Project/Area Number |
23K10956
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
葛西 宏威 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20324189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 健太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (70516921)
望月 和樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80423838)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 肝臓病 / ウイルス / 食 / 脂質 / 脂質クオリティ / 肝疾患 / 脂質構成 / ウイルス感染 / 食習慣 |
Outline of Research at the Start |
本研究は肝炎ウイルスと食を起因とした脂質の細胞内組成(脂質クオリティ)の撹乱機構を明らかにすることによって、肝炎予防のための知的基盤を構築しようとするものである。肝炎は種々の機序で引き起こされるが、ヒトにおいて病気の起点を特定するのは難しく、初期の変化を追跡することは困難である。本研究では、ウイルス感染が病気の0時点であることに着目し、肝炎ウイルス感染初期の脂質の組成の変化と、代謝酵素分子群の挙動を解析し、ウイルス感染、肝炎の発症への関与を明らかにする。さらに食によって引き起こされる肝疾患モデルと比較検討することによって、肝疾患の予防・治療法の普遍的な基礎知見を獲得しようとするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、さまざまな要因によって引き起こされる肝疾患の発症、病態の進展をリン脂質の構成変化(脂質クオリティ)として捉え、それぞれの脂質分子種の役割と脂質構成変化の機序を明らかにし、肝疾患コントロールの新たな側面を明らかにしようとする試みである。本年度においては、C型肝炎ウイルス(HCV)感染系において事前の検討において明らかになっていた、リン脂質変化について再現性の確認とより網羅的な解析行なった。主にフォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルエタノールアミン(PE)およびその代謝産物でありリゾリン脂質(LPCとLPE)分子種において有意な変化が見られた。これらの、脂質変化のHCV感染における意義を検討する目的で、質量分析で得られた細胞成分のピーク全体を機械学習し、非感染細胞・感染細胞・薬剤によってウイルスを除去した細胞の3群について比較したところ、非感染細胞及びウイルス除去細胞とHCV感染細胞が判別可能であった。判別への寄与率(どの成分がウイルス感染を特徴付けているか)を各ピークについて検討したところ、リン脂質のピークに相当する部分が最も高く、ウイルス感染はリン脂質の構成変化として捉えることが可能であることがわかった。構成変化を引き起こす機構として、T合計12種の分子について、発現プロファイルと、siRNAによるノックダウンの影響について検討した。最終的に2種のcPLA2ついて有意な発現と影響がえられた。ノックダウンのHCV感染への影響を検討したところ、感染後初期の時点でHCVの増殖に何らかの役割を担っている可能性が示唆された。また、食のモデル系においては、肝炎・肝硬変発症モデルにおいて、発症・未発症肝臓組織の脂質プロファイルの取得行い、脂肪沈着や繊維化といった病態との相関を検討し、数分子種について相関関係を見出している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウイルス感染系については概ね問題なく進行していると言える。現在、病態へのインパクトといった観点から、細胞内のリン脂質代謝酵素であるcPLA2のみならず、分泌型のsPLA2と分泌されるリン脂質のプロファイルといった観点からの解析も企図している。また、本年度で、HCV感染に役割を果たす可能性が示された、PLA2に関しては、ノックアウト細胞の樹立を試みているところである。一方で、食餌性発症モデルを用いた検討におては、病態が最盛期つまり病児におけるリン脂質プロファイルの取得は実施できたが、本来取得したかった発症最初期でのプロファイル等の取得ができていないことが課題である。理由として、一時的に微生物感染が認められ、除去作業中研究中断を余儀なくされた期間があること、また、管理の都合上、委託管理している民間企業でのみ、実験の実施が可能な時期があり、試料採取のタイミング等に制限があったことが挙げられる、今後改善されることが期待された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ウイルス感染系については、リン脂質構成の変化を担う候補の代謝部酵素であるPLA2のノックアウト細胞を樹立して、HCV感染への影響を検討する。同時に、食餌性モデルの肝臓組織での発現プロファイルを検討する。病態へのインパクトいう観点から、解析の対象を細胞内のリン脂質および代謝酵素のみならず、ウイルス感染細胞が分泌する脂質成分、具体的には培養液中のエクソソームのような分泌性小胞を回収して、構成するリン脂質とPLA2についてプロファイルを取得する。このことで、モデル動物及びヒト血清といったサンプルで比較検討が可能な因子を明らかにできることが期待され、肝疾患に共通する脂質クオリティーの取得に向けて前進できるかなと考えている。また、同時に、ウイルスの持続感染期および薬剤によってウイルスを除去したサンプルについても脂質とPLA2発現のプロファイルの取得を行い食餌性の病態との比較検討を引き続き行なっていきたい。
|