Project/Area Number |
23K10977
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60010:Theory of informatics-related
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山村 明弘 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (30358866)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | Parikh行列 / M-同値類 / オイラー数 / エントリンガー数 / Boustrophedon 変換 / 交代順列 / 振動順列 / 牛耕式 / 語の組合せ / 二分木 |
Outline of Research at the Start |
Parikh行列により特徴付けられる順列のM-同値類の濃度を計算する手法を得るために,最大なM-同値類の濃度はオイラー数に等しいことを証明し,そのM-同値類を構成する順列を解明し,それらの順列のM-同値類の濃度を表現する漸化式の構成を行う.M-同値類の濃度がオイラー数に等しいことを詳しく解析することにより順列のグラフ表現を利用して語の組合せ論においてエントリンガー族を発見し,このエントリンガー族を応用することにより振り子順列と一対一対応を持つ増加二分木の属の構成と交代順列とPoupardの増加二分木との一対一対応の証明を簡単化する.さらに順列の一般化された下降統計を抽出する手法の開発を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
Boustrophedon 変換(牛耕式)と呼ばれる手法を活用することで、同じParikh 行列写像の像を持つ順列の総数を表現する漸化式を構成し、語の組合せ論における研究対象であるオイラー数やエントリンガー数との関連性を明確にすることを本研究の目的としている。そこで以下のように二つの目標を設定している。 (1)順列の M-同値類の濃度を計算する手法の開発 (2)形式言語理論におけるエントリンガー族の発見とその応用 2023年度には、主に目標(1)について取り組んだ。M-同値類の最大の濃度はオイラー数に等しいことを書き換え系の手法を活用して証明し、最大の濃度をもつM-同値類を構成する順列を振動順列として特徴付けした。さらにM-同値類の濃度をBoustrophedon 変換に類似した漸化式によって表現した。 通常、オイラー数とエントリンガー数は順列に係る概念として定義され、上昇と下降が交互に現れる交代順列に関連している。オイラー数とエントリンガー数は数学の多様な分野に遍在して観察され、数論、解析学、幾何学において再発見されている。当該研究における研究対象はParikh行列やM-同値類であり形式言語理論における概念であるが、オイラー数とエントリンガー数が形式言語理論においても関連していることがわかり、これらの遍在性を再確認した。語の組み合わせ論ではその濃度がエントリンガー数に一致する数学対象(エントリンガー族)の発見が研究の一つの流れとなっている。2023年度の成果は新たなエントリンガー族の発見として位置付けられる。当初の計画にはなかったが2023年度の活動で得られたこととして、M-同値類の分割手法を変更することによって、エントリンガー数の数列に大局的に類似するが局所的には順序が反転されている数列も類似の漸化式によって表現されることを示し、エンとリンガー数の別の側面を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下のように二つの目標を設定している。そして各々の目標の下に小目標を計5つ設定している。 (1)順列の M-同値類の濃度を計算する手法の開発(1. 最大なM-同値類の濃度はオイラー数に等しいことの証明とそれを構成する順列の特徴づけ、2. 順列のM-同値類の濃度を表現する漸化式の構成) (2)形式言語理論におけるエントリンガー族の発見とその応用(3. 振動順列と一対一対応を持つ増加二分木の属の構成、4. 交代順列とPoupard の増加二分木との一対一対応の簡明化、5. 順列の一般化された下降統計を抽出するParikh 行列写像に類似の手法の開発)。 2023年度には、目標(1)における小目標の二つに取り組んだ。すでに、最大なM-同値類の濃度はオイラー数に等しいことを語の書き換え系の手法を用いて証明し、M-同値類の濃度を計算する漸化式を構成した。振動順列(Oscillating permutation)という概念を導入し、この数列を適切に分割することによりエントリンガー族を構成できることを厳密に証明した。振動順列がエントリンガー族であることを証明したことにより目標(2)「エントリンガー族の発見」についても部分的に成功している。 本研究計画にそって得られた研究結果をまとめて論文を一つ作成しており、投稿直前の状況にある。また、得られた研究結果については、国際研究集会、講演会、国内研究集会において研究発表を行なっている。さらに、当初の研究計画には設定していなかったParikh行列に関連した組合せ構造を情報セキュリティや組合せデザインに応用するアイデアを発表している。 以上のことから本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究目標(2)に取り組む。振動順列と一対一対応を持つツリーの属の探索を開始し、必要に応じてコンピュータシミュレーションを実施する。交代順列が完全増加二分木に一対一に対応することが知られているようにように、振動順列に一対一に対応するツリーの族を特徴づけることによってグラフ理論における新たなエントリンガー族を構成し、目標(2)の達成を目指している。 交代順列と完全増加二分木の間の明示的な一対一対応を構成することも重要な課題となっており、エントリンガー数と大局的に似ているが、局所的は異なっている数列を振動順列を適切に分割することによって定義し、ツリーの族との一対一対応を明示的に構成することを目指す。交代順列とPoupard の増加二分木との一対一対応は複雑であり理解が難しい。エントリンガー数に似たこの数列を活用することで交代順列とPoupard の増加二分木との一対一対応をより明確にすることも目的とする。 振動順列と交代順列の間の対応関係を考察し、Parikh行列が順列における連続する2つの数字の相対的な位置関連を求める効率的な計算方法を与える事を模倣して、順列における連続する二つの数の上下関係を表現する行列を効果的に計算する方法を構成することが新たな課題として考えられる。エントリンガー族の発見と関連して、Parikh行列に類似の計算手法の構成を新たな課題の一つとして考えたい。
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