Project/Area Number |
23K10927
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 英樹 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (20550156)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 老化 / 細胞外マトリクス / シグナル伝達 |
Outline of Research at the Start |
細胞外マトリクス(ECM)は身体を構築するために必要だが、老化やストレスによって衰える。老化したヒト細胞を若い細胞由来のECM上に移植するとECM合成能が回復し細胞が若返ることが知られているがそのカギとなるECM関連遺伝子は明らかではない。申請者はこれまでにコラーゲンペプチド(CTP)の投与が線虫C. elegansのECM産生を誘導し老化を抑制することを見出した。そこで本研究計画は線虫とヒト細胞を用いて老化を抑制するカギとなるECM関連遺伝子を明らかにし、ECMの若さを維持するという観点から老化を抑えるための知見を得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は線虫および哺乳動物培養細胞を用いた種横断的な解析によって、老化を抑制する鍵となる ECM(細胞外マトリクス)構成タンパク質を明らかにすることである。ECMは、組織の構築や細胞の足場だけでなく多くの生物学的機能を担っている。ECMは構成分子の合成/分解を介したリモデリングによって動的に維持されるが、加齢に伴うリモデリング能の低下によって老化の促進や加齢依存性疾患につながる。そこで、ECM遺伝子が保存された線虫とヒト培養細胞を用い、老化進行やCTPによって発現が変化するマトリソーム遺伝子の網羅的解析と、生化学的および遺伝学的な解析によって課題を解決する。2023年度は線虫を用いてマトリソーム遺伝子の網羅的解析、およびCTPによる細胞老化進行抑制と、関与するシグナル伝達系の検証を行った。 線虫を用いた研究では、公開されているGene Expression Omnibus (GEO)から、野生型線虫の加齢に伴うRNA-seqおよびマイクロアレイのデータを取得し、加齢に伴い遺伝子発現が変動する遺伝子を検索した。これをマトリソームの公開データと比較し、加齢に伴い発現が変化する遺伝子を抽出した。これらにはコラーゲン、マトリクスメタロプロテアーゼ、インテグリン、およびカテプシン等の遺伝子グループがみられた。ヒト正常線維芽細胞(NHDF)を用いた研究では、人工的に老化誘導したNHDFにコラーゲントリペプチド(CTP)を投与すると老化状態の改善がみられた。このときp21およびLamin等、老化マーカーの発現が抑制された。CTPはGly-Pro-X(任意のアミノ酸)からなるトリペプチドの混合物だが有効なトリペプチドについて知見がなかった。そこで、どのペプチドが最も老化抑制に貢献するか、各種トリペプチドを用いて老化抑制アッセイを行った結果、特定のトリペプチドで老化抑制効果がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線虫のRNA-seqやマイクロアレイの公開データ、および線虫マトリソーム遺伝子のデータベースを利用して老化に伴い発現が変化する細胞外マトリクス(ECM)遺伝子について候補遺伝子を絞り込むことができた。しかしながら当初の研究計画で予定していた、野生型線虫、およびECM発現制御に関与する転写因子SKN-1の変異体を用いたコラーゲントリペプチド(CTP)の投与によって発現が誘導する遺伝子を網羅的に解析するためのRNA-seqについて、最適な線虫飼育条件およびCTP投与条件検討を詳細に行ったことでRNA-seqの実施開始が研究計画において予定していた時期よりも遅れることとなった。このことで研究の進捗が「やや遅れている」となった。ヒト正常線維芽細胞を用いたCTPによる細胞老化進行抑制と関与するシグナル伝達系の検証については、人工的に老化誘導した線維芽細胞の老化マーカー遺伝子の発現をCTPが抑制したこと、CTP中の特定のトリペプチドが老化抑制に関与することや、老化誘導した細胞で見られるI型コラーゲンの発現回復を見出したことから、ヒト細胞を用いた解析に関しては「おおむね順調に進展している」状況といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画から予定している、野生型線虫、およびECM発現制御に関与する転写因子SKN-1の変異体を用いたコラーゲントリペプチド(CTP)の投与によって発現が誘導する遺伝子を網羅的に解析するためのRNA-seqについて最優先で実施する。また、線虫を用いた研究については公開されているデータベースにおいて様々な条件での遺伝子発現データも公開されているため、細胞外マトリクスの発現に関与するシグナル伝達経路に関与する遺伝子変異体を用いたRNA-seqもしくはマイクロアレイデータの解析も進める。これをマトリソームデータと比較し、データの確度を高める予定である。また、当初から予定している老化抑制の鍵となるマトリソーム遺伝子の同定のために機能喪失変異型の取得、もしくはRNAiベクターの構築を行う。ヒト正常線維芽細胞を用いた研究ではこれまでに人工的な老化誘導の解析を行ってきた。細胞分裂の進行による自然老化とは老化メカニズムの点で部分的に異なるという報告がある。人工的な老化誘導については様々な誘導手法があるため、複数の老化誘導手法での検証を行うほか、細胞分裂を重ねた自然老化の線維芽細胞を用いた検証を行うため、2023年度から継代を続けた線維芽細胞を準備している。2024年度はこのPDLを進行させた老化細胞を用いたCTPによる老化抑制について検証する。また、線虫を用いた網羅的解析によるCTPによって発現が誘導する、老化を抑制するマトリソーム遺伝子に関して、そのヒトホモログ遺伝子の発現がCTPによって発現が変動するか、リアルタイムPCRを用いて評価する。また、老化細胞と若い細胞の分泌するECMの状態についてCTPの作用を検証するための条件検討を開始する。
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