Project/Area Number |
23K10810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
袴田 秀樹 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70284750)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | トランス脂肪酸 / 動脈硬化 |
Outline of Research at the Start |
油脂の加工の過程で生成するトランス脂肪酸が、動脈硬化を促進する仕組みの解明に取り組んでいる。特に、細胞の低比重リポタンパク質(LDL)代謝と高比重リポタンパク質(HDL)代謝に注目し、それらに対するトランス脂肪酸の効果を、様々な機器分析によって解析する。2019~2021年度の科研費基盤C「トランス脂肪酸が細胞膜の機能を変化させる仕組みの解明(19K08989)」の継続、発展研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
トランス脂肪酸は、その構造中にトランス型の炭素―炭素二重結合を一つ以上持つ脂肪酸で、臨床疫学的な研究では、摂取量が多いと動脈硬化を促進することが示されている。この仕組みに関して研究が行われた結果、トランス脂肪酸には臓器や臓器を構成する細胞毎に多様な作用があり、それらが複合的に動脈硬化の促進に関わることが分かった。本研究では、多様なトランス脂肪酸の作用のうち、いわゆる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の血中濃度を増加させ、一方、善玉コレステロール(HDLコレステロール)の血中濃度を減少させる作用に注目している。トランス脂肪酸がこれらのリポタンパク質代謝に与える影響に関する研究では、主に細胞レベルの実験によって、LDLの細胞への取り込みが減少し、HDLの生成過程(新生)が抑制されることが示されている。しかし、なぜトランス脂肪酸がLDLの細胞取り込みを減少させ、HDLの新生を抑制するかは解明されていない。本研究では、トランス脂肪酸が細胞膜に取り込まれると、シス型の脂肪酸が取り込まれるよりは膜が硬くなり、LDLの細胞への取り込みやHDLの新生が起こりにくくなる、という仮説を設定し、この検証のための実験に取り組んでいる。 動物細胞の細胞膜を構成する脂質の大部分はコレステロールとリン脂質であることから、トランス脂肪酸が細胞膜に取り込まれることがあるとすると、その際には、遊離体としてよりもリン脂質の側鎖として、特に最も含量の多いリン脂質であるスファチジルコリン(PC)の側鎖として取り込まれた場合に、膜の硬さに及ぼす影響が大きいと考えた。そこで、2023年度は、細胞とトランス脂肪酸を保温し、トランシス脂肪酸を側鎖とするPCが合成されるか検討した。その結果、ヒト肝がん由来のHepG2細胞を用いる予備的な検討では、エライジン酸を側鎖とするPCを検出できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の概要で述べたように、ほぼ当初の計画通りのため。
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Strategy for Future Research Activity |
超高速液体クロマトグラフィー-四重極/飛行時間型質量分析(UHPLC-Q/TOF MS)による予備的検討では、定性的な結果ではあるが、エライジン酸を負荷したHepG2細胞の脂質抽出液中に、エライジン酸を側鎖とするリン脂質を検出できた。この結果に基づき、本法を細胞試料中のリン脂質の定量法へと応用することにした。測定対象は、エライジン酸(トランス型)を側鎖に持つPC(PC (18:1(9E)/18:1(9E)))、オレイン酸(シス型)を側鎖に持つPC(PC (18:1(9Z)/18:1(9Z)))、ステアリン酸(飽和脂肪酸)とオレイン酸を側鎖に持つPC(PC (18:0/18:1(9Z)))、ステアリン酸を側鎖とするPC(PC (18:0/18:0))の4種類のPC、内標準物質はヘプタデカン酸を側鎖に持つPC(PC (17:0/17:0))とする。先ずは、HepG2細胞の細胞懸濁液に、上記の4種類のPCと内標準物質を添加し、有機溶媒による脂質抽出を行って添加回収率と併行精度を求め、適切な細胞試料の前処理条件を決定する。次に、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸とHepG2細胞を保温し、細胞懸濁液を調製する。細胞懸濁液の脂質を抽出し、4種類のPCの定量を行う。細胞懸濁液中のPC (18:1(9E)/18:1(9E))を定量できた場合は、細胞膜におけるその局在について検討する。細胞懸濁液をショ糖密度勾配遠心法によって更に分画し、non-raft分画とraft分画を調製し、脂質抽出して4種類のPCの定量を行う。これらと併行し、UHPLC-Q/TOF MS測定によって得られたHepG2細胞の質量スペクトルを利用し、PC (18:1(9E)/18:1(9E))以外に、トランス脂肪酸を含有する脂質の探索を行う。
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