発育期低栄養に起因する消化管ホルモンエピゲノム異常と慢性炎症との関連
Project/Area Number |
23K10911
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
今井 千裕 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50778842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 発育期低栄養 / 消化管ホルモン / 炎症性サイトカイン / 慢性炎症 / エピゲノム / DOHaD |
Outline of Research at the Start |
近年、生活習慣病の発症には生後環境のみでなく胎児期や発育期における低栄養が関与するという知見が報告されている。我々はこれまでに、生後の過食による2型糖尿病発症の根底には、食後高血糖による炎症関連遺伝子のエピゲノム変化・維持を介した慢性炎症の促進があることや、消化管ホルモンの分泌異常が関与していることなどを明らかにしてきた。しかしながら、消化管ホルモンの攪乱および慢性炎症が、発育期における低栄養による2型糖尿病発症の起因となるかは明らかではない。そこで本研究では、発育期低栄養が消化管ホルモンのエピゲノム異常を介して慢性炎症・2型糖尿病の発症を促進するかについて検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
将来の肥満や2型糖尿病などの生活習慣病の発症には、生後の環境のみでなく胎児期や発育期における低栄養が関与するという知見が報告されるようになってきた。しかしながら、発育期の低栄養による2型糖尿病発症の分子機構は未だに明らかとなっていない。研究代表者らはこれまでに、生後の過食による2型糖尿病発症の根底には、食後高血糖によるエピゲノムの変化・維持を介した慢性炎症の促進があること、また消化管ホルモンの変化があることを明らかにした。そこで本研究では、発育期における低栄養環境が、消化管ホルモンのエピゲノム異常を介して慢性炎症・2型糖尿病を促進するかについて明らかにすることを目的として、動物モデル等による検証を行うこととした。 今年度は、発育期低栄養によって消化管ホルモンの分泌攪乱と慢性炎症が促進されるかを明らかにするため、動物実験を実施した。妊娠マウスを3群に分け、妊娠中から出産後の仔マウスの離乳までの間、それぞれの群に対し、通常栄養食、低糖質食群、低たんぱく質食を自由摂食にて与え、離乳直後、離乳2週間後、離乳4週間後の仔マウスを解剖し、消化管組織(胃、十二指腸、空腸上部および下部、回腸上部および下部、盲腸、大腸)、肝臓組織、脂肪組織、末梢血白血球を採取した。 飼育期間中の妊娠マウスの体重および摂食量に有意な差はなかったが、低タンパク質食を摂取した群は、他の2群と比較すると体重が低く推移し、低値傾向は出産後も継続した。仔マウスにおいては、離乳直後および離乳2週間後の体重および各組織重量が、母マウスが低タンパク質食を摂食していた群において有意に低かった。一方で、低糖質食を与えた母マウスに育てられた仔マウスでは、体重および各組織重量が高い傾向にあったが、離乳4週間後には3群間での差はほぼなくなった。随時血糖値については、離乳2週間後および離乳4週間後ともに、3群間に差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、消化管ホルモンと慢性炎症は発育期低栄養による2型糖尿病発症にも関与するのか、という問いと、消化管ホルモン異常と慢性炎症はエピゲノムの撹乱を介して長期に維持され、2型糖尿病発症をもたらすか、ということを明らかにすることを目的としている。そのためにはまず、発育期低栄養により消化管ホルモン分泌が撹乱されるかどうかを明らかにする必要がある。本年度に行った動物実験では、当初の予定通り、消化管の複数の区画(胃、十二指腸、空腸上部下部、回腸上部下部、盲腸、大腸)を採取でき、遺伝子発現解析等の解析準備を整えることができた。さらに組織切片標本の作製も始められていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は採取した消化管組織を用いて、消化管ホルモンや炎症関連遺伝子の発現量、組織内タンパク質量、絨毛長などを調べることを予定している。さらに肝臓組織、脂肪組織、末梢血白血球における炎症性サイトカインや代謝関連遺伝子の発現量およびタンパク質量を分析することによって、胎児期から離乳期までの低栄養が仔に与える影響について検討していきたい。また、発育期低栄養に加えて成長後に過栄養環境に曝露した場合に、消化管ホルモンの分泌攪乱や炎症性サイトカインの分泌増大を介して2型糖尿病の発症が加速するかを明らかにするための動物実験も開始していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)