擬人的生理表現デバイスによる生理的引き込みと自己生体誘導手法の検討
Project/Area Number |
23K11202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61020:Human interface and interaction-related
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
吉田 直人 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 助教 (40836714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 朋子 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90395161)
田中 久弥 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (80296384)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 擬人的生理現象表現 / 生理現象表現機構 / 生理的引き込み / 呼吸表現 / 心拍表現 / ぬいぐるみロボット / 生体信号 / 擬似生理現象表現 / ソフトロボット / バイオフィードバック / 引き込み現象 / 生体リズム誘導 |
Outline of Research at the Start |
人間にとって生理現象は不随意かつ無意識的なものであるが,擬似的に生成した生理現象刺激を知覚するとそれに合わせた気分を誘発し,自身の生理現象が他者の生体リズムと同調する生理的引き込みが起こる可能性が示唆されている.本研究課題は,呼吸・心拍・体温・発汗等の疑似生理現象表現機構を搭載したソフトロボットやウェアラブルデバイスを開発し,人工的な生理現象刺激に基づく人間の行動・認知の変容と,バイオフィードバック手法としての生理現象の直接的提示の有効性,疑似生理現象提示による非意識的生体リズム誘導効果について検証し,人工的な疑似生理現象刺激による能動的・受動的な生体リズム変容手法の構築を目指すものである.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は各分担において,擬人的生理表現デバイスの構築,生理的な引き込みについて,最新の研究動向の調査とシステムの実装を行った. 擬人的生理表現デバイスにおける心臓の鼓動の再現機構について従来型の偏芯モーターによる鼓動再現では,振動の不規則性や,細かな振動制御が課題であった.そのため,高応答性で帯域が広く,入力波形に基づく振動制御が可能な振動フィードバックデバイスを組み込むこととした. 呼吸表現については,これまでの小型エアーポンプ,電磁弁,擬似肺による呼吸表現機構は小型のぬいぐるみ用であり,日常生活での使用を想定したクッション等に組み込むことを想定し大型の呼吸表現機構を実装した.13Lの静音コンプレッサと電磁比例弁を用いることで大型の空気袋への吸吐気流量の制御を可能にした.この機構を,幅約60cmの大型のぬいぐるみとクッションに組み込み,安静時のこれらのデバイスの使用による,客観指標(心拍・呼吸・脳波計測),主観指標(質問紙によるストレス・気分調査)への影響調査実験を開始した. 小型のぬいぐるみロボットでの疑似生理現象によるユーザへの意図伝達についても検討し,身体動作と生理的状態のギャップが欲求に関わる本音の表出を可能にすることを明らかにし,生理現象の特性と意義を確認できた. また,生理的引き込み作用を損なわず生理計測ができるデバイスの開発を行った.耳介周辺から生体信号を計測する電極を作成し頭皮脳波による検証を行い,良好な信号相関を得た.計測された信号を擬人的生理表現デバイスにフィードバックすることで自己生体誘導を強化できる可能性を得た. さらに,学習や作業などでのタスクを想定し,他者擬人化エージェントの影響を検討した.活発度の異なる行動を示すことで作業者との社会的隔絶感は生まれるが,作業促進に至らないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存システムを使った評価と合わせて,今後の研究を推進するためのより細かな制御が可能で汎用的な擬人的生理現象表現機構の実装を行い,動作結果も良好であった.本機構を用いた実験準備を進め,次年度速やかに実験に着手できる予定である. 同時に,自己生体誘導にとって重要な生体計測に関する評価をおこない,良好なデータを得ており,自己生体情報のフィードバックのシステム構築と,評価に向けて前進が見られる.
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Strategy for Future Research Activity |
擬人的生理現象を搭載したクッション,大型のぬいぐるみを用いて,日常安静時の生理現象提示がユーザの生理指標・主観的気分状態に与える影響を検証する.客観指標(心拍・呼吸・脳波計測),主観指標(質問紙によるストレス・気分調査,システムへの印象),インタビューなどによりデータを取得し,擬人的生理現象の提示の有無を比較する.また,外観・形状の違いによるそれらの指標への影響も調査する.結果をもとに,日常場面における擬人的生理表現デバイスの利用場面を議論するとともに,擬人的生理表現提示の効果を分析する. 生体信号計測については,引き続き信頼性の高い計測データの取得を検討するとともに,ユーザへの提示方法やその際のデータの処理方法について検討する.まずは,ユーザの実際の生理現象状態の直接的なフィードバックを試みる.疑似生理現象表現の利点は,ユーザより取得した生理現象を処理し,擬似的な生理現象表現として再構築できる点であるが,再構築した生理現象を自己の情報と認識できるかについて評価を行う.また,ユーザの生体情報に基づかない虚偽の生理現象状態を提示して主観評価データ等を得る.これらの評価結果をもとに,疑似的な生体情報の制御によるユーザの生体誘導が見込めるかどうかを議論する. 同時に,本研究の具体的適用シーンについても検討を進める.これまでの調査等により学習環境や作業環境における,他者情報の提示がユーザに心理的な影響を与える可能性が示唆されている.また,生理現象を用いて他者の情動や意図が伝達される可能性も示されていることから,生理現象による自己情報/他者情報の提示が日常活動にどのように適用可能か議論する.
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)