ロボット運用環境のシナリオベースシミュレーションの体系化に関する研究
Project/Area Number |
23K11060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 60050:Software-related
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中西 恒夫 福岡大学, 工学部, 教授 (70311785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 拓矢 大阪公立大学, 工学部機械工学科, 助教 (40910633)
久住 憲嗣 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (10380685)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | プロダクトライン / シミュレーション / ロボット / シナリオ / 再利用 |
Outline of Research at the Start |
本研究計画では,構成,サービス,運用環境が多種多様なフィールドロボットについて,それらロボットの共通性と相違性を踏まえ,ロボットとその運用環境のさまざまなシナリオを想定しシミュレーションを尽くす,いわゆるシナリオベースシミュレーションのコストと工期の圧縮を目的とする。その目的のために本研究では,ロボットとその運用環境の共通性と相違性を体系的に定義し,シミュレーションに値するシナリオを生成するためのプロセスとシステムを構築し,ロボットや運用環境が異なってもそれら資産を最大限再利用できる方法論,シミュレーションのモデルが成長進化してもなるたけ過去のシミュレーション結果を再利用する方法論を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ロボット運用環境のシナリオベースシミュレーションのために,現実にあり得る多様なロボット運用環境を偏りなく生成すべく,シミュレーションのための仮想環境を生成するフレームワークを提案した。このフレームワークは,ロボットの運用環境を「System of System Product Lines」と見做してプロダクトライン開発方法論のパラダイムを導入するものである。本研究では,農業用ロボットをケーススタディとして扱っているが,その運用環境のシミュレーションでは,収穫物をはじめ,不揃い,不整形,やわらかいモノを再現する必要がある。その目的のため,同フレームワークでは,フィーチャ選択に確率を導入する集合的フィーチャ選択の概念を定義した。 本研究では,確立したシミュレーション手法の妥当性を評価すべく,実機を用いた実証も進めている。トラクタ型農業ロボットによるケーススタディでは,トラクタに装着するフロントローダに操作支援機能を設けた「スマートフロントローダ」のシミュレータの開発を行い,それを用いて実機開発前にいくつかの支援機能を評価した。また,係留ドローンを活用した授粉ロボットによるケーススタディでは,ドローン搭載のカメラによる花検出処理の実装案の比較を行った。今後,これらのケーススタディの成果や得られた知見を上述のフレームワークを導入したシミュレーションに採り入れる。 また,本研究では,コンテキスト指向プログラミング(COP)の導入し,運用環境の動的側面のちがいを「コンテキスト」として抽象化し,運用環境生成系そのものの保守性を維持しつつ,多様なシミュレーションシナリオの生成が可能にすることを図る。その実証のために,COPを用いたシミュレーションシステムの保守性とパフォーマンスの評価を行った。COPの導入により,シミュレーションにおける保守性と実行時間の両立が図れることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
運用環境の可変性モデリングに関して,その基盤となるロボットの仮想運用環境を生成するフレームワークについては2023年度中に定義できているが,現実にあり得る多様なロボットの運用環境を生成するのに耐えるものなのか評価するまでには至っていない。 評価のためには,同フレームワークに則したシミュレータが必要である。現在,フロントローダつきトラクタ型農業ロボットのシミュレータが実装されているが,上述のフレームワークに則したものとはなっていない。むしろ,当該シミュレータは,他のロボットも扱えるように,また上述のフレームワーク下で稼働させられるように成長させる「元手」という位置づけである。 当該シミュレータでは,ロボットそのものや人工建造物のような定型,均質で「硬い」運用環境は再現できている。しかしながら,不整形,不揃いで「軟らかい」運用環境を生成するには,実物の観察,計測,記録が必要なため工数を要し,当初の計画よりも遅れている。収穫ロボット等のシミュレーションに用いる,収穫物等の植物体の3Dモデル生成系については試作できており,実物のデータの基づいて,シミュレーションの目的にかなう品質の運用環境を生成できるように改善することが課題となっている。 本研究のテーマは,シナリオベースシミュレーションの資産の再利用性を向上させコストと工期の短縮を図る方法論を確立することであり,シミュレータそのものを作ることではない。研究を計画通り進めるべく,またいわゆる「車輪の再発明」を避けるべく,シミュレータそのものについては「箱庭」等の既存のフレームワークを採用することを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
フロントローダつきのトラクタ型農業ロボット,収穫/授粉ロボット,ドローンをケーススタディとして,2023年度に定義したシミュレーションのための仮想運用環境生成のフレームワーク(以下,仮想運用環境生成フレームワーク)に則して,それぞれのロボットの運用環境の可変性モデリングと生成を試みる。 フィールドロボットの場合,収穫物や地面など不揃い,不整形,やわらかいモノを再現する必要がある。収穫物等の植物体の生成に関しては,Lindenmayer System(L-System)と上述のフレームワークで導入した集合的フィーチャ選択の概念を統合し,実環境に存在し得る収穫物の3Dモデル生成を試みる。L-Systemはコンピュータグラフィックスの分野で樹木等を生成するのに長く使われてきた技術であるうえに,実際にL-Systemを用いてトマトの苗のモデルを生成している先行事例もあり,本研究の目的にかなう要素技術である。樹形のように再帰性を有する自然物の生成には L-System が向くが,例えば土面などそうでない自然物については L-System は有効ではないものと思われる。土面については,実測のデータを用いると同時に,上述の仮想運用環境生成フレームワークを制御するアプローチも検討する。 2024年度はシミュレーションシナリオの生成手法に注力する計画である。シミュレーションシナリオには,サービスドメインやサービスへの依存性が存在するため,まずは本研究でケーススタディに用いているロボットを題材に,シミュレーションで検証したい事柄,それに基づくシミュレーションのシナリオ,運用環境の再現にリアリティを求められる項目と程度の整理を図る。そのうえでシミュレーションシナリオの諸工程を洗い出し,シミュレーションシナリオの一般形,すなわちアーキテクチャを定め,シナリオ生成系を試作する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)