Project/Area Number |
23K10845
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
乾 千珠子 (山本千珠子) 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (00419459)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 老化 / 味覚嗜好性 / 脳機能 / 行動変容 / 神経活動 / 味覚反応テスト / 食行動 / 神経 |
Outline of Research at the Start |
超高齢化社会を迎え、高齢者の健康維持は極めて重要な課題である。高齢期では食事量の減少や偏食が生じやすい。食事の「おいしさ」にとって重要な味覚機能の低下がその原因の一つと考えられる。脳は加齢に伴い脳神経細胞の変性を生じ、機能的にも低下するため、この脳の老化が味覚機能を低下させ、食事量の減少や偏食を招いている可能性がある。そこで本研究では、味覚刺激に対する行動反応と若齢マウスと高齢マウスで比較するとともに、脳神経活動の違いを明らかにする。本研究の知見から、高齢期における食行動変容の原因の一端を明らかにし、高齢者の生活の質的向上につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
高齢期では食事量の減少や偏食が生じやすい。食事の「おいしさ」にとって重要な味覚機能が低下してしまうことがその原因の一つと考えられる。味覚のうち甘味はエネルギーの存在を示すのに対し、苦味は毒物・薬物の警告となるため、生得的に甘味は好まれ、苦味は嫌われる。本研究では、これらの異なる嗜好性を表出する味質について若齢と高齢の実験動物で比較するとともに、脳神経活動の違いを可視化し、老化による食行動変容のメカニズムの一端を明らかにする。期間前半では、味覚刺激に対する脳神経活動部位と行動表出を若齢動物と高齢動物で比較し、加齢による脳活動が異なる部位を明らかにすることを目標とした。 通常より約3倍早く老化症状を発症する老化促進モデルマウス(senescence-accelerated mouse prone 8, P8)と正常老化マウス(senescence-accelerated mouse resistant 1, R1)を用いた。それぞれ実験開始時8週齢と40週齢において短時間摂取法と長時間摂取法を用いて甘味と苦味の閾値および摂取後効果による動機づけの変化について調べ、刺激に用いる適性濃度を検索した。短時間摂取法では、P8-40週齢群とR1-40週齢群の32%ショ糖溶液(甘味)に対する摂取率は他群と比較して低下し、長時間摂取法ではP8-40週齢群の2%ショ糖溶液に対する嗜好率は他群と比較して低下した。一方、塩酸キニーネ溶液とデナトニウム溶液(苦味)に対する短時間摂取法の摂取率は0.01、0.1、1 mMにおいて、P8-40週齢群とP8-8週齢群でR1群より増加した。長時間摂取法においても同様の傾向がみられたが、水の摂取を上回ることはなかった。これらの結果から、甘味または苦味に対し、加齢による味覚閾値の上昇をもたらすが、摂取性や嗜好性などを変化させるものではない可能性が伺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
味覚刺激に対する脳神経活動部位と行動表出を若齢動物と高齢動物で比較し、加齢による脳活動が異なる部位を明らかにすることを期間前半の目標とした。現在までに、味覚刺激に用いる甘味および苦味の濃度を検索し、適切な条件で比較を行うための結果を得たが、脳神経活動を同定する実験にはまだ至っていないことから、「やや遅れている」と判断した。本研究では、味覚刺激方法として、実験動物における味覚嗜好性の行動を詳細に解析することが可能な味覚反応性テスト(Grill & Norgren, 1978)を用いる。この手法では、口腔内に呈示するためのカニューレを留置し、甘味溶液、苦味溶液、蒸留水のいずれかを呈示する。これらの実験を行うための装置や予備実験はすでに終えているため、今後迅速に研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの行動学的実験の結果から、週齢の設定を若齢として8週齢と高齢として48週齢とし、口腔内カニューレを介して一定条件にて味覚刺激を与え、行動反応と脳神経活動を調べる。高齢期に特異的な活動を示す脳部位を同定する。動物の行動をビデオ記録し、口腔顎顔面反応を画像解析により分類し、それぞれの刺激に対する摂取性・嫌悪性の表出回数を週齢間で比較する。刺激90分後に灌流固定し、脳を採取する。脳切片を作製し、神経活動マーカーであるFos蛋白質を免疫組織化学的手法により検出し、行動変化と脳神経活動との関連性を明らかにする。
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