Project/Area Number |
23K10813
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
崎田 正博 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (10582190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 紘士 奈良学園大学, 保健医療学部, 専任講師 (00565327)
村上 慎一郎 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (30454763)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | サルコペニア / 一酸化窒素 / 持久的運動 / 骨格筋 / 酸化ストレス |
Outline of Research at the Start |
加齢性筋萎縮が活性酸素種(ROS)の増加と筋原線維分解タンパク質の活性化の並列作用により生じることが示唆されている。筋原線維分解タンパク質は、NOの結合で不活性化されているが、加齢に伴う筋NO減少とROSの酸化的修飾により切断されやすくなった筋原線維の分解を促進すると推察される。 一方、筋NO増加は糖・脂質代謝やミトコンドリア増殖のシグナル伝達を促進する可能性がある。しかし、筋NO増加方法は未だ不明である。 そこで、NO合成阻害薬継続投与下や高齢慢性身体不活動のマウスに対して持久的運動が筋NO産生を促進し、サルコペニアの改善に有効かを組織学・生化学的に検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の筋力低下・筋萎縮(サルコペニア)は転倒や要介護度の進行の主要危険因子である。近年、サルコペニアは筋一酸化窒素(NO)の減少で活性化する筋原線維分解タンパク質の作用が関与すること、逆に筋NO増加は糖・脂質代謝促進の可能性が示唆されている。つまり、筋NOの増加・減少はサルコペニアの改善・進行といった真逆の反応を誘導する分子の可能性がある。しかし、筋NO増加の治療方法は未だ不明である。高齢まで継続的身体不活動のラットに短期間持久的運動を実施した実験では、糖・脂質代謝促進と筋肥大の生じることが明らかになっている。持久的運動による代謝の上方調節には筋NO増加が背景に内在する可能性があり、かつサルコペニアの治療に対して筋NOが画期的な分子であるかもしれない。そこで、本研究はNO合成阻害薬継続投与下や高齢慢性身体不活動のマウスに対して持久的運動が筋NO産生を促進し、サルコペニアの改善に有効かを組織学・生化学的に検証する。 本研究は、NO合成阻害薬継続投与下や高齢慢性身体不活動のマウスに対して持久的運動が筋NO産生を促進し、サルコペニアの改善に有効かを組織学・生化学的に検証する。本課題は、筋力強化や早期運動習慣化の概念から脱却し、筋NOに着目した新たな抗サルコペニア作用の提起が可能となる。 2023年度の研究計画は、NO合成阻害薬(L-NAME)を4週間継続投与しながらマウスに持久的運動を実施後、ヒラメ筋・足底筋を組織学・生化学的に検証することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、NO合成阻害薬(L-NAME)の4週間継続投与下におけるマウスの持久的運動の代謝促進効果をヒラメ筋・足底筋で検証することである。10週齢ICR雄マウスをコントロール群、L-NAME継続投与群(L-NAME群)およびL-NAME継続投与+持久運動群(L-NAME+Ex群)に無作為割付け。持久運動開始前日にL-NAME群とL-NAME+Ex 群にはL-NAME(100mg/kg, s.c.)を、対象群には生理食塩水を皮下投与する。皮下投与日以降は、L-NAME群とL-NAME+Ex群はL-NAME溶解水(1mg/mL)を、対象群は水道水を4週間自由飲水させ、食餌量はL-NAME群の量に他群を統制する。皮下投与の次の日からL-NAME+Ex群は、ト レッドミルを用いて分速10-15m、40分間(6回/週、4週間)実施し、その後全群の検体を採取した。 各群のヒラメ筋におけるNO合成酵素(nNOS)、糖・脂質代謝活性因子であるCaM、Sirt1、PGC1αの発現量を解析した。nNOSおよびCaMの発現量は、L-NAME+Ex群の発現量が他の2群と比較して有意に増加した。また、Sirt1およびPGC-1αの発現量はL-NAME群が他の2群と比較して有意に減少し、他の2群(コントロール群とL-NAME+Ex群)は同等レベルの発現量であった。この結果から、NO合成阻害下においても持久的運動によってNO産生が上方調節に誘導され、シグナル伝達下流で作用するSirt1やPGC-1αも連鎖的に上方調節誘導され、代謝活性が促進することが考えられた。 2023年度は、上記の実験と並行して40週齢マウスを90週齢まで継続飼育する予定であったが、飼育開始時期が2024年1月にずれ込んだため、やや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、NO合成阻害薬を用いた実験で採取したヒラメ筋・足底筋の組織学的解析を進め、ミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰ及びⅡの活性をNADH-TR染色およびSDH染色から解析する予定である。また、1月から飼育を開始したマウスの高齢化に向けて継続飼育し、90週齢の時点から持久的運動群とコントロール群に無作為に分けて、4週間後にヒラメ筋・足底筋を採取し、nNOS、CaM、Sirt1およびPGC1αの発現量解析および組織学的解析を実施する予定である。
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