年度の成果としては、「教えるために必要な力」の礎となる倒立前転の動感能力の構造を明確にすることができた点と、その習得状況を判断するための実技課題の具体例を提示することができたことである。その具体例は「重要なポイントを掴んでいなければできない課題」として考案され、単純な出来栄えとは異なる視点で示唆することができた。そのような知見により、教員養成課程の実技実習で査定すべき能力が明確にすることができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の計画通り、事例収集及び分析の対象となるビデオ撮影等ができたことに加え、実際の授業場面において「動きを教える力」を査定する実践を行うことが出来た。そのため、資料の収集・事例の収集に関しては、概ね順調に進められたと思われる。ただ、現在のところはまだ特定の種目・技に限った考察であったため、対象種目や対象技を増やしていくことが必要ではある。 本研究の研究成果の一部は、R5年8月に開催された日本体育・スポーツ・健康学会において「器械運動の指導に求められる定位感身体知の観察力に関する発生運動学的考察」というタイトルで発表を行った。またその発表内容を踏まえて日本スポーツ教育学会に論文として投稿した(査読済印刷待ち)。そのようなことから、研究成果の公表という点においては、おおむね順調であるといえる。なお、今年度に実施できなかった他の事例収集は次年度も継続して行っていく予定である。次年度に実施予定である指導実践については、既に始まっているR6年度の授業内において既に実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度はこれまで明らかとなった促発能力(動きを教える力)を査定する方法を、他の複数の種目に応用し、指導実践を継続していくこととなる。具体的には、学校体育で広く扱われている鉄棒運動の「前方支持回転」あるいは「後方支持回転」、またとび箱運動における跳躍技に関する例証を集めていくことになる。なお、これらについては既に始まっている今年度の授業において一部実施済であるものも含まれている。 また昨年度に課題として挙げられた「技のコツの意味核を掴むということが、なぜ指導力に結びつくのか」という点を明らかにすることを目標として、最終年度の成果発表に向けた理論構築を行っていく予定である。実践事例を多く集めることだけではなく、そのような理論構築までを目標としていきたい。また、そのようにして得られた知見が、器械運動に限ったものなのか、あるいは他の運動領域にも用いることができるものなのかという点についても考察の幅を広げていく予定である。研究の成果としては、実践事例等を専門学会で発表することに加え、昨年同様に論文としてまとめていく予定である。
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