Project/Area Number |
23K11188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61020:Human interface and interaction-related
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
藤掛 和広 中京大学, 心理学部, 講師 (90508467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 宗樹 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40398855)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 視線データ / 映像酔い / データサイエンス / ドローン / 遠隔操作 / 若年層 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,遠隔操作作業に伴って発生する映像酔いの評価指標を開発する.遠隔操作機器利用時の映像酔いの兆候を速やかに検出し,休憩を促すことによって負担の軽減化が実現すると考えられる.本研究の独自性は「遠隔操作時の視線データによる映像酔い評価」であり,創造性は「データサイエンスの知見に基づいて,リアルタイムの視線データの定量化によって評価指標を開発する」ことである.本研究の成果として,遠隔操作作業に伴う映像酔いによる負担の検出および軽減化が可能となり,立体映像視聴時の負担軽減や眼球回旋運動(眼振)に関係する疾患治療への寄与が期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
近年,様々な場面で遠隔操作による作業が実施されている.遠隔操作とは,作業を実施する機器・装置から離れた場所や異なる環境で操作するものである.具体的には,産業場面の工業用ロボット操作や,医療場面の内視鏡手術や遠隔手術,ドローン操縦などが挙げられる.この様な遠隔操作による作業に関する課題として,作業に伴って発生する負担の評価方法が確立していない点が挙げられる. 遠隔操作の作業負担の一因として,映像酔いの影響が指摘される.映像酔いは,乗り物酔い等と同じ動揺病の一種と見なされ,視覚情報に起因する動揺病は視覚性動揺病と分類される.映像酔いの症状として,酔いによるふらつきが発生すると,眼球は視界を傾けない様にする為に,ふらつきとは逆方向に眼球が回旋すること(眼球回旋運動)が知られている.このことから,映像酔いは眼球運動から評価が可能であると予想される.しかしながら,眼球運動による映像酔いの評価指標は,十分な検討がなされていない. 本研究の目的は,視線データによる遠隔操作に伴う作業負担の評価手法の開発である.遠隔操作の作業では,カメラ映像の表示には液晶ディスプレイやHMDが利用されている.そこで本研究では,液晶ディスプレイ利用時及びHMD利用時の視線データを対象として,映像酔いの評価手法を開発する. 2023年度は,日常生活に支障のない視覚機能及び平衡機能を有する大学生・大学院生40名(男性15名,女性25名,平均年齢21.4歳)を実験協力者として実験を実施した.実験ではドローンが飛行する映像を液晶ディスプレイにて提示し,ドローン映像注視時の視線データを対象に映像酔い評価指標の検討を行った.その結果,映像注視前後の安静時では視線データに基づいた定量化指標の有効性が示されたものの,映像注視時の視線データの評価指標の有効性は認められなかった.詳細は【現在までの進捗状況】に記す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,液晶ディスプレイ画面によるドローン操縦場面を想定して実験を実施した.実験協力者は,日常生活に支障のない視覚機能及び平衡機能を有する大学生・大学院生40名(男性15名,女性25名,平均年齢21.4歳)とした.実験では,橋梁点検等にてドローンが撮影した映像を使用した.映像は,液晶ディスプレイ(43インチ)3画面に表示させた.視線計測機器はTobii Pro Fusionを利用し,解析ソフトはTobii Pro Labを使用した. 実験では,実験協力者の映像注視前後の安静時の視線データを計測すると共に,映像注視時の視線データも計測した.また,実験協力者には映像酔いの主観評価であるSSQ(Simulator Sickness Questionnaires)の回答を実験前後で求め,その結果から主観的な映像酔いの自覚がある群とない群に分けて分析を行った. 液晶ディスプレイにてドローン映像を注視した実験の結果,視線データによる評価指標の有効性が示された.映像酔いの自覚あり群では,映像注視前後の安静時の視線データを比較したところ,評価指標「総軌跡長」「外周面積」「疎密度」にて有意な伸長・拡散が認められた.映像酔いの自覚なし群では,映像注視前後の安静時の視線データには差は認められなかった.さらに,ドローン映像注視時の視線データをDouble-Wayland法という確率過程/カオス過程の判定に優れたデータサイエンスの手法で解析した結果では,有効な結果は認められなかった. 2023年度は,液晶ディスプレイにてドローン映像を注視した実験を計画通り実施した.その結果,ドローン映像を液晶ディスプレイにて注視した場合に発生する映像酔いの評価に,視線データの利用は有効であることが示された.そして,2024年度はHMDによる実験を計画通り実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,液晶ディスプレイ画面によるドローン操縦場面を想定して実験を実施した.2024年度は,HMDによるドローン操縦場面を想定した実験を実施する予定である.そのため,今後の研究推進のために,2024年度には視線データの取得が可能なHMDを購入する. 実験協力者は,日常生活に支障のない視覚機能及び平衡機能を有する18歳から30歳未満の若年者とする.また,本研究の成果は国内外の学会等で公表されることから,匿名の統計結果および回答データの公表に同意できる場合のみ実験協力者として実験に参加するものとした.本研究の実験では,全ての実験協力者が同一の内容を体験し,内観報告及びSSQの結果に基づいて「映像酔いあり群/なし群」に分類して視線データの解析結果を比較検討する.比較検討では,対応のある母集団の差の検定(ウィルコクソンの符号付き順位検定)による統計解析を用いる予定である.サンプルサイズを検定力分析に基づいて設定した場合,対応のない2標本の差の検定(ウィルコクソンの順位和検定)では12名が必要である(G*Power:有意確率α=0.05,検出力β=0.80,効果量d=0.80).これまでの申請者の経験では,ランダムに集められた実験協力者の3割程度は映像酔いの自覚症状が報告されている.このことから,実験協力者を40名程度とすることで,映像酔いあり群が12名程度となるようにする. 実験で得られたデータの解析については,2023年度と同様に,安静時の視線データを対象とした「総軌跡長」「外周面積」「単位面積軌跡長」「疎密度」及び,映像刺激注視時の視線データを対象としてDouble-Wayland法による解析を実施する.さらに,新たな評価指標の開発についても検討する予定である.
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